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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

詩の機嫌が人生のマグロの僕にあと二週間で何を教えてくれるだろう

作者: たいぞう

一回の自慰行為で二回射精する

一日にそれを5.6回行う

俺はほぼ一日中オナニーをしてる

厳密にはオナニーしてゲームしての繰り返し

ただ連続でずっとすることはできないからゲームを数時間挟む

ゲームも集中できなくてFPSとか上達が必要なゲームは全部やらなくなった

もともとは重度のFPS依存症だったのであの頃の楽しかった記憶を再演しようとまたゲームのマッチングボタンを押してみるけどプレイの途中で心臓が痛くなった

苦しくて苦しくてまるで長距離走を走って息が切れてでも走り続けないとサッカーのコーチにしばかれるから止まれないときみたいに苦しかった

ゲームでの自分のプレイの質に沢山の具体的な反省点があってそれらをまとめてなんとかすればきっと楽しいゲーム体験が僕を待ってるはずだった

けど改善するにはゲームをまた毎日長時間続ける必要があった

あの長距離走みたいな時間が続くことが嫌で次のマッチングボタンは押さなかった

けど簡単なことじゃなかった

もともと無趣味な自分に初めてできた趣味だったし学校でも面白くないという理由でハブられてた僕にとってゲームは唯一のアイデンティティだった

そのゲームで得た刺激的な体験をこうすればまた味わえるという具体的な方法が目の前にあるのに、僕はゲームを楽しめない

その葛藤の中にいる時は一年前に一週間で飛んだコンビニバイトと同じ感じがした

マネージャーと映像資料からチュートリアルを受けて個人的に好きだったレジ以外の検品や掃除なんかの業務に時間を使うことが無駄にしか感じられなくて本当に嫌だったけど開始早々に辞めるとは言いずらいし、無職の自分がやっと手に入れられる社会的地位と金銭が溜まらなく欲しかった

でも行きたくなかった


時給千円の仕事は大体嫌い

時間を無駄に過ごすことが何よりも嫌いだから

一時間何もすることが無くても椅子に座れない飲食店のキッチンとか何もしてなくてもお金がもらえるというよりは自分の人生の一時間が千円に変えられるグロい仕事という認識の方が正しかった

兎にも角にもバイトを辞められないことが苦しくて一年前の夏は本当に精神が限界まで苦痛を感じていた

ゲームでも度合いは違えどそれと似た類の苦痛を感じた自分に今日僕は悲しみを覚えたんだ

またゲーマーとして楽しかったあの日々に戻るんだと思って期待に胸を膨らませてマッチングボタンを押したけど

ゲームをする時間そのものが苦痛でしかなかった

もう数年前のように強くもない

特に楽しいとかゲームが好きとかゲームに対する熱意があるわけじゃないから

ゲーム内でも何をしたらいいかわからなくなる

それで久しぶりに潜ったゲームでも簡単に負ける

競争相手のチームメイトに追い越される

いつもスコアボードの一番上にいたのに

僕はもうそこに行くゲームへの熱意がない

でもゲームが好きじゃなかったら何をしたらいいんだろう

勉強は学校や塾で土台からしっかり支えてもらってたから楽しくできた

一人でやっても継続しないから何も芽生えない

一回心を殺して継続してみようかと何度も思ったけど実行したことはない

継続するにはちゃんとした理由が必要

それなら僕には何もない

何かをする理由とかそんなものはないものとして今まで生きてきた

殆どのものに愛を感じたことはない

家族や飼ってた犬なんかに面白いとか怖いとか可愛いとかそういう感想は抱いたことがあるけれど、愛と呼べる感情を抱いたことは無いし昔から家族愛みたいなものにも一切共感ができない

僕は心血を注いで熱中したものだけを愛する

学生時代常に時間もお金も無かった自分に愛せるものは小学生の頃に特例で少しだけ触ることが許されたゲームと体育の時間の縄跳びと高校に入ってからバイトして買ったパソコンや漫画や小説の数々

