表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

へらせ!

作者: 尾生 礼人

我輩は、二足のわらじを履く、なんちゃって漁師である。

船は ちんまいし、とれる魚も少ない。

ぶっちゃけ、赤字である。

(かと言って、本格的には、やりたくないでござる……。)


だから、なんちゃって仲間と つるんで、息のかかった議員を当選させ、役人には定年後の漁師ギルドへの天下りを約束して、補助金を出させて食ってきた。

(議員にも分け前は やってただ。)


本格派の漁師は、でっけぇ船で魚を沢山とってるから、魚を安く売っても、じゅ~ぶん 黒字。


だが、そんなんでは困るのである。

我々は、運命 共同体──息のかかった議員と天下り狙いの役人に働きかけ、本格派が魚をとる量──魚を市場に出す量を制限させた。

(ライバル潰しである。)


最近は、国にカネが なくなったとかで、そんならと 赤字国債を発行させることで補助金を出させてきたが、それも、もー ダメに なった……。


そーこーしてる内、たまたま不漁やら なにやら重なって主食の魚が足りなくなった。 (国中、パニックになっただ。)


原因の一つは、本格派の漁師が

"こんままじゃあ、食ってけねぇ……"

ってんで、獲物を貝とか別のモノに切り替えたことだなぁ。

(オラたちが原因だぁ……。)


んだども、ンなこたぁ、オラたちにゃ、かんけーねぇ!


今こそ、再び補助金を出さす時!

マスコミにカネぇばらまいて接待して、

"全ては、国の無策!"

と叩かせ、世論を誘導。


オラたちの黄金時代が、再び幕を明けるだよ!


国から、飢饉用に溜め込んどけ' 言われて、山のよ~に取っといた干し魚……。


こないな時のためのモンなんやから、さっさと放出せんかい!てエライさんから言われたんで、ウチらは てんや わんや です。


何百年も前に作られた、ふっるい蔵に仕舞いこんどるから、急に言われても出荷が追いつかん……。


…… は?

なぜに、そないな こと なっとるんやぁ、やて?


お前さん、アホやなぁ?

よう、考えてみぃ? 倉庫やら設備やらを近代的なモンにしてまったら、働く人数 少のうて済んでしまうやないか!?


そうなったらなぁ、天下りする お役人様やら、わてら お相伴に預かっとる町人の旨味が のうなってしまうやないか!


よう、考えてモノを言いなや!

ええか? 世の中、力 関係が全てや!

強きを助け、弱きを挫く! 当たり前のことやん?

やったモン勝ちやがな!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