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第66話 さらなる罪

よくよく考えてみると、アリスター先生走ってきた方向は行き止まりじゃないか。

もし先生が僕の部屋の前を通り過ぎた後で侵入者がやって来たのだとしても、あれだけ侵入者ががちゃがちゃやっていたのに気付きもしないなんて事は無い筈だ。

それに侵入者を追いかける僕を呼び止めた事も、今思えば少しおかしいと思える。

つまり、どう考えても先生と侵入者はぐるなんじゃ無いか、そう考えればすべての辻褄が合う。

その事に気付いた僕は階段を勢いよく登り、屋上への扉が開いている事を確認して、少し戸惑ったものの進入禁止である三階への階段を走り抜けて屋上へ出た。

そこにはびしょ濡れのシンディと、倒れているアリスター先生らしき人影を見つけた。

「あら、シリルじゃないの。三階へは進入禁止でしょ」

「あ、でも、あの、屋上への扉が開いていたので」

「ん、まあいいわ。はいこれ、大事な物でしょ」

そう言うとシンディは濡れた服をたくし上げた。夜の暴風雨の元では何も見えない筈だったが、淡い光を放つビンのお陰で、鍛え上げられ引き締まった美しい肢体と、細い身体には似つかわしくない柔らかさを感じる双丘と、さらにその先端に釘付けになってしまった。

シンディはそんな僕に気付いているのかいないのか、思春期の男子なのだから仕方が無いと思っているのか、全く気にも留めずに、

「こんな日にはこれを外に出してはダメよ、覚えておいて」

「うん、絶対に忘れない」

それを聞いてシンディは僕の頭を優しく撫でてくれた、そして倒れているアリスター先生の元へ歩き出した。

意識が無いのか、シンディが足元に立っていてもピクリとも動かなかった。

動かない事を確認していたのか、シンディはロープを取り出すと素早くzリスター先生を緊縛し、ごそごそと服の中を弄り始めた。暴風雨の下に出るのは戸惑ったけれど、どうしても確認したくてシンディの近くまで行くと、

「こんな物まで持ってたのね、使われなくて良かったわ」

シンディが手に持っていたのは初めて見るナイフだった、その筈だけれどどこかで見た様な不思議な気持ちになり、

「それはどんなナイフなの」

僕は思わずシンディに尋ねていた、知らない人が見ればちょっと変わった形のナイフだけれど、柄の所に不思議な膨らみが有り、それが僕の心に引っかかっていた、

「これは狩竜刀・・・なの。良かったわ、こんな物を使っていたら更に罪を重ねる事になるから」

狩竜刀だったのか、それで僕の中で既視感が有ったのか、僕はこれよりももっと大きい大剣を体験したことがあったからだ、

「でもなんで使わなかったんだろう、シンディに勝てないと判断したなら、使ってもおかしくないのに」

「シリルなら使うの?」

僕は言葉を失ってしまった、軽々に犯罪を犯すと言うべきでは無かった。ましてやこの小さな狩竜刀にどのような効果が有るのかわからないけれど、それを使っていたらシンディの命は失われていたかもしれないのだ。

「ちょっと意地悪だったかな、シリルはそんなことしないわよね」

僕は言葉なく頷く事しか出来なかった。

「さて、部屋の中で震えている子羊ちゃんたちを安心させてあげないとね」

シンディは軽々とアリスターを肩に抱え、なぜ落ちているのかわからない肉塊も拾い上げると、

「侵入者を捕縛したから安心して、って言い回るのを手伝ってくれるかしら。それが終わったら身体を冷やしてはいけないから、すぐに暖かい風呂に浸かって着替えて寝なさい」

そこで僕のお腹の虫が返事をしてしまった、

「仕方が無い子ね、着替えまで済ませたら濡れないように船に来なさい、暖かい物でも食べさせてあげる」

僕のお腹は二つ返事をした。

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