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第37話 王子一人

朝日を背に立つ王子君は、後光がさしているかのようにも見え、とても大きく見えた。

そんな王子君に促されて慌てて僕も下着を履き、昨日の身体の怠さが消えている事に気付き、

「ありがとう王子君、どうやらみんなに迷惑を掛けずに済みそうだよ」

「それは良かった、俺も一晩中冷えたシリルを暖めていた甲斐が有ったて事だな」

僕は思わず王子君に抱き着いていた、王子君は一晩中焚火の傍に居たのでかなり焦げ臭かったが、それは僕も同じだろう。

すると、王子君の後ろに立っていたレイラがその場に蹲るのが見えた、慌てて助けに行こうと思っていたら、レイラの隣に立っていたジェイミーがパシリとレイラの頭を叩き、

「まったく、すぐに顔を洗っていらっしゃい、川は増水していて危ないから飲み水を使っても良いですわ」

あまりの出来事に言葉を失っていると、よろよろとレイラが立ち上がるとその顔面は血まみれになっていた、さらに僕たちが驚愕していると、

「安心してください、これは鼻血ですから、どうぞ続けて下さい」

鼻から溢れる鼻血を押さえながらレイラがふがふがと自分の無事を伝えると、再びジェイミーから一発を貰いながら顔を洗うために離れていった。

「あなたたちもそろそろ離れた方が良いのではないかしら」

王子君に抱き着いていた事を思い出した僕は慌てて離れると、焚火で乾かしていた服を手に取り、ジェイミーに背を向けて焦げ臭い服を着た。

「上級生を見つけれた事は王子君から聞きました、もう少し詳しく聞かせていただいても良いかしら」

「ああそうそう、シリルが直ぐに寝ちゃったからな。俺にも聞かせてくれよ、捕まえれたって事で良いんだな」

王子君の口ぶりに違和感を感じたのか、ジェイミーが口を挟んで来た、

「どうなんですかシリル君」

「昨日の先輩の話しでは、学校へは報告をすると言っていたけど、それで良いんだよねジェイミーさん」

「恐らくはそれでいい筈ですわ、もし報告がされていないようでしたら私が抗議します」

どうしてそこまでジェイミーがこの事に拘るのかはわからないけれど、成績が上がると言っていたので、レイ達に成績不振を馬鹿にされたくはないから、そこに関しては僕も興味が有るかな。

「それで、名前は聞きましたか。調べれば誰が担当だったのかはすぐにわかると思いますが」

「あー、ジャッキー。うーん、ジャッキー・マクナルド、いや、マクワルド、だったかな」

僕の言葉にジェイミーは目を見開き、僕の両肩を掴んで、

「ジャッキー・マクラウド、その方は本当に、そう名乗ったのですか」

興奮しているのか、ジェイミーは僕の肩を途轍もない力で握りしめ、話す事も出来ないほど勢いよく前後に揺すられた。僕は話し始める前に、あまり見た事が無い程興奮しているジェイミーを宥めた、冷静さを取り戻したジェイミーは恥ずかしそうに頬を染め、振り乱した髪を整えると僕の方を向き、僕が話し始めるのを待っている。

そこでようやく僕は一息つき、

「そう、ジャッキー・マクラウド。確かにそう言ったけど、ジェイミーさんの知ってる人だったかな」

いつもとは違う、何やら含みのありそうな笑顔を見せたジェイミーはうんうんと頷き、

「シリル君、ある意味あなたよりも有名人ですよ、成績は三年生の筆頭、そしてマクラウド家の王子ですわ」

そう言ったジェイミーの目にはどこか苛立ちを隠している様に見えた、何やらジェイミーにとって因縁の有りそうな相手だとわかった。

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