第124話 驚きの展開
「ああ済まない、思い出した事が有ってな」
鼻柱の痛みを和らげようとさすっている僕たちに向けて、オフィーリア暇が謝罪の意を示した後で、
「シリル殿の御父上が、こちらに来る事になってな。ここの校長が困っていて、私から校長へ推薦させて貰った、良い腕をしているなお主の父上は」
「は、はい。ありがとうございます」
正直鼻の痛みの所為で、その場で父が来る理由について質問する事無くみんなを見送ってしまった。
その後ベッドで横になる時に思い出し、なぜ父がここへ来るのだろうと考えたが、父に出来る事と言ったら宿屋の主人と狩竜人船の魔力炉の整備ぐらいしか思いつかず、鼻の痛みなんか我慢してオフィーリア姫に聞いて置くべきだったと思案していたが、気が付いたら朝になっていた。
次の日、朝礼で父がここに来る理由がわかった。
「明日から2週間ほど、学校を休みにします」
バートン先生から発せられた言葉に、僕を含めた生徒は全員驚きの声を上げた、
「先日の雷鳥の襲来で、学校の魔力炉が調子を落とし、全校生徒を賄える食事の準備などが難しくなってしまった。昨日と今日はグッドゲーム家の狩竜人船から魔力供給を受けて事なきを得たが、いつまでもここに留まって貰う訳にもいかないため、仕方なく休校をする事になった」
雷鳥の雷でこの学校の機能が失われるとは、アル船長の船もアトモスへ来たのは船の魔力炉の修理のためだし、あれだけの落雷が有ったのだからこの学校の魔力炉にも影響は有ったのだろう。
当然その原因は僕たちな訳で、まさかとは思うけれど覚悟はしておこう。
「それじゃあシリル、ジェイミー、レイラの三人はこれから校長室へ来て貰おう」
ああやっぱり弁償させられるんだ、当然と言えば当然なのだが、魔力炉の修理ってどれくらいの費用が掛かるのだろうか。
アル船長の船の場合は、雷鳥の肉だけじゃ無くてかなりの金額を提示していたみたいだし、学生の身分で借金まで作ってしまったらどうしよう。
僕が青い顔をしながらとぼとぼと歩いてると、いつもの笑顔のジェイミーが声を掛けてくれた、
「シリル君、そんな顔しなくても大丈夫だと思うわ、それにね、ジャッキー先輩が全部の責任を持つと言っていたでしょう。当然修理の費用も、全部まとめて押し付けちゃえば良いと思うの」
僕を元気付けようとしてくれているのだろうか、その眩しい程の笑顔から発せられたとは思えないほどの言葉だったが、確かにそうしてしまえば何の問題も無いし、ジャッキー先輩は確かに全部の責任は取ると言っていた。