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ホットココアとダウナー

作者: 織田弥

この作品は、僕が演劇部に入って初めて書いた脚本です。

ぜひ、温かい目で見てやってください、、、

・坂口千鶴…女子高生、ダウナー気質で悲観しがち。

・太宰静…千鶴の幼稚園からの友達で千鶴に優しい。

・中原潤一郎…明るく元気なアホの子。太宰と喧嘩しがち

・森治…礼儀正しく誰にでも敬語。頭がいい。

・谷崎淳…千鶴たちが毎日のように入り浸るカフェの店員

・織田作之助…千鶴の彼氏で心の拠り所。陽気。


カフェのドアベルの音。四人の学生が入ってくる。

空いている席に勝手に腰掛ける。



中「聞いてくれよおい!俺古典のテスト赤点だったんだよ!国木田の作るテスト難しすぎるんだよマジでよぉ!」

森「これだから中原くんは…もっと余裕を持って勉強しなさいとあれほど――」

中「違うんだよ治!あのーあれだ!忙しくてよ!」

太「あら、本当かしらね?クラスであんなに、帰って寝るまでFPSできるぜ!なんて言ってたくせに」

坂「話し相手の友達にも勉強しろ、なんて言われてたね」

中「あー!煩い煩い煩い!そ、そうだ!太宰はどうなんだよ!赤点だったら人のこと言えねーぞ!?」

太「え?私は普通に回避したわよ?たしか80点くらいかしら」



中「なん…だと…」

森「太宰さんは文系科目は得意ですからね」

太「数字は見ただけで吐き気しちゃうからねー。ダメなのよー」

中「くそ、去年は俺と対して変わらなかったのに…!」

太「これだからゲームのことしか頭にないゲームバカは困るわよねぇ、いつかゲームと現実の区別つかなくなっちゃうわよー?」

中「そんなわけないだろうが!」

太「あら?古典のキルレート低いわよ?大丈夫かしら?」

中「だ、太宰てめぇ――」

森「まぁまぁ、次こそはちゃんと勉強して見返せますよ。とりあえず落ち着きましょう、ゲーム廃人。」

中「あだ名が酷くなってるんだけどー!?」

坂「授業寝ないだけでもだいぶ変わるよ。あと、赤点とっちゃったなら文芸部…来れなくなっちゃうね。バカ」

中「坂口さんに関してはストレートな悪口!確かに部活に行けないのは申し訳ないけれど…でも仕方な――」

太「煩いわね脳内FPS野郎!コントローラーでもいじってなさい!」

中「脳内FPSって!?何!?脳内で戦争してんの!?」

太「あ、ちーちゃんはどうだった?」

中「無視かよ…」

坂「私は…90点あったよ」

森「さすが坂口さんですね。赤点続出のテストを作り続け、ついたあだ名は赤点製造マシーンと呼ばれた国木田先生のテストでそこまで取るとは。」

坂「今の私には…勉強しかないから…」

谷「おやおや、騒がしいと思ったら君たちか、また勝手に席に座って…居るなら一声かけておくれよ」

太「あ!淳さん!こんにちはー!」

中「えー!?いーじゃんよー!このカフェいっつも人いないんだからよー」

森「そうですよ。僕たちのおかげで経営できてるって言っても過言じゃないですし。」

谷「確かに君たちにはほんとに助かっているが…まぁいい、飲み物は決まったかな?」

中「俺コーラで!」

森「僕はコーヒーでお願いします。」

太「私はさっきコンビニで買ってきたものがあるのでー」

谷「静ちゃん、またコンビニかい?たまにはうちのメニューも――」

太「あー!次頼みます次!今日の分もプラスで!」

谷「そうかそうか、次来る時が楽しみだね」

坂「私は…ココアで…」

谷「コーラにコーヒーとココアね、すぐ持ってくるからちょっと待っててね」


谷崎、飲み物を用意しにいく。


中「坂口さんまたココア?好きだねぇ、飽きないの?」

太「ちーちゃんって年中ココア飲んでるわよねぇ、しかも謎に暑い夏でもホットココアを頼んで」

中「人のこと言えねーぞ太宰、お前は毎日エナジードリンクばっかり飲んで、カフェイン中毒か?」

太「エナジードリンク舐めるんじゃないわよ!?目が覚めるだけじゃなく、いろんな味があって美味しいし飲んだことないからそういうこと言えるのよ!それに、中毒はあんたでしょ?ゲームばっかりして――」

