第108話 感覚のズレ
朝礼が終わると、担任のバートン先生に着いて来るように言われ、僕とジェイミーはそれに従った。
「あの、退学とかにはならないですよね」
あれだけの事をしでかしてしまった以上、罰則は最上級の物を覚悟しなければならないと思いバートン先生に尋ねた。
「俺はこの学校に来たばっかりだから詳しい事は解らんけど、あの時に校長と話したけどお前らの事を買ってたからな、あの感じだと退学とかは無いだろうけど、ちょっと問題が起きててな、それがどうなるか次第じゃないか」
「問題とは何ですか」
「まあ詳しい事は校長に聞いてくれ、俺がいい加減な事を言っても良くないだろ」
「そうですね・・・、そうします」
この学校の責任者と面談をするのだから、わからない事が有れば責任者に聞くのが必然だろう、僕の隣を歩いているジェイミーはどこか晴れ晴れとしていて、鼻歌でも歌いながらお花畑に向かっているような雰囲気を感じさせた、とてもじゃないけれどこれから説教を受けに行く時の顔じゃあ無い。
「ジェイミーさん」
僕は出来るだけ小声でジェイミーに話しかけた、
「何かしら」
「もうちょっと神妙な顔は出来ないの」
「あら、シリル君こそどうしてそんな顔をしているのかしら」
「いや、だってどう考えても怒られるでしょう、真夜中にあれだけの事をしちゃったんだから」
「何を言っているの、ジャッキー先輩が全責任を取ると言っていたじゃない。私たちは何の心配も要らないわ」
「いやでも共犯者だよ、流石に多少の懲罰は有るでしょう」
「大丈夫よ、そんな事よりも、雷鳥のお肉の食べ方でも考えてた方が良いわよ」
流石にそんな気分には成れないと思ったけれど、雷鳥はやっぱりカレーで食べようって話しをしていた事を思い出して少し気持ちが楽になった。
「じゃあ俺はここで、1限目は戻って来れなくても出席にしておくから」
そう言ってバートン先生は校長室の前に僕たちを残して職員室へ帰って行った、
「じゃあ入ろうか」
ジェイミーが無言でこくりと頷いたので僕が校長室のドアをノックした、
「おお、入って来い」
校長の声が聞こえたので、僕たちはドアを開けて校長室の中へ入った。
校長室にはすでにジャッキー先輩が居り、校長とにこやかに話し合いをしていた様だった。
「あの、昨日の件で来ました」
ジェイミーの言うように大丈夫な雰囲気が流れているけれど、念のために僕は深々と頭を下げて謝罪の意を示した。
「ああ、頭なんか下げなくても良いぞ。ただあんまりにも校舎の近くだったから、真夜中に起こされた先生が何人か怒っていたみたいだけどな」
先生たちが怒っていたのは真夜中に起こされたからだったのか、まあでもそれは誰でも腹が立つよな仕方が無い事だ・・・、ちょっと違和感を覚えるのは、僕がまだこの学校に成れていないからなのかな。