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第68話 真実は常にひとつ

シンディたちの作ってくれた料理は、即席で作ったとはとても思えないほどの旨さで、真夜中だというのに何回もお代わりをしてしまう程で、3人で食べるには大きいかなと思っていた鍋も空になってしまう程だった。あらためて船室に入って思った事だけれど、ここからなら寮の僕の部屋が観察出来て、都合が良い場所だったんだと理解が出来た、最初に来た時の派手な空ぶかしで着陸に失敗したかのように見せかけて、実は入念に船を下ろす場所を決めていたのではないかとすら思えてくる。

屋根に出て暴風雨の中を屋上までロープを使って移動したのは、結構怖かったわよとシンディは言っていたが、その笑顔を見ると怖かったというよりも楽しかったのだと思う。

アレスター先生たちは吹き荒れる嵐の中、そんな事をする人たちは居ないと決めつけていたのか、外の様子を確認しなかった事も失敗の原因では無いか、何事も準備に時間を掛けても実際にそれを行う時に肝心な事を怠ったのであれば、計画が失敗したのは当然の結果なのだろう、当然、裏をかくためにシンディたちがその油断を利用したとも言える。

僕は色々とシンディたちに質問をしたけれど、上手い事はぐらかされて結局はアレスター先生たちが何をしたかったかは教えてくれなかった。ただ淡く光るあのビンを今日みたいな日には外に出さない事、ただそれだけは強く言われた。

船を出る時、閉ざされた扉の先につい先ほどまで先生と呼んでいた人が、手の届かない向こうに居る事に少し寂しく感じてしまった。

当然と言えば当然なのだが、扉を壊されて家具も飛び散り、散々騒動を起こした後で忽然と僕が居なくなれば、それを心配する人も出てくる。

そんな人が一人、二人と集まり、小さな騒ぎとなった時に、船室で美人と悠々と食事をしている僕を見かける、僕は頼んだつもりは無いけれど、心配してやったのに羨ましい事をしやがってと言われてしまうのは多少は理解が出来るかな。

またやいのやいのと同級生やら上級生に言われてひとつひとつ答えていたが、何を食べていたのかと問われて、

「簡単な味付けの肉料理だったよ、もっと煮込んだらもっと美味しくなっただろうけど全部食べちゃった」

満腹で膨らんだお腹を摩りながらそう言うと、みんなの怒りが増してくるのがわかった、そのつもりで言ったんだから大成功という事で、その場はお開きになった。


次の日、と言っても日付はすでに変わっていたが、朝礼には校長先生とシンディとシェリーが現れ、アリスター先生が昨日の騒動の中心人物だったために退職した事と、自分たちも臨時講師を終える事を伝えて来た。騒動としては僕の部屋の扉を壊した事と、備品である家具を損壊した事、屋上への理由なき侵入、

食堂の肉を盗んだ疑い、それらの罪を認めて退職すると話してくれた。

・・・ちょっと待って、そのほとんどをしでかしたのは僕なんだけど、肉を盗んだってのだけは僕じゃないけど。

それは僕じゃないけど、まさかあの屋上に不自然に落ちていた肉の事かな、多分シンディが調理してくれた肉の事だよな、もう今日の朝には出て来たんだけど、僕は何も悪くないよな。

終始僕に視線を送って来るシンディとシェリーに苛立ちを覚えたけれど、また会えなくなるのはやっぱり寂しいと思った。


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