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第36話 裸の二人

「はっくしょん」

くしゃみをした後で鼻を啜った、夏とはいえ長時間豪雨の中を歩き回ったために身体が芯から冷えてしまったようだ、

「ちくしょう、そのくしゃみをほんの少し前にでもしてくれれば隠れる事が出来たのになぁ」

細かな表情までは暗闇の中では見る事は出来なかったが、恐らく悔しそうな顔をしながらジャッキーが言った。

「先輩を見つけて気が抜けたからですよ、息をひそめている時にはこんなに身体が冷えているなんて感じなかったですから」

「そうか、それならすぐに戻って身体を温めな、服は全部脱いで乾かせよ、濡れた服を着たままっての一番良くないからな」

「ありがとうございます、ではこれで失礼します」

僕はぺこりと頭を下げると、わずかながらに光の漏れている宿泊地へ一直線に向かった、振り向くとすでにそこにはジャッキーの姿は無く、わずかな気配をも察知することも出来なかった。

「雨が降らなかったら、流石に見つける事は出来なかったな」

天候を味方に付けて何とか上級生を見つける事が出来て、僕の歩みは軽やかになる筈だったが、次第にぬかるみに取られる足を引き抜く事が出来なくなり、どうにかこうにか這うようにして宿泊地へ戻ると、異変に気付いた王子君が駆け寄って来てくれた。

「シリル、大丈夫か」

「大丈夫とは言えないかな、力が入らなくなっちゃってさ」

王子君は僕を肩に担ぐと、すぐに焚火の傍に座らせてくれた、

「これを飲んで、熱いからゆっくり飲めよ」

そう言って熱々の茶を出してくれた、僕は言われたようにゆっくりと口に含んだ、

「すぐに服を脱いで、そんなに濡れた服を着ていたら体温を奪われる」

そう言うと王子君は僕を助けるために濡れてしまった自分の服を脱ぎ始めた、僕も王子君に急かされるように服を脱ぐと、それらを受け取った王子君はてきぱきと焚火の周りに干してくれた。

「火の番は俺がしてるから、シリルは寝てていいぞ」

確か王子君はそう言ってくれた、言ってくれたと思う。

僕は返事をする事無く、すべてを王子君に任せて眠りについた。


翌朝、ぐっすりと眠れたからなのか快適に目覚めると、そこには王子君とジェイミーとレイラの姿が有った、どうやら眠っている内に雨は止んだようだ。

「お、起きたかシリル、さっそくで悪いが服を着てくれないか、女性の前で素っ裸はまずいだろう」

「そう言う王子君も素っ裸じゃないか」

「シリルがあんまりにも気持ちよさそうに寝てたからな、起こさないようにしてたんだよ」

そう言って王子君は立ち上がると、女子に背を向けて僕の目の前で下着を履いた。




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