第125話 大金
校長室へ着くとバートン先生はドアをノックし、入室を促されると僕たちを手招いて一緒に校長室へ入った。
前回の呼び出しの時と同じくすでにジャッキー先輩が校長の前に座っており、僕たちが部屋に入って来るのをじっと見て来た。
「では、私はこれで退室します」
バートン先生は僕たちを残してすぐに退室して行き、残された僕たちは校長に促されて席に着いた、
「あー、魔力炉が壊れたという話は聞いているな」
校長が魔力炉の件について切り出した、詳しい話しは聞いてはいないけれど、雷鳥の襲来が原因で魔力炉の出力が落ちてしまい、学校のあらゆるところに影響が出てしまうために休校をする、と言うあたりまでは聞いていると校長に伝えた。
「まあ大体そんなところだ、しかし、やんちゃの費用は高くついたな」
校長のこの口ぶりだと修理費用は当然・・・、魔力炉の修理っていったいどれだけの金額がかかるんだろうか、手持ちのお金と言えば、オフィーリア姫から貰った褒美の袋に入った金貨が四人分あるだけなんだけど、それで足りるのだろうか。
僕が俯いて指を折りながら計算をしているのに気付いたのか、ジャッキー先輩が僕の肩を叩き、
「俺が責任を持つと言っただろう、お前らはお金の事は心配するな」
「え、いや、でも相当な金額なんじゃないんですか、それを一人で支払うって」
僕はそこではたと気付き、ジャッキー先輩の耳元へ顔を近付けて耳打ちをした、
「マクラウド家はお金持ちなのですか」
僕のささやきを聞いたジャッキー先輩は、大笑いをしながら更に強く僕の肩を叩き、
「そんな事は無いさ、簡単に払えるような額じゃ無いからな。でもな、それでも気にしなくて良いぞ」
「そうですか、そこまで言われるのでしたらお願いします」
簡単には払えない額の借金を背負っている筈のジャッキー先輩の顔が生き生きとしているのが気にかかる、こうまで一人で引き受けると言われると、何か裏が有るんじゃないかと思ってしまうのは少し考え過ぎだろうか。
「あと雷鳥の素材は全部あの姫様が買ってくれたから、お前ら今日から大金持ちだな」
「一人を除いて、ですけどね」
ジャッキー先輩が自虐的に反応した、それを聞いて校長も笑っている、
「市場価格よりもちょっと高めに買い取ってくれたからな、お前ら姫様に感謝しろよ」
「はい、わかりました」
実際雷鳥の素材がお金になると言っても、この学校で売れる訳では無いのだからオフィーリア姫様が買い取ってくれるのはとてもありがたい、街まで運んで貰うのも大変だろうし、買い叩かれる可能性もあるし。
「どれくらいになったんだろうね」
借金持ちのジャッキー先輩にでは無く、反対側に座っているジェイミーに話しかけた、
「昨日の褒美の10倍から20倍ぐらいかしら、私も詳しくないのですけど、恐らくはそれぐらいだと」
金額も凄い事になるけれど、それだけの金貨を部屋に置いていたら、床が抜けちゃうんじゃないかと心配になった。