森「まぁまぁ、それは置いといて、それほどホットココアが好きなのですか?」

坂「作が、好きだったから…」

中「…あー…作ちゃんか、本当にどうしたんだろうな」

森「そうですね。いきなり消えてしまうだなんて織田くんらしくない…確か時間的に塾の帰りに居なくなったらしいですね。警察は誘拐の線で捜査しているそうですが…」

中「あいつモテるからなぁ、意外と男から恨み買って殺されてるかもしれねぇな!」

太「ちょっと、バカ!縁起でもないこと言わないの!」

坂「もしそうなら私…私は…もうどうしたら…」

太「ほら!ちーちゃん泣きそうだよ!?あんたのせいで!」

森「いきなり連絡なしに彼氏に消えられた上、そんな不安を煽るようなこと言われたら…中原くん、謝りましょう。」

中「坂口さん、ごめんなさい!大丈夫、きっと大丈夫だから!」

太「女の子泣かせて、フォローも下手くそ、だからモテないのよー」

中「ぐぬぬ…何も言い返せない…」

坂「私…私、ココア飲んだら作が近くにいる気がして、だから…」

中「そっか…」

谷「飲み物持ってきたよ〜…てあれ?みんなどうかしたのかい、そんな暗い顔をして」

中「えと…作ちゃんの話してて」

谷「心配だね、でもいくら不安がっていても、何も変わらないだろう?吉報を待とうじゃないか、そうだ!元気づけに今日も私の謎かけと洒落込もうじゃないか!」

太「うわー、またでたわー、しょうもない謎かけシリーズ」

中「はぁ、そんなことばっかやってるから30半ばになっても独身で、カフェも全然お客さんが来ないんだよ!」

谷「そ、それとこれは関係ないじゃないか!…それじゃあ!インスタント麺と掛けまして、好きな人から告白されたと解きます。」

中/太/森/坂「その心は!!」

谷「どちらも、そくせきめん、でしょう!」



森「え?」

中「は?」

太「はい?」

坂「…」

谷「え?わからないのかい⁉︎……うーん、仕方ない…説明すると――」

坂「インスタント麺は、即席麺、好きな人から告白されると顔が赤くなって、即、赤面。」

太「言われればわかるけど…」

中「今時告白はSNSが多いから、赤面してるからなんてわからないもんなぁ…」

森「まぁ、谷崎さんにしては高レベルだったと思いますよ。」

坂「私は…面白いと思いますよ。多分…」



太「そ、それじゃ…私たち帰りますね!」

坂「私もそろそろ」

森「僕も塾がありますし、帰りましょうか」

中「お金ここおいてくねー淳さんー」

中/太/森/坂「ごちそうさまでしたー!」


急いで捌ける四人。


谷「そこまで酷くないじゃん...」


谷崎。グラスを片づける。

ホリ暗→明

カフェ。ドアベル


坂「こんにちは」

中「あーあ、今日も一日眠かったわー。もう少しで全部の授業寝るところだったわー」

太「寝るところ、じゃなくて寝てたでしょうが!あんたそれじゃまた赤点とるわよー。あ、そうだ、エナジードリンク飲んでみる?目覚めるわよ?」

中「の、飲まねぇよそんな健康に悪いもん!それに赤点もとらん!俺はスロースターターなんだよ!まだ本気出してないだけで――」

太「いつになったら本気出すのかしら?それじゃ宝の持ち腐れよ?あ、腐る宝なんて、持ってないかしら?」

中「くっそが!次のテスト覚えてろよ!首括って待ってろ!」

坂「中原くん、首洗って待ってろ、だよ。首括ったら死んじゃう」

太「日本語もまともに使えないんですかー?赤ちゃんからやり直しまちゅかー?」

中「あーもう!ムカつく!」

太「ふーんだ!」


ドアベルの音。森が入ってくる。


森「皆さん大変です!」

太「森くん?どうしたのよそんな息切らして…」

中「そうだぞ、こんなに慌てて。それにこの時間、治は委員会じゃねーのか?」

森「今はそんな場合じゃ!織田くん…織田くんが――」

坂「作がどうかしたの!?」

森「お亡くなりに...」



坂「嘘…そんな…」

太「じょ、冗談…だよね…」

中「おい、治、ほんと…なのか?」

森「わかりません。委員会の仕事で偶然職員室を通りがかった時、中がざわざわしてて…」

中「なんでそれだけであいつが――」

森「中からこう聞こえたんです。優等生の織田が死んでしまうなんてって…」

中「…」

森「僕だって聞き間違いだって思いたいですが…」

坂「作…」

太「で、でもまだ確実にそうだなんて!」

中「そ、そうだ!き、きっと何かの間違いだろ!」

坂「…もしそうだったら私…嫌だ…嫌だ!」

太「ち、ちーちゃん!落ち着いて!きっと大丈夫よ!」

森「とりあえず情報の確認を――」

中「確認ってどうとるんだよ!」

太「ネットニュースなら情報があるかも!」

森「見てみましょう!」

太「あった!速報で入ってる!」

中「な、なんて書いてある?」

太「今日未明、6月13日から行方不明の高校2年生織田作之助さんの遺体が発見された、だって…」

森「やっぱり…」

中「おい、まじかよ、こんなのってあるかよ…!!」

坂「…作、嫌だよ、まだ一緒にいたかったのに、作がいなくなったら私、生きていけないよ…作、作…」

中「さ、坂口さん!お、おお、落ち着いて!深呼吸しよ!?」

太「今日は7月25日、丁度去年、織田作とちーちゃんが付き合い始めたのよね…私告白の時に居合わせてたから覚えてる…」

森「もし織田君が生きていたら、付き合って1年の記念日だった訳ですね…」

