第21話 僅かな平穏
レイ達の突然の来校からの一騒動が王子君のお陰でその日の内に片付き、ようやく波乱万丈だった学校生活にも平穏が訪れた。
王子が誰か、などと騒いでいたアントニオはすでに興味を無くし、その代わりにジェイミーに対する思いが深まっているようだ。
僕も王子は誰かなと多少は目を光らせていたけれど、肝心のアントニオが興味を無くした今となってはどうでも良くなっている。
自分から王子と言っている王子君は恐らく、と言うよりも絶対に違うと思うけれど、数々の言動や行動からは、むしろ本当に王子なんじゃないかと見紛う事も多い。
本人に聞けば絶対に自分は王子だと答えるし、それを咎める様な事をしたく無いため、アントニオとの会話で誰が王子なのかと話題に上がらなくなったのは素直に嬉しい。
ジェイミーは相変わらずにクラスの人気者で、男子からも女子からも恐らくは担任や他の先生たちからも好かれている。にこやかに話しかけている女子の中には嫌っている人もいる様だが、それを僕たちに悟られない様に振舞っている、つもりのようだが、傍から見ていると案内わかりやすい物だ。
ジェイミーが人気な分、そのしわ寄せはレイラに集まっており、レイラがいつもジェイミーと一緒に居る為に二人きりになれない男子たちからは嫌われ、ジェイミーに対して抱く負の感情をすべてレイラに向けているように感じる。
肝心のレイラは流石に肝が据わっているのか、男子からの嫌悪の視線などは意に介さず、女子からの悪意は鼻で笑って煙に巻いている。いったいどうやってあれほどの胆力を身に付けたのか、ジェイミーには抱かない僕の女子への憧れの感情は、いつもジェイミーの後ろでぼそぼそと妄想を垂れ流しているレイラに向いているのかもしれない。
クラスの中心人物たちとその取り巻きたちが居て、そうなると当然それを妬むものもいる訳で、僕の登校初日に絡んで来た3人組もそのうちの3人だ。
ブルーノ、フレッド、ウォーレン、僕は勝手にブーフーウーと呼んでいるが、その事はまだバレていないし誰かに話すような事もしない。
真剣での勝負は避けられてしまったけれど、剣の腕もかなりの上級者で、僕に絡んできたのも腕に自信があったからなのだろう、計算違いだったのは、僕が真剣勝負だろうと受けてしまう程の馬鹿だという事で、初対面でそこまで見抜く事はなかなかできる事では無いから仕方の無い事だと思う、当然それは僕にも言える事で、僕よりも3人のうち誰か一人でも強かったのなら、今頃は墓の中だったのかもしれないから、オードリーが僕の事を窘めるのも止む無しだったのだろう。