これらは自信をもってかけがえのない尊い、愛を感じているものだと言える

他人は他人だ、自分じゃない

いつかいなくなるものは信用できない

僕が4歳くらいの頃に目の前で火葬されて骨になる知らない親戚を見た時からずっと小学生になっても悩み続けてこう考えるようになった

自分以外は愛さないし実際愛を感じたことも無い


だからゲームにはのめり込んだ

自分の成長がFPSのメインテーマでありそれは個性のない僕のアイデンティティを満たしてくれるものだった

学校も無くなって勉強の習慣も無くなって唯一残ったのが図書館で小説を数ヶ月に一度読む習慣くらい

ゲームも楽しめなくなった僕に何が残る

生きるという行為を総合して考えると楽しいとは言えない

生きることが楽しいだなんて夢物語かもしれない

言い方を変えれば僕は生きることが苦痛でしかない

ただくだらないと思うのは友人だと思っていた人間が数年越しに連絡を取ってきたと思ったら内心蔑んできてるのが見え透く瞬間とか

そういったものを気にしているのは結局自分が自分を卑下してコンプレックスを育てているからであって

事実、他人の目が原因なのでは無くて周りから得る情報の中で取り扱うものを選ぶのも自分であるから自分が何に印象を受けたか

他人からの蔑みに共感している部分があるんじゃないか

もし自分と友人の立場が逆だったら自分が友人を内心蔑みながらなぜか連絡を取ろうとするんじゃないか

結局自分の中にあるものが原因で僕は生きることが辛くなっている

だから何か大層な理由でもあるのかと思って中を覗いてみると、案外小さくてくだらないな、と思うわけだ


その日何度目かの射精を終える時たまに、これでもうしばらくは射精せずに済むみたいな感覚を覚えることがある

射精は最早苦しみになってきている

気持ちよくない、ただ快感は存在してるのは事実

どんな時も脳に強烈な快感が与えられるのは同じで

一日に何度もやると朦朧としてきてそうなると強烈な快感が強烈な苦しみに変わる

それでもやめられずにまた何度でもやる


昨日猿の鳴きまねをしながら皿を洗って頭より少し高いところにあるタオル掛けに手を伸ばしたら手が触れるか触れないかのところにゴキブリがいた

猿の女子高生みたいな悲鳴が出た


今日も皿を洗っていた

親は仕事、弟は学校で家には誰もいない

インターホンが鳴った

僕は驚きながら全ての物音を消して息も潜めた

二度目に鳴った時僕は小学生の頃に言いつけられていた、子供しかいないときは出るなという言いつけをまだ時効じゃないと言い訳に使っていた

三度目に鳴った時はまた皿を洗い始めていた

リビングの子機の画面に映っていたのは宅配便だった

知り合いや近所の人じゃなかった

郵便受けには埼玉りそな銀行からの郵便物の再配達案内が入っていた

銀行から郵便物...

僕は首を傾げながらスマホでQRコードを読み込んで明日に設定する


ゲーム友達とゲームをして機嫌が悪くなって無言で通話を抜けて自慰行為に耽って気分が悪くなってどうしようもなくなって何故か冷凍庫の氷を食べ始めた


寝て起きたけど再配達は午後なので図書館に行って時間を潰すこともできない

とりあえず家でまつ

きた

二週間で死ぬ代わりになんでも好きに銀行を使っていい権利?

そもそもどうやって安楽死が認められていない日本で銀行が俺を殺すんだ?

特に何も考えずにYES.のところに〇をつけて印鑑と手形を付けた書類を家から徒歩二歩の郵便ポストに入れた


一週間もしないうちに銀行から具体的な案内が来た

今日から二週間銀行が全ての借金を許可するらしい

そして二週間後に俺が死ぬことでその借金がチャラになるなんて話らしい

意味が解らないけどどうでもいい

死ぬ理由と二週間いくらでも金を使える権利を得たのだから

これ以上に自分にとって都合のいいことはない

とりあえずやりたいことは飛行機に乗ることだ

なんとなく憧れがあった

それと日本の外の空気が吸ってみたい

あとピラミッドも見てみたい

アマゾンとか行ってみたい

誰もいない草原でただ時間が過ぎるのを見ていたい


銀行が出す車両に乗って空港に着くとシャッターとペンとスーツ姿の人間に囲まれていた

どうやら世間に注目されるような試みだったらしい

注目されてる

この俺が

正直かなり邪魔だった

個人的な旅行なんでっていう理屈も通用しないみたいだった

学校で俺を蔑んで遊んだ教師なんかは忘れるつもりだったのに死ぬ前の気分転換の旅行を見られてると思うと本当に気分が悪い


死ぬ前にあいつらを殺そうと思ったけど住所もわからない

今はある程度注目されているから目立つような行動もできない

誰にも知られずにせめて銀行の人くらいしか知らない状況で旅行して死にたかった


幸い国外まで報道の目は追ってこないみたいだった

あー眠いからやめる

またベッドでyoutube見る

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