坂「こんなのって、酷い、酷いよ!!!うわぁぁぁぁん!」

中「坂口さん!」


坂口、どこかへ走り出す。


森「行ってしまいましたね…」

中「おい!追わなくていいのかよ!」

太「やめたほうがいいかも、さらに情緒を不安定にしちゃうかもしれない。」

森「今は心の整理をさせてあげましょう」

中「…わかった」

谷「ふぅ…疲れた疲れた!もうじき閉店時間だし、店を閉める準備でも…」



谷「君たち…また何かあったのかい?と言っても大方予想はついているんだけどね」

森「…実は織田くんが――」

谷「やっぱりその話か、例の誘拐犯の話だろう?どうやら被害にあったのは、彼だけじゃないらしい」

中「作ちゃん以外にも…?」

谷「あぁ、さっきニュースを見たんだが、同じような事件がここ二、三ヶ月で五件あったらしいよ。」

太「ほ、ほんとだ…被害者にはなんの共通点もなく、警察は無差別事件として捜査を進めている…だって…」

森「じゃ、じゃあ織田くんは…」

谷「誰かに恨まれてるとかではない、と今の状態では考えられるね、ただ、運が悪かったとしか…」

中「どうして…どうして!あいつがこんな目に遭わなくちゃなんねぇんだ!納得いかねぇよ!」

谷「…納得いかなくても、容赦のない理不尽を耐えていかといけないんだよ」

中「そんな、なんだよその言い方…淳さんは、かなしくないの――!」

谷「悲しいよ、私だって悲しいさ、人が亡くなったりするのは、それがよく知ってる人なら尚更、けれど一回逝ってしまった人はもう戻ってこない。嘆いたって、キリがない…」

太「私…不安になってきた…」

中「何がだ?」

太「ちーちゃん、ちーちゃんと私と織田作は幼稚園から一緒でずっと仲良しだった、ちーちゃんはもともとテンションが低くて…無愛想って思われていじめられることも多かったの」

森「僕も中原くんも坂口さんとは中学校で知り合いましたね。確かに坂口さんは人付き合いが苦手そうだとは思いましたが…」

太「そんな時助けてくれたのが織田作だった、ちーちゃんはそんな織田作のことが好きで告白して付き合った。今考えると今も昔もちーちゃんは、織田作に依存までしてたんじゃないかなって…」

中「そんな作ちゃんがいなくなったら…」

谷「きっと、心のダメージは想像もつかないほどに酷いだろうね」

太「もしかしたら、ちーちゃんの心の傷は一生治らないかもしれない…そう思うと私、可哀想で…」

森「やはり坂口さんの状態を確かめた方が良さそうですね。」

太「家に行くのは…やめといたほうが良さそうね…」

中「また学校で話すしかないな…」


太宰、中原、森帰る


谷「あ……今日みんな何も頼まず帰っちゃった…」


ホリ暗→明

カフェ。ドアベル


太「淳さん、こんにちは。……ちーちゃん、今日で1週間も学校にこなかったことになるんです。今日の補習にも、見た感じいなかったし…」

谷「うーん、心配だね。」

森「先生曰く、体調不良とのことですが…大丈夫でしょうか。」

谷「千鶴ちゃん自身まだ心の整理がついていないだろうし、難しいところだね」


谷崎、注文を訊く


中「よーっす、ただいまー」

谷「ただいまだなんて、ここは君の家じゃないんだから…」

中「いやぁー、俺からしたら、ここは第二の家みたいな感じなんだよ!」


中原に注文を聞いて用意をする谷崎。


太「それにしても、遅かったわね」

森「珍しく先に行っててくれだなんて、何してたんですか?」

中「実は、先生に課題出してないのがバレまして…」

森「どうしてバレないと思ったんですか!!」

中「ま、まぁそんなことはどうでもいいじゃん!…それでだ森君!君を俺に明日提出の課題を見せる係に任命しよう!」

森「はぁ、全くと言っていいほど学んでないですね中原くんは。これで何回目になることやら…」

中「別にいいだろー?課題なんて出せばいいんだよ、出せばー」

太「だからいつまで経ってもテストの点が上がらないのよー」

中「別に課題やらなくてもテスト週間に勉強すればいいだけだしー」

谷「その言葉、このカフェでだけでも何回も聞いたなぁ…」


谷崎、飲み物を持ってくる。


森「そして、それでもやらないのが中原君ですものね。」

太「そうそう!」

中「な!失礼な!俺だって少しくらい勉強するってーの!」

谷「あはは、次は赤点がないといいね。あ、私は少し用があってカウンターを離れるから宜しくね」


谷崎捌ける。


太「宜しくねって…」

森「これができるのも僕たちしか客がいないからですね…」

中「そろそろ本気でこのカフェが潰れないか心配になってきた…」


ドアベルの音が鳴る。

千鶴が入ってくる。


太「え!?ちーちゃん!?どうしてここに!?」

坂「ここに来たら、みんなに会えるかなって…」

森「体調不良と聞いていましたが、大丈夫ですか?」

坂「うん、大丈夫。今日の補習にもちゃんと出れたよ。皆んなに会えなかったからここならって思ったの」

中「作ちゃんのことは、もう大丈夫なのか?」

坂「ん?作?」

太「ちょっと!やめなさいよ!」

坂「作がどうかしたの?」

中「いや、誘拐されて殺された――」

坂「ふふ、何言ってるの?中原くん、勉強のしすぎで頭変になっちゃった?」

中「いや、だって、ニュースで…」

坂「作は今海外留学中でしょ?冗談やめてよー」

太「ちー…ちゃん…?

