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第43話 うるさいやつら

サーベルタイガーを処理した後は、ゆっくりとした時間が過ぎていった。

本来ならまだ他にも襲ってくる獣が居る為に警戒を怠るような事はしてはいけないのだが、どこか気が緩んでいたのか、緊迫した死闘を終えたからなのか、日が傾くまでのんびりとしてしまった。

次に緊張が走ったのは、僕たちの次の班の人達が野営地に来た時だった。

怒鳴りつけられるまで気が付かなかったのは我ながら迂闊だった、どうやら彼らも先輩たちの罠の洗礼を受けたらしく、それを仕掛けたのが僕たちだと一方的に捲くし立てて来た、僕たちはそれを仕掛けたのが先輩たちだと知っているのだが、どうやら彼らはそれに気付いていていないらしい。

すべてを説明してしまえばその場は収まるかも知れないが、彼らには潜伏している先輩たちを見つける事は出来ないだろう、見つける事が出来なければ居ないのと同じなのでどうしたものかと思案していると、彼らは僕たちはおろかその家族にまで罵詈雑言を浴びせ始めた、流石にそれは聞き捨てならないと受けて立とうかと思ったが、明らかにどす黒い空気を纏い始めたジェイミーの異変に気付き、僕はジェイミーの腕を掴みその場を離れようとしたけれど、大木よりも重くなったジェイミーはいくら力を入れてもビクともせず、僕は全力で知恵を絞り、彼らも納得してもらえそうな案を思いついた。

「確かにあの罠を仕掛けたのは僕たちなんだけど、それにはあまり言いたくない事情もあったんだ」

僕の咄嗟の嘘に王子君もアントニオも驚いている、ジェイミーだけは表情も変えずに背筋も凍る程の殺気を放っているのだが、彼らは全く気付いていない、

「実は、サーベルタイガーに追われていて、罠を仕掛けて退治しようとしていたんだ。後続の班の人達に危険が及ぶといけないから、見つけやすい罠を仕掛けたんだけどまさかあの罠に掛かってはいないよね」

僕の言葉に少し大人しくなった彼らは、顔を突き合わせて何やら話し合いをして、どうにか話しが纏まったのか再び僕に向かって、

「サーベルタイガーが居たとかどうとか言うが、俺たちはそんな物は見ていないし、仮に居たからと言ってなんだと言うんだ」

「そう言うと思った、王子君彼らに見せてあげたいんだけど」

「ん、ああ、じゃあ取って来るよ」

王子君がその場を離れている間にレイラを呼び、ジェイミーを宥める様に頼んだ、すぐにレイラはジェイミーを抱き抱えると、ささっと人目に付かないところまで運んで行った。

あれだけビクともしなかったジェイミーを抱え上げるなんて、と絶句していると王子君が首と爪を持って来てくれた。

「まだ防腐処理をしていないから肉が残ってるけど、ついさっきまで生きてた事はわかるかな」

目の前に出された牙剥き出しのサーベルタイガーの首と、まるで小剣の様な名前の由来である足の爪を見て、興奮していた彼らも息を呑んだ。

「こんなのを見かけたら罠ぐらい仕掛けたくなるよね」

僕がそう言うと、彼らは無言のまますごい勢いで首を縦に何度も振った。

とりあえずこれで、うるさい奴らは黙らす事が出来た。

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