1、目が覚めたらそこはゲームの世界でした。
大学を卒業後に一般企業へ就職し自身のキャリアアップのため数年後に退職。
あとは次の新しい職場で働くまで残りの有給消化期間中になにで充実させようか悩んでいたところだった。
久しぶりに学生時代にプレイしていゲームをシリーズ1からやろうと考えていた時、交通事故で俺の命はあっけなく終わった。
…そんな前世の記憶をいま、思い出してしまった。
「殿下…!どうかお気を確かに‼︎」
「ユリウス殿下!」
そう周りの従者達に口々に叫ばれながら、俺の意識がはっきりと戻る。
俺の名前はユリウス・フォン・ヘイスティングズ
8歳にしてこの国の王の長男であり第一王子だ。
そしてここは前世で俺が死ぬ直前にやり直そうと思っていたゲーム「デルフィーナ大戦」の世界。
でも、何故よりによってユリウスなのだろう。
このデルフィーナ大戦シリーズ最強で最悪のラスボスである外道野郎に!
ああ、今度は20歳になる前に亡くなるのか…
たしか前世では25手前だった。
そして今世では20になる前…俺の生涯短すぎじゃありませんか?
人間50年と有名な一節があるが俺はその半分も行ってないんですけど…
まあ、このデルフィーナ大陸は戦国時代
今現在は少し落ち着いているといえ戦乱が頻発中である。
そんな混乱に乗じてユリウスは母国であるロッハーデ王国を帝国化。
大陸統一を目指して覇王として主人公たちに立ちふさがるラスボスだ。
攻略対象キャラの心に消えない傷を作りながら。
「ユリウス殿下!」
ふと近くにいた騎士が俺の名前を呼ぶ。
たしか名前はクロードだ。
俺の護衛騎士として常に傍らにいてくれる騎士だ。
「お怪我はありませんか?」
そうクロードが言ってきたので俺は今の惨状を認識する。
今日は長年争っていたハスティン王国とピール公国の戦争が終結しその祝勝会だった。
ロッハーデ王国はハスティン王国と同盟関係だったからハスティン王国側につきピール公国は滅ぼしたはずだった。
その祝勝会でピール公国の生き残りが侵入しにきたのだ。
俺が大丈夫だと答えるとクロードはほっと安心した顔を見せた後すぐ真剣な表情の戻った。
「ユリウス殿下!ここは危険です。今すぐ避難します。ついてきてください」
今は賊が侵入中、王族である俺の避難をさせようと手を差し伸べてくる。
その時、俺は今がピール公国の襲撃とわかった時、重大なことを思い出したのだった。