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第67話 船の正体

僕の頭の中は温かいお風呂と、暖かい食事に支配されて思考が止まってしまったようだ。

その事に気付いたのは三階の階段を降りたところだったので、本当にギリギリで思い出した、

「そう言えば、侵入者ってのはもう一人居ます、アリスター先生じゃ無くてもう一人」

僕が思い出した事を鼻息荒くシンディに告げると、驚くかと思われたシンディは冷静に、

「大丈夫よ、もうとっくに確保できているわ、残念だけどこの学校の生徒みたいね。それよりも、隠れていたシェリーに気付かなかったなんて、シリルもまだまだね」

驚かせるつもりは無かったけれど、逆に驚かされることになるとは思ってもいなかった。侵入者が暗闇に潜んでいるかも知れないと気を張って探していたのに、そこにシェリーが潜んでいたなんて。しかもすでにその侵入者を確保しているとは、こんな事なら二人に任せて部屋に籠っていた方が良かったのかもしれない。

「そんなに気に病まなくてもいいのよ、そのために私たちが来たんだから。さあ、やる事済ませて美味しい夜食を食べましょう」

シンディに促されて僕は各階へ侵入者が確保されたから安心して欲しいと聞こえるくらいの声で言って回り、壊れた扉と家具に首を項垂れた後で風呂と着替えを済ませると、二人の待つ船へ向かった。


まず最初に思ったことは、あれだけ乱雑に荷物が積まれていたのに、すべて綺麗に片付けられていた事だった。僕が驚いた顔をしていると、僕が来た事に気付いたシェリーが、

「奥の部屋を見せたく無くて隠してたんだけど、もうばれても良いからね。」

そう言えば奥に少し雰囲気の違う部屋、と言うか僕にはなじみが無いけれど、あれは牢獄と呼ばれる部屋じゃないだろうか。

「もしかしてあれって、そういう部屋なの」

「そうよ、この船は罪人輸送の船なの。流石に生徒に牢獄は見せられないから隠していたのよ」

一応僕もこの学校の生徒なんですが、僕には配慮はしてくれないんですね。

窓にはガラスでは無くて鉄格子、ドアノブも鍵穴も無くて複雑な操作をしなければ開かない扉、罪を犯していない僕は直視出来るけれど、罪を犯した者に自らの意思で開ける事の敵わない開かずの扉。

「最初から、アリスター先生を掴まえるつもりで二人は来たの」

シェリーは少し首を傾げて考えた後でぼくの頭を撫でながら、

「もちろんそのつもりで来たわよ、でもね、罪を犯したから捕まえたの。何もしなければ、私たちも捕まえる事は出来なかったわ。悪いのはアリスター先生じゃ無くて、罪を犯すように仕向けた黒幕が居るの。共犯の生徒もそうよ、自分に自信が持てなくて、落ち込んでいたところを付け込まれたみたいなの。誰でも悩みは有るけれど、それを解消するんじゃなくて、それを悪意に変えてしまう所が良くないと私は思うわ」

「なんだかよくわからないよ」

「それで良いのよ、これからもそのままで居てね」

僕の答えにシェリーはにっこりと笑うと、力強く抱きしめられた、シェリーもお風呂に入ったらしく伝わる体温はとても暖かくしっとりとした香りに包まれた。

「どうやらシンディもお風呂から出たようね、それじゃあお待ちかねのお夜食を食べましょうか」

本当は首を振りたかったけれど、僕は胸の中で頷いた。                                                                                                                                                                  

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