坂「どうしたの?静ちゃん」

太「本気で…言ってる、の?」

坂「え?本気だよ?なんか今日みんな変だよ?いきなり作を死んだことにして…」

森「坂口さん、織田くんは誘拐されてその先で殺されて――」

坂「もー、みんな今日はエイプリルフールじゃないよ?嘘つきは泥棒の始まりって言うでしょー?よくないよー?」

太「ちょっと、中原、ちーちゃんおかしくなってない…?」

中「あぁ、明らかに様子が変だ、なんか、誘拐事件のことを無かったみたいにしてるな…」

森「どうしたんでしょうかね…」

坂「みんなで何話してるのー?さては、私のこと揶揄うための会議中?」

太「明らかに口数が多いよ?やっぱりおかしいよ!」

森「ショックからか、記憶が飛んでしまったのでしょうか…」

中「そうか…なら…。坂口さん!!」

坂「どうしたの?中原くん」


中原、棚から新聞を取り出す。


中「この新聞記事を読んでほしい」

太「ちょ、ちょっと!このバカ!なんで見せたのよ!」

中「なんでって、説明するためだよ」

坂「これは…新聞?」

中「そうだ、作ちゃんが殺された日の…」

森「とても悲しいことですが、しっかり受け止めて――」

坂「もー、酷いよみんなー!勝手に作が死んだことにしてー!」

太「ちーちゃん…織田作は本当に…」

坂「静ちゃんまで!作が聞いたら悲しむよ!?」

中「坂口さん、お願いだから、しっかり聞いて欲しい」

坂「しっかりも何も、みんなも空港で作のこと送ったじゃん!覚えてないの?」

森「そもそもそんなこと――」

坂「ほら、作、英語が得意で大好きだったでしょ?」

太「確かにそうだけど…」

坂「作ったら、いきなり、俺、留学する!なんて言い出して私びっくりしたもん、でも作のこと応援したかったからさー」

中「…」

坂「あ、私今日は早く帰ってくるように言われてるんだった!じゃあね!みんな!」


千鶴捌ける。


中「行っちまったな…」

森「やはり明らかに様子がおかしいですね。」

太「ちーちゃんの中の織田作は、海外に留学してるってことになってるし…」

森「受け止められないのでしょう、この辛い事実を」

中「クソ!どうしたらいいんだ…!」

太「時が解決してくれるもの、なのかしらね…」

中「いや、このままじゃきっと、坂口さんはずっとあのままな気がする…」

森「そうですね…。また話してみるしか他に方法はありませんね…」

太「明日の部活に来るといいけど……」


暗転

部室


中「うぃーっす、坂口さん、まだ来てないよな?」

太「えぇ、まだ大丈夫よ」

中「そもそも坂口さん、耳傾けてくれるかな」

森「傾けてはくれそうですが、冗談扱いされるのがオチでしょう」

太「どちらにしろ、やるしかないわ」

中「坂口さんが来たらスタートだ。いいな?」

森「作戦開始です。」


坂口入ってくる


坂「あれ?皆早いね、部活熱心なのはいい事だ――」

中「坂口さん!!」

坂「は、はい!」

中「もう一度だけ聞いて欲しい」

坂「何を?」

中「作ちゃんは、もうこの世にはいないんだ――」

坂「またその冗談?流石に怒るよー?」

太「思い出して!ちーちゃん、7月25日、2人の記念日になるはずだった日のことを!」

坂「今日で一年経つねーって2人で電話で話したよ?」

太「それは偽物の思い出なの!この新聞が何よりの証拠でしょ⁉︎」

坂「だってそれは…中原くんが作った偽物でしょ?」

森「誘拐事件のことだけじゃない、政治や今流行りのeスポーツの面だってある、ゲームバカの中原くんだからeスポーツはまだしも、政治のニュースをこれほど集められると思いますか?」

坂「それは…」

太「それにわざわざ職員室にまで聞きに行ったでしょ?はっきりと聞いたじゃん!誘拐されて殺されたって」

坂「覚えてない」

中「本当か?いつものカフェで、作ちゃんどうしたんだろうって話したことも覚えてないのか?」

坂「…うん」

中「じゃあひとつ聞こう、前の俺の古典のテストの出来はどうだったか知ってるか?」

坂「赤点って言ってた」

中「なんで知ってるんだ?俺がそのことを言ったのは、坂口さんが覚えてないって言ってた話の時だったはずだよ」

坂「そ、それは…」

森「本当は、わかってるんじゃないですか?」

坂「やめて!」

森「認めたくないだけなんじゃないですか?」

坂「嫌だ!」

森「覚えてないふりをしているだけじゃないですか」

坂「もうやめて!!」

太「ちーちゃん…」

坂「あはは、知らない、何も知らない、覚えてない、全部全部全部、あはは、あははは!」


いきなり走り出す坂口


中「ちょっと坂口さん!」

太「失敗か…」

森「なかなか手強いですね。」

中「でも、やっぱり覚えてないふりをしてる気がする」

森「早く助けないといけませんね」

太「ちーちゃんの家に行ってみようよ」

中「そうだな、行くぞ!」


ふらついた足取りで千鶴が歩いている


坂「あははははは!知らない!全部知らない!作は…!作は死んでなんか…ずっと一緒って約束したんだもの!作が約束を破るわけがない!まだたくさん、行きたい場所もやりたいこともあるんだから!大丈夫!作は絶対会いに来てくれる!大丈夫だよね?作?私嫌だよ、会えなくなるなんて、作が会いに来てくれないなら、私から行くね、待っててね、あはは!あははは!あはははは!」


