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第30話 噂を信じちゃいけないよ

睡眠時間はとても大事なのだが、日が落ちてから登るまでの時間をずっと睡眠に当てる事は出来ない。

明日の準備だったりは当然としても、不測の事態に備えて順番で見張りをしないといけない、不測の事態の肉食獣などは、頼りになる先輩たちが暴れまわったおかげでその個体数を減らし、めったに見かける事は無くなっているようだけれど、全く居ないと言う訳でも無いらしい。らしいというのには訳が有り、実際に見たとか、糞が有ったとか、そういう具体的な話しが有れば信憑性が有るが、風のうわさでとか、見た人が居ると聞いたことが有る、程度の話しばかりだからどうにも胡散臭い。

ただ最近になって学校近くでサーベルタイガーが出没するという噂が有り、どうやらそれは本当の事らしい、というか僕は一か月も一緒に居たのだ。

僕と別れた後で元居た場所へ戻って行ってくれれば良かったのだけれど、どうやらまだこの辺りをうろついているらしい、このらしいというのはあくまでも僕がそう思っているだけで、別の個体である可能性も否定出来ないからだ。

長く一緒に居たとは言っても、飛び掛かって来るその一瞬で一緒に居た個体か、別個体かを判断することはとても難しいため、名前を呼んだり、僕を見かけたりした時に、何かしらの反応を示してくれればとても助かるのだけれど。

もっとたくさん人が居れば二人ずつで見張る事も出来るけれど、5人なので一人ずつ2交代で見張りをする事になった。当然体力のある初日は我慢できるが、二日目、三日目ともなると疲れから辛くなってくるため、初日は女性二人に任せ、その後は僕たち男だけで回す事にした。

下心の有るアントニオは、ジェイミーの見張りの時間を見計らって用を足しに起き出していたが、大した会話も出来ないまますぐに寝床に戻って行ったようだ。しかし、ジェイミーは言い寄る相手のあしらい方が上手すぎるな、あれじゃあ誰が相手でも太刀打ちできそうに無いな、という事は、向こうから寄って来るのなら脈ありって事になるのか、そんな怖い事を考えていたらいつの間にか夜が明けていた。


水辺が近くに無いというのは悪い事ばかりでは無く、虫が少ないという良い事も有る。大量の羽虫に襲われれば寝るのもままならないし、危険な病気を媒介してくる事も有るし、不意の大雨で川が氾濫したりする事も有るのだ。

それでも森の中なので、アリやムカデやハチなど危険な毒虫も居るには居るのだが、そこまで気にしていたら野営なんてとても出来やしない。

そこそこに快適な目覚めをした僕は、残っている水と相談して口を濯ぎ、それを飲み干して朝の身支度を終えた。朝食は運悪く僕に見つかってしまった名も知らない蛇を、誰にも見られないように焚火で良く焼いて食べた。

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