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第8話 先輩たち狩りすぎ

「どうしたんだ、歯でも痛いのか」

僕の複雑そうな顔を見て王子が気にしてくれたようだ、歯が痛いわけでは無いけれど、かと言って食事に不満が有るとも言いにくい、

「いや、そうじゃ無くて・・・、何でもないよ」

王子はどこか納得のいかない顔をしたが、特に何も言わずに食事を再開し始めた。我ながら最悪の返事になってしまったと反省し、どうしたものかと考えながら僕も食事を再開した。

二人して仏頂面をして食事をしていたら、アントニオが僕たちを見つけて声を掛けて来た、

「どうしたんだよシリル難しい顔をして、どうせ森の中をさまよっている間は、碌に食事も出来てなかったんだろう。俺がお代りをさせて貰えるように、調理場に頼んでこようか」

「ありがとうアントニオ、でも、もう食べれないから遠慮しておくよ」

せっかくの好意だったが全力で断る事にした、全寮制のこの学校において食事がこんな物なのは忌々しき問題だと思うのだけれど、本当に誰も声を上げたりしないのかな。そう思って目の前の王子を見てみると僕と同じ物を食べている。特に不満は無さそうだが、決して美味しそうには食べていない。寝ぼけていたとはいえ、食堂に入って来た時には、料理の香りに涎が溢れ出たのは何だったんだろうと、隣のテーブルの皿を覗いてみると明らかに違う料理が並べられていた。

「え、あれは」

思わず声が出てしまったが咄嗟に言葉を飲み込んだ事と、食堂の喧騒にかき消されて王子とアントニオに気付かれただけで済んだ。

「どうしたんだ急に大きな声を出して、何か気になったのか」

「どうしたもこうしたも、僕のこの料理よりもあっちの方が良い物を食べてるんだけど、それはどういう事なんだ」

僕の言葉にアントニオと王子は顔を見合わせ、しばらくして二人は小さく頷くと、

「あの人たちは上級生だよ、外での狩りが成功したみたいだからその肉じゃないかな」

アントニオの言葉に僕は即座に反応した、やっぱりあの肉は川豚の肉だ、僕が見間違えるはずがない、

「という事は、勝手に外に出て狩りをしてきてもいいって事なの」

「勝手には出れないな、1年の間は我慢を強いられるが、それもまた一興」

王子にとっては一興かもしれないが、僕には一年もこんな食事は我慢が出来ない、校長に掛け合ってすぐにでも外に出られるようにして貰わないと、

「川豚だとちょっと遠いみたいだな、往復で5日と言ったところか。シリルなら解ると思うけど、この学校の近くには獣はそんなに居なかっただろ。俺たちの先輩たちが狩りつくしたって話しだぜ」

レイや、オフィーリア姫が暴れまわったのなら、近辺の獣たちを狩りつくしたと言うのも、作り話では無さそうだと僕は妙に納得した。

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