地面の段差に躓く千鶴


坂「はは…あはは…私、何やってるんだろう…」


ドアベルの音


谷「あれ、今日は1人か、それに、久しぶりだね」

坂「…」

谷「1人で此処にきたって事は、何か訳ありなんだろう?」

坂「…はい」

谷「話聞くよ、あ、ちょっと待ってね、はい、ココア」

坂「ありがとう、ございます。」

谷「今日は寒いからね、ホットにしといたよ。これぞ匠の粋な計らい!なんちゃって!」

坂「…そうですね」

谷「さて、で?何があったんだい?」

坂「作のこと、で」



坂「私、わかってるんです、作がもうこの世にはいないこと。でも、受け止められなくて…」

谷「そうなんだね」

坂「静ちゃんも、森くんも中原くんも説明してくれてるのに、私、逃げてしまって」

谷「…」

坂「今日も、3人が必死に説明してくれてたのに私受け止められなくてヤケになって、逃げちゃって…あてもなくふらふらして最終的に此処に行き着いて…私、どうしたら…」

谷「千鶴ちゃん」

坂「どう…しましたか?」

谷「もし作之助くんが今の千鶴ちゃんを見たらなんて言うんだろうね」

坂「え?」

谷「ただの興味だよ、千鶴ちゃんになんて言うんだろう、何をして欲しいって願うだろうって」

坂「わかりません…」

谷「私にもわからないな」

坂「じゃあなんでそんなこと――」

谷「興味って言っただろう?まぁなんだっていいんだよ、向こう側にいる作之助くんが何を思っていても、もう彼の言葉は君には届かないのだから」

坂「はい…」

谷「一度向こう側へ渡ってしまったらもう二度と会えない、戻ってこない、言葉だって交わせない」

坂「…」

谷「だから人は形見を残したりして、その人が残したものに思いを馳せるのさ、それが、その人の存在した証になるって信じて」

坂「…はい」

谷「作之助くんが残したり物、形見ってなんだろうね?一緒にいた君ならわかるのかな?」

坂「…わかりません」

谷「僕が思い浮かべたのは、彼がここに来ていた時にずっと飲んでいたホットココアかな、彼は夏の暑い日もホットのココアを飲んでいたね」

坂「作は、ホットの方が味がいいんだーってずっと言ってました…拘りが強くて」

谷「そうそう、僕にはよくわからなかったなぁ…」

坂「私にも違いはなかったように思いました…」

谷「あはは、そうか。それだけ拘っていたホットココアよりももっと彼が大切にしていたものがあると、僕は思うんだ、何かわかる?」

坂「…いいえ」

谷「簡単に言えば、彼が愛していたものだ」

坂「うーん…」

谷「5秒前」

坂「え⁉︎えと…」

谷「4、3、2、1、ブッブー」

坂「結局なんですか?」

谷「それは君、だよ」

坂「私、私が…?

谷「そうだよ、君だ。」

坂「それって…どう言う――」

谷「そのままの意味さ、作之助君は君のことが大好きだったじゃないか、君といた時の作之助君はいい笑顔だったよ」

坂「そうですか…」

谷「だから、君自身が、形見なんだ、大事な宝物なんだよ。」

坂「…」

谷「宝物には、壊れて欲しくないだろう?」

坂「はい…」

谷「すぐ元気になるなんて無理だろうし、引きずるなとは言わない、人間は歴史から、過去から学ぶ生き物だからね、けれどいつまでも辛い過去に囚われてはいけない」

坂「…」

谷「ましてや、作之助君がいないからと言って自分の人生に悲観して、自分を傷つけたり、命をたったりする事は望まれていない。いくら死人に口なしといえどもわかるだろう?作之助君と心を通じて合わせていた君なら」

