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第81話 ブルーノの秘剣

「盛り上がってるところ悪いけど、俺だって簡単にやられたりしないぜ」

アントニオを押し退けて会話に混ざって来たのはアレックスだった、目の前で王子君と僕で決勝を戦おうと勝手に盛り上がっている事に我慢が出来なくなったようだ、

「そうだね、僕もそのつもりだよ。明日はお互い頑張ろう」

「ああ、どっちが勝っても恨みっこなしだ」

「それじゃあ、僕たちはもう行くよ」

これ以上話していても何も進展は無いと感じた僕は、早々に会話を切り上げる為にその場を離れる事にした、アレックスもそんな空気を読んだのか、その場に佇み僕たちを見送ってくれた。


夕食の時間はいつもと雰囲気が変わっていた。

そこかしこで数人で何やら内緒話をしていて、いつもの騒がしい食堂とは打って変わって異様な空気に包まれていた。僕もいつもの様に王子君たちと食事をしていると、アレックスがまた会話に混ざって来た、

「ちょっと良いか」

「構わないよ、どうしたの」

いつもとは違う、何やら神妙な面持ちのアレックスは周りを気にしながら席に座った、

「俺はシリルの実力を知っているし、正々堂々と戦えればそれで良いと思っている」

「うん、ありがとう。僕も同じ気持ちだよ」

それからアレックスは少し時間を置いて会話を続けた、

「あまり良い話しじゃないんだが、シリル。お前はブルーノと因縁が有ったよな」

「うーん、まあ因縁って言う程の事は無いと僕は思っているけど、向こうはどう思っているかはわからないね」

「あれだけ恥をかかされたんだから少しは恨んでても可笑しくは無いだろうけど、小物程些細な事に拘る物だ」

こういう時の王子君はとても辛辣だ、まあ概ね同意しちゃうから僕も似た様な物なんだろうけれど、

「ま、まあそう言う事だ。それで、これはあくまでも噂なんだが、相当にやばい武器を持ち込んでいるらしい、詳しい事はわからないが気を付けた方が良い」

「そうなんだ、ありがとう教えてくれて。そんな事を教えてくれたのはアレックス君だけだよ、ここに居る人たちは何も教えてくれない」

僕の言葉で王子君もアントニオもそっぽを向いた、そんな二人の姿を見てアレックスは小さく噴き出した、

「僕の剣は丈夫なのが取柄みたいだから、何が有っても壊れる事は無いからそこだけは安心なんだ」

「そうなのか、それは良かった。まあ微振動で相手の剣を折ろうとする姑息な奴も居ると聞いたけど、そんな奴に負けたくは無いよな」

アレックスに豪快に批判されたアントニオは顔を伏せて動かなくなってしまった。そんな姿を見てアレックスは何かを察したのかそそくさと席を立つと、

「ま、まあそう言う事も有るって話しだから、じゃあ俺は風呂入って寝るよ」

「貴重な話しをありがとう、お休みなさい」

アレックスは振り返らずに手を振って自分の部屋へ帰って行った。

残されたのは僕と王子君と、俯いたまま動かないアントニオだ。

「どうしよう、なんだかんだアレックス君がどんな剣を使ってくるのか教えてくれなかったね」

「普通は教えたりしないと思うぞ、シリルの剣は丈夫なだけだから別に構わないだろうけど。アントニオみたいに隠しておかなければ効果が薄い能力も有るだろうからな」

「そうなんだ、アントニオの剣は僕と相性悪いけど、王子君のはどんな能力なの」

「だから、それは人には、ましてや対戦相手には教えたりしないんだ。アントニオの武器みたいに能力がばれたら何かしら対策されちゃうからな、俺の試合が見れればその時にはばれちゃうだろうけど」

「そうか、それなら早めに試合を終わらせる事が出来れば良いのか」

「それはアレックスやアントニオに失礼だぞ。ブルーノにはまあそれくらいで良いと思う」

「そうだね、いくら剣の能力がばれててもそれは失礼だったね」

アントニオはうつむいたまま肩が小刻みに揺れていた、ちょっといじめすぎたかもしれない。


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