吊り橋
ある大学生たちが肝試しをした際のお話です。
目的はだいぶ古い吊り橋を抜けた先にある『祠』の写真を撮ること…… 幽霊が毎夜、その祠に向かって泣いている、とウワサになっていたからです。
そこへの道はこの橋だけなので、渡るしかありません。
夜の暗闇に沈んだ谷底は真っ黒で、軋む木造の橋は男でも躊躇するほどでした。
つまり、そのボロボロの橋を往復しなくてはいけないのです。
怖いもの好きな男が一人、我先にと駆け抜け、それを追い掛け学生結婚をする予定の男女が行きました。
恋人がスキンシップや集団デートとして何組も参加していたのですが、まず橋が怖くてリタイアする人ばかり。
参加者のほぼすべてがペアで渡り、その全員が祠の写真を撮り終えて戻る途中。
しかし幽霊は見れなかったなど吊り橋の前で談笑していると。
一人が痛みを訴え立ち止まりました。
我先にと吊り橋を渡った男です。
痛がる腕には『手形』らしきものが赤く浮き上がっていました。
男の腕、右手首に『右手』で掴んだような跡が。
みんなが息をのみ、驚愕します。
すると今度は女性が涙が止まらない、と座り込みました…… その目から流れるのは、赤い涙。
手形のアザ、血の涙と続いたためみんながパニックを起こして吊り橋に殺到しました。
ですが軋む吊り橋に少し冷静さを取り戻し、男女組になって渡りました。
ビビり気味だった手形のアザの男も涙の女性に支えられて渡ります。
肝試しどころではなくなり、みんな急いで帰路へとつきました……。
後から解ったコトですが。
古びた吊り橋は自殺の多い場所でもあり、ちょうど二年前のその日、飛び降りた女性がいました。
彼女の無念に触れてしまったのではと、みんなが震えました。
そして考えると、戻ってきた人数が一人多かったような気がしたのです。
開催者は怖くなり急いで帰ってしまったので、人数の確認を怠ってしまいました。
何より、奇妙なコトが一つ。
あの手形の男の姿を、あれ以来誰も見ていないのです。
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