坂「はい…」

谷「今は辛いかもしれない、だが失ったものはもう戻ってこない、失ったものを数えてはいけない、今君にあるものを見てごらんよ?」

坂「もう私には…なにも…」

谷「本当にそうかな?君にはまだ、大切なものが残ってるんじゃないかな。今だって君を探しているかもしれない」

坂「そう…ですか…」

谷「そうだよ。今日のところはもう帰りな、もう遅いしこれからもっと雨が強くなる予報だからね」

坂「はい…わかりました…あの、谷崎さん」

谷「ん?」

坂「ありがとうございました」

谷「私は何もしてないしさ、それに、まだ終わってないだろう?君にはまだすべき事があるはずだよ。兎にも角にもあとは千鶴ちゃん次第だよ」

坂「わかりました…おやすみなさい」

谷「じゃあね」

坂「私の…作以外の大切なもの…」



潤一郎、静、治、カフェに入ってくる。

一人の女性が離れた席で座っている。



森「…ここにもいない…谷崎さんも居ないし…ん?珍しくお客さんが――」

中「クッソ!なんで家に帰ってないんだ?」

太「おかしいよね…絶対居ると思ったのに、本当にどうしちゃったんだろう…………もしかして、織田作之助後を追って……途中で自殺…そんな私、もしそうだったら…」

森「落ち着いてください!まだ決めるには早いですよ!そうならない為に今必死で探してるんじゃないですか!!」

谷「おぉ、君たちか、今ちょうど入れ替わりで千鶴ちゃんが帰っていったところだよ」

太「何か話したんですか?」

谷「そうだね、彼女にも悩みがあるんだよ」

森「どんな話をしたんですか!?」

谷「ちょうど君たちの話をしていたところだったよ」

中「俺…たち?」

谷「千鶴ちゃんが、君たち3人が必死に説得してくれてるのに、自分が受け止められなくて、迷惑かけちゃってる、みたいな事をね」

太「そんなことを…」

谷「まぁそんなところだよ。そして、私から言えることは言った、あとは、本人次第だし、君たち次第でもある」

中「へ?」

谷「君たちは千鶴ちゃんにどうなって欲しいんだい?そこまで千鶴ちゃんを追いかけて、何をしたいんだい?」

森「それは、坂口さんに、状況を受け止めた上で立ち直ってほしくて」

谷「そうか…、いいかい?人間って云うのは1人じゃ絶対に生きていけない、誰かと繋がって支え合っていかないとダメなんだ」

中「はい…」

谷「それが弱っている時なら尚更ね、どん底から這い上がってくる最中にする行動で人は大きく変わる、弱っているのに、助けを求めているのに突き放してしまったら、2度と立ち直れなくなってしまうかもしれない」

太「…はい」

谷「じゃあそうならない為に君たちには何ができるだろう」

中「俺達に…?」

谷「うん、そうだよ」


考える三人。


森「わからないです。」

谷「簡単じゃないか、悲しみに暮れている千鶴ちゃんに寄り添ってあげればいい、手を差し伸べればいい」

中「手を差し伸べる…」

谷「そう、勇気づけてあげるんだ、君たちの言葉で」

太「でも、私たち、ちーちゃんの気持ちを理解してないのにそんな事言ったって――」

谷「人の気持ちを理解する、なんて無理さ。千鶴ちゃんの悲しみは千鶴ちゃんにしかわからないよ。」

森「じゃあ、どうすれば――」

谷「言っただろう?君たちの言葉で勇気づけるんだって、今の千鶴ちゃんの心が欲しているのはなんだと思う?」

中「…」

谷「千鶴ちゃんが欲しいのは気持ちを察して励ますようなそんな薄い言葉じゃない。大切な人がいる温かさ、そして辛い事から一歩踏み出す勇気だよ」

森「温かさと、勇気…」

谷「そしてこれを挙げられるのは君たちしかいない」

太「…どうしてですか?」

谷「君たちが千鶴ちゃんの親友だからさ。」

中「俺たちが、親友…」

谷「違うのかい?」

太「いや…」

谷「だろ?今の千鶴ちゃんは自分が持ってる作之助君以外の大切なものに気づいてない」

太「はい…」

谷「だから、君たちが教えてあげるんだ、自分たちがいるんだって、自分たちと前に進もうって」

森「…」

谷「向き合うんだ、正面から。ぶつけてくるんだ、君たちの心からの言葉を、ね?」

森「わかりました…」

中「…俺達、頑張ってきます…!!」

太「ありがとうございます本当に」

谷「いやいや、何もしてないよ、千鶴ちゃん今日はもう帰っただろうから、話すなら別の日にしてあげな、僕もちょうど店を閉めようとしてたところなんだ」

中「まぁ閉めるも何も今日もいつも通りにお客さんは居ないから閉まってるもとうぜ…って誰かいる!?」

森「そうなんです、さっきから気になっていたんですけど――」

太「え!?本当だ!新しい常連さんですか!?」

谷「こ、こらこら!迷惑だから!やめなさい、あの人は最近来てくれるようになったお客さんだよ!」

森「でも谷崎さん、さっき店を閉めるって――」

谷「そそ、そうだね!あの人もじきに帰るさ」

太「良かったですね!新しい常連さんができて!」

谷「嬉しい限りだよ。まぁ、君達も頑張るんだよ」

中「わざわざありがとうございます!」

森「ありがとうございます、さようなら」

谷「さようなら」


カフェから出る三人。


中「心からの言葉かー、どんな風に言えばいいんだろうな」

森「谷崎さんは僕らにしかできないと言いましたけど、本当に僕たちにできるのでしょうか」

太「わからない」

森「そうですね、そして僕たちにできるのは僕たちの想いを素直に伝えることだけ」

中「そうだな、そして信じるんだ、坂口さんを」

太「ちーちゃんは絶対想いに応えてくれるはず…」

中「俺たちで坂口さんを救うんだ」

太「そうね、親友の私たちにしかできない事、なんだものね!」

森「織田君も坂口さんの笑顔を願ってると思いますしね!」

中「あぁ、坂口さんがあんなんじゃアイツも成仏できねぇだろうしな!」

太「そうよね、私達でちーちゃんを元気付けましょ!」

中「よし、次に坂口さんに会った時がチャンスだ、そこで決めるぞ!」



暗転



坂「あれここは…どこ?何もない空間…」

織「よっ!久しぶり」

坂「作!」

織「会えて嬉しいよ、寂しかったか?

