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第115話 漂う匂い

教室へ戻るとバートン先生に決勝戦の結果を聞かれたので、二年生のヴィクター先輩が勝ちましたと告げた、授業中の為にその場はそれだけで済んだが、休み時間にはクラスメイトに囲まれる事になった。

「オフィーリア様とシリルはどんな関係なんだ、直接招聘しに来るなんて何事だよ」

いや、聞きたい事はそれなの、剣戟大会の事は聞きたくないのかな

「そんな事はどうでも良いんだよ、それよりもオフィーリア様の事を話せ」

そうなんだ、まあ僕は戦っていないんで、どうでも良いと言われたら返す言葉も無いんだけど

「俺もオフィーリア様に謁見してみたい、どうすれば謁見できるのかな」

うーん僕自身なんで招聘されたのかわからないけど、恐らくは想像している以上に怖い思いをすると思うよ

「一瞬しか拝見出来なかったけれどとても素敵な人でした、あんなにお美しいのに世界で一番強いなんて羨ましいです」

それには全面的に同意する、世界一美しいかは僕からは何も言えないけれど、僕たちには想像も出来ないくらいの鍛錬をしていると思うよ、

「なにか凄く良い匂いが漂ってくるんだけど、これってカレーの匂いだよな」

流石にそんな事まで僕に効かないでよ、でも・・・この匂いは間違いなくカレーの匂いだ。雷鳥のカレーを作っているのかな、でも全校生徒分のカレー粉はいったいどうしたんだろう


それから午後の授業は漂うカレーの匂いに引き摺られ、まともに授業を受ける生徒は居なかった、余りにも上の空の為に全生徒分のカレーの用意が有る事と、雷鳥を討伐した僕たちからの好意で振舞われる事が宣誓の口から伝えられ、残りの時間は自習になってしまった。

当然僕もカレーは楽しみで、自習と言われても何も手に付かず、漂うカレーの匂いに包まれながら時のたつのを待ち続けた。

そして、残念なお知らせが届いた。

全校生徒が一度に食堂に入る事は出来ないため、3年生から順番に入れ替え制で食事をする事になった、まあそれは仕方が無い事だろう、仕方が無い事だがこの時ばかりは上級生じゃあ無い事を恨んだ。

入れ替えを待っている間、漂う香りと満足そうな上級生の顔に恨み言を言い、ようやく自分たちの番が来た時に違和感を覚えた、

「ジェイミーさん、今日は部屋で食べないんですか」

いつもは食堂に顔を出さないジェイミーが隣に居る事に気付いたのだ、そんな僕の言葉にジェイミーは笑みを浮かべて、

「ちょうど良いですわ、私の傍に居なさい。二度と体験できない事をさせてあげます」

そう言ってジェイミーは僕の袖の端を掴んだ、僕が戸惑っているとそれを見ていたレイラが顔を赤らめていた、なんでレイラが照れてるんだ、

「あのジェイミーさん、僕たちもご一緒する訳には・・・」

一緒に並んでいたアントニオが食い下がった、憧れのジェイミーと同席できる機会は潰したくは無い、そんな期待と不安はバッサリとジェイミーに切って落とされた、

「ごめんなさい、ご遠慮ください」

厳しい事を言う時も笑顔を崩さない、僕はアントニオと王子君に一言詫びを入れて、ジェイミーに引っ張られるまま席に着いた。

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