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第9話 コネならある、カネはない

どうにかこうにか腹も膨れたので、3人で食堂を後にした。念のために王子君はアントニオの探している王子なのかと耳打ちをしたら、

「個室だから可能性は有るが、自分から王子と言うのには違和感がある」

と、なんとも当たり前の返事が返って来た、そりゃあそう思うよね、僕もそう思ったし、まあ王子君が本物だろうと偽物だろうと、僕と王子君の関係には何も影響をしないから、正直どっちでもいいかな。

二人と別れて部屋に戻ると、散らかしっぱなしの服が目に入った、とりあえず備え付けの箪笥に入れてみた、色とりどりでは有るが枚数が少ない、寒くなったら重ね着で誤魔化すか、さらにアントニオにおねだりをないと厳しいけれど、あまりそう言う事を何度も頼むのは気が引けてしまう、アントニオがどうしても貰ってくれと言うのなら、貰ってやらなくも無いんだけどな。

さて、風呂にも入っているし、後は寝るだけなのだが、ぐっすりと昼寝もしたからすぐには寝れないだろうと、唯一の荷物である鞄から大切な父の剣を枕元に置き、その隣には空のビンを並べ、暗闇で焚火が消えても手元を照らしてくれた、レイから貰った発光する瓶は箪笥の中へ仕舞った。

一先ずやる事が無くなったために天井を眺めていたら、いつのまにか寝てしまっていたようで、ドアをノックする音で目覚めた。

飛び起きてドアを開けると、昨日と同じように王子君が立って居た、

「シリル君、朝だぞ。入学式にも出なかったのに、登校初日から遅刻では何しにここへ来たのかわからなくなるだう」

「おはよう王子君、起こしてくれてありがとう、急いで準備するけど、待っててもらえるかな」

「ああもちろんだ、ただあまり時間は無いから少し急いでくれよ」

僕はドアを閉めると、急いで着替えようとしたが、昨日の服のまま寝てしまった事に気付き、顔だけ洗うと、すぐに振り返ってドアを開けた。

「おや、ずいぶんと準備をするのが早いな」

「はは、昨日の服のまま寝ちゃってたから、顔だけ洗ったんだ」

「そうか、では朝食を食べに行くとするか」

廊下や階段にはすでに生徒たちが何人か歩いていた、準備万端な人も居れば、僕みたいに眠そうに目を擦っている人もいる、休日とは違い、みんなが時間通りに動いている様が見て取れた。

「昨日の夕食よりも人が多い気がするんだけど、気の所為かな」

「それは気の所為では無いな、昼食と夕食は食堂を利用しないで、自前で食事を準備している生徒が居るからだろう。ここまで食材を運ぶ定期船は昼前に来るから、朝食には間に合わないみたいなんだ」

「そうなんだ、それなら僕も食材を頼んでみようかな、昨日食べてるのを見てから川豚が食べたくなってさ」

僕の言葉に王子は目を見開いて驚いた、その後で僕にこっそりと耳打ちをしてきた、

「特別なコネが無いと定期船に余分な荷物は載せて貰えないから、シリルがアルデンサルの王子とか言うのなら大丈夫だと思うけど、さすがにそれは無いだろう」

あ、アルデンサルへのコネなら有る、レイの名前を使えば何とかなるかも知れない、けれどたかだか食事の事ぐらいで頼るのは何か違うと自重することにした。

それよりも王子君よ、君はアルデンサルと国同士のお付き合いは無いのかな、ふと疑問に思ったけれど口にはしなかった。

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