坂「うん、とっても…ここは…?」

織「夢の中、だね、幽霊になって呪いに来たんだよ」

坂「え?呪い?そんな、酷い…」

織「いや、冗談だからね?ほんとすぐ間に受けるんだから…」

坂「だって本当っぽいんだもん!」

織「ごめんごめん、反応が面白くてさ、ついね」

坂「もー!」

織「最近は、元気にやってっか?」

坂「…」

織「まぁそりゃそうか、大好きな人が突然死ぬんだもんなぁ」

坂「よく自分で自分のこと大好きな人って言えるね」

織「あれ?違った、あーそれはごめん」

坂「…最低!」

織「ごめんってば、色々と…」

坂「死んだ時のこと、覚えてないの?」

織「あぁ、覚えてないよ残念ながら」

坂「そっ…か…」

織「おうよ、にしても、残念だなぁ」

坂「何が?」

織「お前を最後までお世話しきれないことがだよ」

坂「お世話って、そんなペットみたいな――」

織「俺から見たら可愛い犬みたいなもんだったけどなぁ〜」

坂「褒めてるの?それ」

織「もちろん」

坂「ならいいけど…」

織「もっと一緒に、いたかったな、楽しかったよ、お前との日々も中原や、太宰、森との生活も楽しかった、もっと…生きてたかったなぁ…」

坂「作…」

織「でも、俺にはもう無理だからよ、残念ながら、だからこうして最後くらい言葉交わしにきたわけよ」

坂「そっか…」

織「今は辛いかもしれないけど、時が経ったら大丈夫だから」

坂「本当?」

織「あぁ、きっと。そん時には俺のことを忘れてるかもしれないけどな」

坂「忘れないよ、忘れられるわけがない」

織「忘れてくれないと困るなぁ、じゃないと、俺のことばっか引きずって新しい好きな人できないぜ?」

坂「別にいい」

織「よくないよ」

坂「…なんで」

織「俺はお前に幸せになってもらいたいんだからさ?そのために俺は必要ないだろう?」

坂「…」

織「それに、谷さんにも言われただろう?いつまでも引きずるなって、今自分にあるものを見て生きていきなって」

坂「なんでそれを…」

織「俺はずーっとお前の事を見てるからな!」

坂「作…」

織「確かに、今生の別れだ。寂しいし、悲しいだろうよ。悲しくない別れなんてないよ」

坂「…うん」

織「けど俺は、元気のない千鶴を見ていたくないよ、大事な人には笑っていてほしい」

坂「でも私…作がいなきゃ――!」

織「俺以外にもそう思ってる奴はいるよ、千鶴が見えてないだけでね」

坂「…」

織「千鶴、俺は楽しかったよ、今まで。幸せだった。未練がないと言えば嘘になるけど胸を張って言える。千鶴の彼氏でよかったって」

坂「そっ…か…」

織「だから今度は、千鶴に幸せになって貰いたいんだ。俺には幸せにすることはもう…無理だからさ!今は辛いだろうけど…無いものは無いんだよ。残された人は、残っているもの見て生きていくしかないんだ」

坂「嫌だ…嫌だよ――」

織「千鶴、お願いだ、よく考えてくれ、自分には何があるのか何をすべきかをさ。そして俺と約束してくれよ、俺の分まで幸せになるって、俺のことは忘れてくれていいからさ?俺は勝手に見てるから」

