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第7話 王子再び

ドアを激しくノックする音で目覚めると、ノックの主は僕を夕食に誘っている様だった。

久しぶりのベッドに久しぶりの湯舟、1か月にも及ぶ過酷な野外生活に寄る疲労に、すごしやすい快適な気候が重なって眠りにつかない筈が無かった。

寝ぼけ眼を擦りながら、夢の中は気持ちいい物だったけれど、これだけ熟睡していたら猛獣の胃の中に納まっていても可笑しくは無いな、と自嘲しながらノックに返事をした。

身だしなみを整えると言っても少し皴になった上着を叩いて伸ばすと、それ以上は髪を解かす櫛すら持っていないためにすぐに扉を開けた。

「おはようシリル君、その顔を見るとどうやら眠りこけていたようだね」

ノックの主は王子だった、あまり関わり合いたくは無かったが笑顔で答えた、

「良く僕の部屋がわかったね、王子君」

「ははは、何も驚く必要は無い、空き部屋だったところから大いびきが聞こえてきたのだから、誰だってわかるさ。疲れているのは重々承知しているが、腹も空かせているだろうと思ってね。食堂の空き時間は短いからノックしたまでさ」

ああそう言えば確かに腹は減っているな、最後に食べたのは昨日の夜だったか、という事はほぼ丸一日食事をしていなかった事を思い出すと、不思議なもので途端に腹の虫が暴れ出した。

「ありがとう、聞いての通り腹ペコみたいだよ。食堂まで案内してもらえるかな」

「まかせろ、そのために来たんだからな。着いて来るが良い」

そう言って右手で手招きをしながら王子は歩き出した、僕はその後ろを着いて歩きながら、言動で人を判断していた事を恥じた。

ひとことふたこと話しただけの僕を気にかけてくれるなんて、第一印象は大事だが、それですべてを判断できるほど、僕は人を見る目が無いのだと改めて自分を戒めた。


食堂ではすでに多数の生徒が食事を取っており、久しぶりに嗅ぐスパイスの香りに思わず気絶しそうになってしまった。思えば焼く以外は水源の近くで煮るぐらいしtか調理方法は無く、味付けもわずかな塩のみで、後は素材の旨さを生かしたと言えば聞こえは良いけど、様は味付け無しでそのまま食べるだけだ。

野生の果物は水分を摂取するには良いが甘みは無く、野菜と言えるものはまず入手が出来ず、肉、魚、昆虫、野草やキノコ、それらをとにかく焼く、焼いて食う、ただそれだけの事だ。

それら料理と呼ぶにはおこがましい物からすれば、ここで提供されている物はすべてがご馳走だ、僕は王子に続いて料理を受け取り、逸る心を押さえて空席に座り勢いよく料理を掻き込んだ。

うん、やはり贅沢は敵だな、作ってくれた料理に文句をつけるような事はしたくは無い、今日は王子に免じて引き下がろう。

取れたての川魚を焼いただけって、美味しかったんだな・・・。

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