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第39話 獲物

幸いにして今日は一日晴れが続きそうな雲行きのため、さっそく泥に汚れたまま梱包した宿泊設備を、川の水で洗い流した後でそよ風にさらして乾かす事にした。

沸騰させたとしてもちょっと飲みたくはないくらいの川の濁りだったけれど、泥まみれのままよりは多少埃っぽくなったとしてもマシと判断しての事だった。

そんな事をしていても午前中にはすべての作業を終えてしまい、残りの時間をどう過ごすかを考えていた。

「俺は寝て過ごすのも良いかなと思うんだが、ほら夜の見張りでみんなも寝不足だろう」

アントニオはあれだけ寝坊をしてしまうくらいだから、随分と寝不足なんだろう、普段の学校生活ではそんな事は無いのだけれど、いつ野生動物に襲われるかわからない危険な環境では、熟睡出来ないのかもしれない。

「寝るのも良いが、出来れば食料を少し探したい」

そう言ったのは王子君だった、昨日の夜の見張りで流石の王子君も寝たいという気持ちは有るが、そこはぐっと堪えている様に見える、

「持って来ている分では足りなくなったの?」

「足りなくは無いが、せっかく外で野営をしているのに、持ってきた乾燥肉ばかり食べていたのでは味気ないと思っている」

「そうなんだ、僕は結構色々食べてるけどね」

そう言って草むらに跳ねたカエルを素早く捕まえて見せた、

「そういうのも良いが、出来ればもうちょっと大きい獲物を獲りたい」

「つまり、鹿とか猪って事だよね」

「ああ、そうだ」

「でも、罠を仕掛けても獲れるのは何日か後だったりするから、かと言って闇雲に歩き回るのも効率が悪いし、熊みたいに向こうから襲い掛かって来てくれるのは狩りやすいんだけど、逃げていく野生動物を追うのは僕たちの足では難しいね」

「シリルの相棒が居たらどうにかなるか」

「そうだね、一緒に居た時は獲物を誘き寄せてくれたから、結構簡単に狩りが出来てたよ」

「噂のサーベルタイガーが、シリルの相棒じゃないかと思っているんだが」

「どうだろう、もしそうだったとしても、まだ僕を仲間だと思ってくれてるかは分からないし」

「なんで仲間だと思ってくれたんだ」

「腹が減ってる時に、僕がたまたま満月熊を解体していたから、まるまる内臓をあげたんだよね」

「食料をわけてくれたから、仲間だと思ってくれたって事か」

「だと、思う。なんにせよ腹一杯まで食べたら、襲ってくることも無いだろうしね」

「そうか、そうだよな。残念だけどここには空腹を満たす程の食事は無いからな」

「・・・無くも無いよ、僕たちの誰かが犠牲になれば、だけど」

「そうすると、人間は弱くて簡単に狩りが出来ると思われるな」

「間違いないね、絶対に負けられないよ」

僕と王子君はすばやく剣を抜き、低く構えて唸り声をあげているサーベルタイガーと対峙した。

どうやらアントニオは腰を抜かしてしまったようで、僕の後ろであたふたしているのが見ないでも伝わって来た。

僕は大きな声で吼え、後方に居るであろうジェイミーとレイラに異変が起きた事を伝えた、どうやらすでに臨戦態勢だったのか、さほど驚く様子も無く抜刀した状態で出て来てくれた。

「初めて見ましたわ。とても綺麗なのですね」

圧倒的な捕食者を初めて見て、出てくる感想がそれと言うのはジェイミーの余裕を感じた。

長く獲物が獲れていないのか身体全体からは余分な脂肪が落ち、しなやかで力強い四肢はぬかるんだ地面を確実に捉え、剝き出しの牙は日の光に輝き、鋭い眼光は獲物を捕らえて離さない。

その目線は明らかにアントニオを捉えている、その眼力は流石としか言いようが無い。

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