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第32話 犯人は誰だ

罠を見つけた以上は、安心して進むことは出来ない。

僕が先頭を行き罠を見つけ、それらを排除してからアントニオ達に後ろを着いて来てもらう。

そのつもりで僕は慎重に歩を進めたけれど、まったく罠は見つからない。見落としてしまった可能性も否定は出来ないが、僕たちが罠に掛からなければ、罠を仕掛けた意味も無いのだけれど、どの道を進むのかわからないのに非効率な事だなぁと心の隅で思っていた。

それに僕たちが罠に掛かったとして、それが一体何の得になるというのだろうか、怪我をして途中離脱したからといって特に罰則も無く、査定に影響するかといえばそんな事も無い。

進みが遅くて初日に続き日が落ちるまでに宿泊地に辿り着けなかったが唯一の不利益なのだが、それだけのために貴重な時間を使って後続を邪魔する必要が有るのだろうか。

確かに罠を掛ける時間よりも、僕たちが罠を探索しながら進む方が時間の浪費は多いけれど、そんな事よりも早く目的地に着いてゆっくり休んだ方が有意義なのではないだろうか。

夕食を手早く済ませて僕以外が寝静まったと夜、再び進行方向の獣道を探索すると括り罠が仕掛けて有った。流石にこの罠に掛かれば怪我をする事も有るだろうが、わざわざ貴重なロープを使ってまでこんな事をする必要が、僕たちの前を行く班の人達に有るのだろうか。

僅かながらにブーフーウーの三人が脳裏を過ぎったけれど、恨みが有るのは僕だけだろうし、これだけの罠を仕掛けるだけの技量が有るとは思えない。おまけに、恐らくは目的地にたどり着くだけで精一杯の体力だろうから、草を縛って枯れ葉を乗せるだけの労力を使うとも思えない。

括り罠もロープを仕掛けるために木に登り、複数の木々の間を見つかり難い様にロープを這わせなければならない。手慣れていればそれほど時間は掛からないだろうけれど、班の全員の足を止めてまでそんな事をしたところで、今日の様に誰も罠には掛からなければ甲斐が無い。

括り罠からロープをすべて取り外し、その途中で見つけたトカゲを火で炙りながら一つの結論に達した。

罠としては見つけやすく作ってあった、少しは怪我をするかもしれないけれど、殺傷を目的とした罠では無かった、恐らくは進むべき方向の獣道に一つだけ罠が作ってあった。

これだけの証拠が有れば、結論へ達するのは簡単な事だった。

僕と王子君、恐らくはジェイミーもレイラも気付いては居るだろうけれど、誰も口には出していない。

罠を仕掛けた犯人は、僕たちの前を行く班の人達では無い。

アントニオが犯人でもない。でも僕たちと常に一緒に居た。

夜目がきくとはいえ、今から犯人を捕まえに行くのは得策では無い、夜通し進めば追いつくだろうけれど、何も説明も無しに僕が居なくなるのは班の人達が心配してしまう。

結局その日は大人しく見張りをこなし、次の日の朝に班のみんなに説明をする事にした。

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