坂「…わかった、考えてみる…」

織「ありがとう」

坂「でも、私は…私は忘れたくない!大切な人!大好きな人!大事な思い出!全部!忘れたくないから!だから、だから…今はわからないけど、必ず乗り越えて見せるからね」

織「泣けるなぁおい」

坂「バカにしてるでしょ!」

織「してねぇーよ!あ、そろそろ時間だ、俺は行くよ」

坂「向こうでも元気にしててね?ずーっと後にそっちに行くから」

織「ずっと待ってるし、ずっと見てるよ」

坂「ありがとう…」

織「じゃあな、あ、ちょっと待った」

坂「え?」

織「やっぱ呪ってくわ」

坂「え?呪う⁉︎」

織「ちづる、大好きだぞ。」

坂「え…?」

織「気が変わった、俺のこと覚えといてくれよ、忘れられなくなる呪いだよ、じゃあな!」

坂「あー!ちょっと!…行っちゃった…」



スポット消えて明転。

登校中の道



中「坂口さん、今日学校来るかな……それに部活も…」

太「きっとくるはず、今日こそ、腹を割って話して、ちーちゃんを助けてあげるんだから!」

森「準備万端!あと坂口さんを待つだけです」

坂「おはよう、みんな今日も早いね」

太「ちーちゃん!」

坂「びっくりした、そんなにおっきい声出さないでよいきなり…どうしたの?」

太「織田作のこと――」

坂「御免なさい――」

太「え?」

坂「御免なさい、必死に説明してくれてたのに」

中「坂口…さん?」

坂「ほんとは、森くんが前に言ってた通り、認めたくなくて、覚えてないふりをしてたんだ」

森「そうですか…」

坂「昨日ね谷崎さんと喋ったんだ」

太「なんて話したの?」

坂「失ったものばかり見るなって…今あるものはなんだって…」

太「そっか…」

坂「それに、夢に作が出てきて、話したんだ」

中「話した?」

坂「俺はもう生きられないから、その分生きてって、幸せになってって、今は辛いけれど、時が過ぎれば大丈夫だって…」

中「そうなんだな」

坂「それに、谷崎さんと同じように、何が残ってるのか考えろって言われた…」

太「そっか…」

坂「私…わからないの…谷崎さんと作と喋って、もう作がいないことは十分受け止めた、けど」

森「…けど?」

坂「私には、何があるんだろう…何が残ってるんだろう…私は何も取り柄がなくて…私には作しか…!作だけが――」

中「俺たちがいるよ!」

坂「中原くん?」

中「作ちゃんと淳さんが何を言いたいかは、俺バカだからわかんねぇ、けど、俺たちはどんな時でも坂口さんの味方だよ!」

太「ちーちゃん、確かに私たちは、織田作の代わりにはなれないかもしれない、でも、私たちは織田作に負けないくらいちーちゃんのこと大事に思ってるよ!」

森「僕も二人と同じですよ。今は辛いかもしれませんが、僕たちがいます、僕たちが力になります」

中「だから、大丈夫だよ。坂口さん」

太「織田作の死を乗り越えて、みんなで、あいつに胸張って今幸せだよって言えるように頑張ろうよ」

坂「…そっか…そうだよね…」

森「坂口さん?」

坂「みんな…ありがと…」

中「あ、泣かしたなー?太宰ー」

太「え⁉︎ご、ごめんねちーちゃん!傷つけるつもりは――」

坂「違うの…嬉しくて…つい、きっと、作と谷崎さんが言ってた大事なものは、みんなのことだったんだなって…」

太「ちーちゃん…」

坂「みんな、ありがとう…!」


にやける太宰、中原、森


坂「ち、ちょっと!みんな!何笑ってるの!」

森「すみません、安心して思わず――」

坂「…ありがとう、私はもう大丈夫!だってみんなが居るから!」

太「ちーちゃん…」

中「あぁ!」

坂「あ、そういえば、谷崎さんが、1杯奢るからおいでーって言ってたよー」

中「マジ!?俺ちょうどコーラ飲みたい気分だったんだー!今からいこーぜー!」

太「ちょっとあんた!?学校はどうするのよ!」

中「そう細けぇこというなよ〜、いーじゃんよ〜!1日くらい〜」

坂「また赤点取っちゃうよ?ただでさえ脳内FPS野郎なんだから…」

中「坂口さん復活してからキレ味増してない!?確かにやばいかもだけど、でも善は急げっていうし……」


悩む中原


中「あ!じゃあよ!今日の部活カフェでやるってのはどうよ!?」

森「中原君にしては…名案ですね!」

太「そうねー、いいアイディアね」

中「だろ!?やっぱ俺ってば天才だから――」

太「ゲームバカのあんたにし・て・は?」

中「一言余計じゃい!」

坂「ふふふ、じゃあ決まりだね!」

中「そうだな!じゃ学校いくか!俺1番乗りー!」

太「行くわよー!みんなで競争!」

森「坂口さんも早くー!」

坂「みんな待ってよー!」


4人がはける。


ドアベルの音。

四人が入ってくる。

店には沢山の客が入っている。


中「谷崎さん!一杯奢ってくれるって本当――」

谷「おー!君たちか、少し待っててもらってもいいかな?少し混んでるんだ」

太「え?混んでる…?」

森「ほ、本当だ、今まで見たこと無いぐらいの混み具合…」

太「何があったんですか!?」

谷「あ、あぁ!まぁ!色々あってね?それにしてもこんなに客が来るなんて思ってもなかったけどね」

中「でもよかったですね!」

坂「…あれ、谷崎さん?あの女の人って…」

太「新しく雇ったんですか!?」

森「まぁ、これだけお客さんがくると1人じゃ回しきれないでしょうしね…」

谷「あは、あはは…あ!そ、それより!席空いたよ!今日は一杯奢ってあげるって約束だったね、何がいいかな?」

中「俺はいつも通りコーラ!」

森「コーヒーでお願いします!」

太「うーん…じゃあ私はメロンソーダ!」

谷「はいはい、千鶴ちゃんはどうする?」

坂「私は…ホットココアで!」


楽しく談笑する一同


下手側花道

作でてくる。


織「じゃあなお前ら、また、どこかで。」


おしまい

読んでいただきありがとうございました。

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