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魔装をカスタム

 冒険者ギルドの【カスタムルーム】は2階の奥にあった。小さな個室が6部屋あり、その中は魔法陣が床に刻まれているだけであった。

 更衣室という感じ。

 個室が1部屋しか空いていなかったので、マサヒコはアリスに譲った。


「フタリで使えばいんじゃね? 【トレーニングルーム】と同じような感じだっていうし」


 まあ、アリスがそう言うのなら、とマサヒコも同意。

 フタリで個室に入った。実際に着替えるとなると、2人だったらキツキツだろうが、立つだけならまだ余裕がある。

 だがセマい個室で向かい合って立つと妙に緊張する。


 マサヒコはできるだけアリスの胸元を見ないようにした。

 白いジャケットの下はノースリーブのベージュのニット。ピチっとしたサイズなのか、胸元がスゴいクッキリはっきりしている。そして、アリスの胸はカナリ大きい。


「えーと、魔法陣にちゃんと入ってるね」


 足元を見る。

 アリスの、これも昨日買ったロングブーツ、が魔法陣からハミ出していないコトを確認。


「ウン、オッケ」


「じゃあ、いくよ」

 マサヒコは胸ポケット(相変わらず制服姿)から魔法陣を出すと「システム起動」と唱えた。


 ポワンという効果音とともに宙に半透明のウィンドウが現れる。



――――――――――――

複数人が検知されました。同時に複数のルームの使用はできません。1部屋になりますが問題ありませんか?

――――――――――――



「はい」「いいえ」の選択肢。アリスが「はい」を選択した。



――――――――――――

初めての使用ですのでチュートリアルを行います。

――――――――――――



 オオー、親切だ。

 と、マサヒコは思った。


 次の瞬間、足元の魔法陣が青く輝き、視界が青に染まる。すぐにソレは晴れて狭い個室から別の場所へと移動していた。

 しかもマサヒコとアリスはそれぞれ甲冑を着ている。


 奇妙な部屋だった。

 片側は床、壁、天井が全面鏡ばり。片側は武装したマネキンが何体も立っている。棚に武器や小物などズラリ。

 さらに中央には事務机と椅子のセットがあった。


 半透明のウィンドウが出て、ひとつひとつ丁寧(ていねい)に魔装の変更の仕方を説明してくれた。

 マネキンないし棚の武装にフれれば、説明書きが現れる。ソコで選択すればそのカショの魔装を身に着けるコトができる。

 中央の事務机で身に着けた魔装のカスタマイズが可能。


 最後に机と対面にあるドアをクグれば、そこでステータス変更と魔装の登録ができる。

 魔装の登録はFランクだと3個まで。ランクが上がれば選択可能な魔装と登録可能な魔装の数も増えていく。


 マサヒコのテンションは一気に跳ね上がった。防具の数々、武器の数々。

 ナニコレ、超楽しそう。


「じゃ、じゃあ、ヤってみようか」


「ソワソワしすぎだし。超キョドってんじゃん」


「イヤ、だって、スゴいじゃん」


「ハイハイ。男子、好きだよね、こーいうの」

 言いながらもアリスは、はしゃぐマサヒコをカワイイと思った。


 マサヒコはさっそく選びにカカった。まずは防具。今の青い甲冑もケッコー気に入っているのだが、デッカいショルダープレートがあったり、エリがズンと壁のようにソソリ立っている鎧もカッコイイ。

 かと思えばレザーアーマーやクサリカタビラなどもある。コレはコレでロマンを感じた。


 試しに革装備で固めているマネキンのベスト型のレザーアーマーに触れてみる。



――――――――――――

軽革鎧(ソデなし)


金属鎧に比べ軽く動きやすい。半面、【防御力】では劣る。【消費MP】が低いため、後衛の装備に適している。


【防御力】+30

【敏捷性】-10


【消費MP】

 顕現時5 

 装備時5分につき1


【特殊効果】

 なし

――――――――――――



 よし、これはしっかりじっくり選ぼう、とマサヒコは思った。

 なんとしてもベターな魔装をねり上げてやる。


 一方のアリスはといえば、ヒト通り、マネキンやら棚の小物や武器を見たアト、パッパと魔装を決めていった。

 そして机でチョコチョコとカスタマイズ。


 カスタマイズは主にデザインの変更。色、質感、形などを変えるコトができる。

 そもそも魔装は魔力を使って具現化したものである。いくらでも自由にカスタマイズができるのだ。


 1時間後。

 ようやくアリスは机から離れた。とりあえず完成。

 マサヒコを振り返る。彼はまだ防具を選んでいた。武器や装飾具までイっていないようだ。


 アリスはミラールームの方へ行った。

 前面鏡ばり。自分の魔装を見て、カンペキじゃん、と満足。


「マサヒコ。どう?」

 声をカケる。


 マサヒコが振り返った。

 アリスを見て、おわっ、と変な声をあげる。


「ナ、ナンカ、スゴイね。この中の装備で、どうやって……」

 目を丸くしている。

「いや、アリスっぽいんだけど」

 アリスと名を呼ぶときにちょっと声が固くなった。


 マサヒコのこんな反応もムリのないコトだった。


 アリスが鎧に選んだのはクサリカタビラ。ソデをなくし、タートルネックのように首まで覆(おお)っている。かなりピチっとしていて胸の膨らみがハッキリ分かる。スソは長く、フトモモの半ばまで。ミニのニットワンピに見える。しかも色が金。

 その上から同じ丈くらいのマントを羽織っているのだが、こっちは白でワズカに透けている。エリ口には白いファーがついている。


 手首にはジャラジャラと銀のリングをつけており、足はヒザまでの白いロングブーツ。

 そのカッコウでピンク色の金属のステッキを持っている。コレがまた杖頭にトゲトゲのハートがついている。

 メイスをイジったようだ。


「コッチもあっから」

 言ってメイスを消して弓を手にする。

 キューピットが持っているような、矢じりがハートになった矢と、小ぶりの白い弓を手にする。


「スゴい。そこまでカスタマイズできるんだね」

 マサヒコは、その矢、刺さるのかなあ、と思いながら言った。


 アリスが弓を消して、ちょっと腰を折って横ピース。

 あっ、カワイイな、とマサヒコは思った。

 ギャルもイイヨネ。

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