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第20話 からかい上手の船員さん

食堂へ入ってからも僕たちは注目の的だった、さすがに不審に思った王子君が僕に何が有ったのかを尋ねてきたので、食事を受け取って席に着いてから何が有ったのかを説明した。

「なるほど、つまりみんなはシリルへの嫉妬心が有るんだな」

王子君は周りに聞こえるくらいの大声でそう言い放った、僕は驚いて口を塞ごうとしたが、対面に座っている王子君の口を塞ぐことは叶わず、さらなる注目を浴びる事になってしまった。

「王子君、あんまり大きな声を出さないでくれよ、それでなくてもみんなから恨まれているんだからさ」

僕は可能な限り小さな声でそう伝えたが、王子君は僕の言う事は意に介さず、

「キスのひとつやふたつで大げさだなぁ、そんな程度の事で腹を立ててちゃあ、狩竜人としても成功しないだろうなぁ」

王子君はみんなに聞こえる様に大きな声でそう言った、こんな事を言ってしまってはどんな反発を受けるかわからないため、僕は王子君を守るために身構えていると、周りの反応は意外な物だった。

「確かに、冷静さを欠いちゃダメだって教えられてたな」

「狩竜人に成るためにここに来てるんだから」

「確かにどれだけ美人が相手だろうと、俺には関係なかったぜ」

「ちょっと年増だったよな」

狩竜人としての成功と言われて、各々思う所があったらしい。

確かに僕に嫉妬している暇が有るのなら、一回でも多く剣を振るなりした方が有意義だろう。

わざわざ狩竜人に成るための学校まで来てやる事じゃ無いと気付いたのか、上級生は何事も無かったかのように振舞い、同級生の何人かは謝罪をしてきた。

王子君はこうなるとわかっていたのか僕に目配せをしてきて、

「こんな事は何日も長引かせるような事じゃないから、これで問題解決だな」

僕はまた王子君の凄さを実感してしまった、とても同級生に思えないくらいだ。こういう格好良さをレイも身につけて欲しいくらいだ。

同じく、なんで僕にキスをしたのかわからないオードリーもだ。

最後に年増と言った人は聞かれて無くて命拾いをしたね。

少し冷めてしまった食事を再開すると、アントニオが僕たちに駆け寄って来た、

「おいおいシリル、ジェイミーだけじゃなくてあんな美人にまでキスをさせて、一体何なんだよお前は」

勢いよく捲くし立てるアントニオの話しを最後まで聞いて、僕は拳骨を落とした。

「その話しはもう終わったんだよ、あの人は船長代理のオードリー、以前うちの宿屋に長期滞在して貰ったから顔見知りなの」

「顔見知りは良いけど、なんでお前にキスをしたんだ」

「こっちが聞きたいくらいだよ、ただ一つ言えることは、あの船の人達は船長から何から冗談がきついって事、恐らく僕がジェイミーにキスをされた事を知って、面白ついでにからかってやろうと思ったんじゃないかな」

「そんな事でキスする女性は居ないだろ、シリルは嘘を吐くのが下手だな」

嘘なもんか、僕がどれだけからかわれてきたか知らなだろう。

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