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第105話 漏れてびちゃびちゃ

疲労困憊の重い足取りでようやく寮の入り口に辿り着くと、多くの生徒達の羨望の眼差しと、少数の先生たち怒りの目が有った。

僕たちは雨に濡れながら、僕たちを説教し始めた先生たちは軒下で雨を避けながらだ。

死闘を繰り広げ、睡魔も逃げ出す程身体は冷え切り、今になってそこかしこが痛みを主張し始めた、正直立っているのもやっとと言えるような状態では先生の言葉も僕の脳内に全く届かない。

時間の無駄だ、そんな事はとてもじゃないが口に出せないが、正直今すぐにでも暖かい風呂に浸かって眠りたい、それが僕の本心だ。

「すいません、大きな声で言うのは憚られるのですけれど」

ジェイミーが右手を上げて暴風雨よりも激しい先生の叱責を遮った、僕たちは驚いて一斉にジェイミーの方を向くと、ジェイミーは恥ずかしそうに頬を染めながら、

「恥ずかしながら失禁していまして、お叱りはごもっともなのですが、このような辱めを受けながらというのはとても耐えれません。よろしければ湯浴みをしたいのですけれど・・・」

急に何を言い出すのかと思ったら、これだけの人が居る中でのお漏らし宣言とは驚いた、良かったお漏らしをしていたのは僕だけじゃなかったんだ、

「そ、そうか・・・、それじゃあ今日は着替えて寝なさい、日が昇ったら校長室へ来るように」

そう言うと怒っていた先生は後ろを振り向いた、そこには校長と、にこやかに話しているバートン先生が立っており、突然話しを振られたので驚いた様子で、

「あ、そ、そうだな、そうしよう、それじゃあみんな解散、みんな寝坊せずに起きるんだぞ」

校長は手を叩いてみんなを急かせて解散を促した、僕は肩を貸してくれたレイラにお礼を言うと、逆にジェイミーを守った事に深々と頭を下げられた。

正直咄嗟の事だったので勝手に身体が動いただけで、守る相手が誰だろうとそうしたと思うけど、僕の持っていた武器が雷を吸収しなかったら僕は死んでいたのかな、そう思うとやっぱり僕は馬鹿なのかもしれない、

「いいよ気にしないで、ああいう時に咄嗟に身体が動いちゃうんだよね。でも考えてから動いてたら間に合わなかったかも知れないし、大きな怪我が無くて良かったよ。それに、レイラさんの最後の矢が無ければ雷鳥は倒せなかったんだし、全員の力を合わせて戦ったんだから貸し借りは無しにしようよ」

「ありがとうございます、シリル様の事は委細お伝えしておきます」

「あ、ああ、これからもよろしく」

もしかして今僕の事を様を付けて呼んだか、そんな事は初めてなんだけど、まあ聞き間違いだろうな。

「はい、これからも末永くよろしくお願い致します」

そう言ってレイラは再び深々と頭を下げた、そんな一部始終を見守っていたジェイミーは僕の顔に向けて右手の親指を突き立てて来た、僕はそれに答えるために右手を上げようとしたけれど怪我をしていた事に気付いて左手で答えた。

二人は肩を抱き合って階段を登って行った、ジャッキー先輩も同級生に肩を借りて部屋へ戻って行った。

僕はアントニオと王子君に肩を借りて部屋へ戻った。

「ジェイミーさんも失禁したんだ・・・、俺が失禁してたって恥ずかしい事じゃ無いよな」

アントニオがキラキラした目で問いかけて来た、まあ僕もお漏らししている以上、悪い事とは答え難いけれど、アントニオへの大きな貸しが無くなってしまうのは仕方が無いか、

「身体が痺れて言う事を聞かなくなるからね、そりゃあおしっこぐらいは駄々洩れさ」

「という事はお前もか」

「ははは、あの雨の中だからね、全部流れちゃうよ」

「そう言う問題じゃ無いんだよなぁ」

肩を貸してくれている二人が少し距離を取ったような気がしたが、それは気の所為だと思いたい。

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