リゾートバイトの終わりに
「私たちがいなくなったらどうするの?」
彼女がソファに無造作に横たわり、無邪気な笑顔を浮かべながら問いかけてきた。目は、明るく照らされたテレビ画面に向けられ、何か面白いことを見つけたかのように、その声には軽やかな楽しさが満ちていた。
私は一瞬戸惑い、困惑した笑みを浮かべた。「どうしようねぇ……」と、わずかに笑みを含ませながら答えたが、その言葉の裏で心は答えを見つけられず、揺れていた。
棚の中に収められた小さなテレビには、芸人たちの笑い声が響き渡り、画面いっぱいに明るい光が溢れている。その眩しさが、私の心の中の曖昧な不安を一層際立たせるようで、私は目を逸らした。
彼女に視線を移すと、彼女は依然として楽しげな雰囲気を纏い、テレビを見つめている。彼女の無邪気な表情が、今この瞬間を全力で楽しんでいることを示していたが、私はその明るさに少しだけ取り残されたような気持ちになった。
部屋の中は、柔らかな光を放つシャンデリアが優雅に輝き、青い壁紙が上品な色合いを醸し出している。学生にはあまりにも贅沢すぎるこのリビングルームは、いつしかテレビが常に点けられ、毎日の憩いの場となっていた。
彼女と出会ったのは、この夏のリゾートバイトでのことだった。大学1年生の私は、留学費用を貯めるために、少しでも高い時給を求め、この高級ホテルで働くことを選んだ。
だが、思いがけず彼女との日々が私の心を色鮮やかに塗り替え、単調なはずだったバイト生活がまるで違ったものへと変わっていった。仕事を終えると、私は彼女の部屋で共にくつろぎ、深夜には未来への不安や過去の経験について語り合いながら、甘いアイスを一緒に味わった。笑い声が部屋中に響くたび、私の心の中には安心感がじんわりと広がり、未来への漠然とした不安さえも、彼女の笑顔に溶け込んでいった。
「新しい人と仲良くならなきゃ」
彼女が明るい声で言いながら、笑い声を交えて言葉を投げかけた。その声には、まるで次の冒険が始まることを待ち望むような、期待に満ちた響きがあった。
そして、私を諭しているようだった。私たちの時間が確実に終わりに近づいていることを知りながらも、彼女はその事実を軽く受け流し、前向きな気持ちで次の一歩を踏み出す準備をしているようだった。しかし、私はその言葉にふと胸を締め付けられた。彼女の明るさが、私には遠く感じられ、二度と同じ場所に戻れないという現実が、心に重くのしかかった。
私は再びテレビに目を移したが、やはりその画面は眩しくて見つめ続けることができなかった。しかし、一緒に過ごすこの瞬間を少しでも長く保とうと、私は意識的に再びテレビに目を戻し、話題を振ってみるのだった。その時間が少しでも続くように、彼女の隣にいることを確かめるために。
この夏、2回目のリゾートバイトにして最高の友人と出会いました。覚え書きとして投稿します。