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第33話 全部知ってた

「と、言う訳で、恐らくはもう罠は設置されていないと思うんだけど、みんなはどう思うかな」

出発の準備が整ったところで、僕は昨日の夜寝ずに考えて得た結論をみんなに話して意見を求めた。

「シリル、本当にそうなのかな。どうにも納得出来ないんだけど」

確かに確証を得ている訳では無いので推測の域を出ないのだけれど、ゆっくり寝ていたアントニオに言われると睡眠不足も祟って妙に腹立たしい。

「俺はシリルと同意見だ。俺たちが後から来る事を知っていたとして、自分たちの歩みを遅らせてまで罠を仕掛けるだけの理由が無い。俺たちの誰かに復讐をしたいとしても、他の班員が納得するとは思えないし、そんな事をしていたとばれたら、これからの学校生活にも支障が出るだろう」

流石王子君だ、寝坊助とは言葉の重みが違う。

「まあ、もし俺たちに罠を仕掛けるような奴らだったら、今後の学校生活がどうなろうと何とも思わないだろうな」

それもそうだと思う、そんな事を考えるような奴らなら、人目なんかは気にしないだろう。

僕が王子君の意見に頷いていると、ジェイミーが控えめに手を上げた。それに気付いたみんながジェイミーに注目すると、小さく咳ばらいをして口を開いた。

「シリル君の言っている事は、間違いではありませんわ」

思いがけない言葉に僕は大きく目を見張った、すんなり賛同してもらえるとは思っても居なかった。

「わたくしは今回の野営訓練で、上級生が私たちの後を付いて来ているのに気付いていました。また、夜の内に上級生たちが交代している事も、見つけやすい様に罠を仕掛けるのも聞かされていました」

「ジェイミーさんは全部知っていたって事なの、それならそうと言ってくれれば良いのに」

僕は思わず声を荒げてしまった、それを受けてジェイミーは身体を竦めて驚いた振りをする。するとそれを見ていたアントニオが僕に文句を言う、いつもと同じ光景に王子君も苦笑いをしている。

「聞いていた事が間違っていたら大変な事になるかも知れないので黙っていたのですが、わたしが間違っていたのでしょうか」

ジェイミーは少し潤んだ瞳で僕に訴えかけて来た、ここで間違っていると言わせないのは流石としか言いようが無い。アントニオはその瞳にやられたのか少し怒気を含んだ視線を僕に向けて来て、王子君はやれやれと言ったような表情で僕を見ている。

「ジェイミーさんは間違っていないよ、森の中は危険だから見守られていると油断をしたら、大変な事になるかも知れない、黙っているのも辛かったよね、ごめんなさい」

僕はジェイミーに向かって素直に頭を下げた、ジェイミーも僕にやり返されるとは思っても居なかったようで、少し驚いた顔をしていたけれどすぐに瞳を潤ませて、

「良いのですよ、私も・・・辛かっ・・・た・・・です」

やっぱり何も言わなかったことをジェイミーは辛かったなどとは微塵も思っていなかったようで、ジェイミーは言葉に詰まりながら自分で自分に言い聞かせるようにゆっくりと言葉を発した。

「それじゃあ次の目的地に出発しようか」

僕は班長らしく出発の号令を出し、長い移動と長い夜へ歩み始めた。

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