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第9話 レオンハルト視点

 私はレオンハルト・ルインセット。このルインセット王国の第一王子だ。

金髪に紅玉のように美しい瞳、そして神が熟考し作ったであろう整った美しい顔はどこぞの令嬢よりも美しいと自負している。

婚約者がいるにも関わらず、この美しさを聞きつけた他国の者から側妃でも構わないからぜひと縁談の希望が来るほどだ。


そんな私の婚約者であるユリアナは可愛げのない令嬢だ。もちろん美しさにおいてはこの私に遠く遠く及ばない。哀れに思い最初は優しくしてやった。が、その代わり王子妃教育をしている教師からの評判がいい。私が手こずっている科目についても覚えがいいから私はだんだん面白くなくなった。

「ユリアナ様は文句もおっしゃらずこなしておりました」

「ユリアナ様はこちらは学び終えております」

「ユリアナ様は語学がお得意なようで………」


皆ユリアナ、ユリアナとうるさい!

私は美しさに特化している分勉強は不得手なのだよ。この美しさと人当たりの良さがあれば大抵のことは上手くいく。知識ある者たちを王子である美しい私が使えばよいのだから。適材適所というだろう?


そんな美しい私も学園の進級試験の前に体調を崩してしまい、思うように勉強を出来ないことがあった。もともとAクラスになんとかついていっていた私はBクラスに転落してしまった。

それなのにユリアナはAクラスだって?!私がBクラスなのだから同じクラスに来るべきだろう!文句を言ってやろうとユリアナの元へ行くと「あえてBクラスに下位貴族と交流を深めるに〜さすがです」と言うではないか。

なんだわかっているじゃないか!そうそう()()()私はBクラスに行った。それで行こう!たまにはユリアナもいいことを言うじゃないか。


「ジョアンナに比べると見劣りするな。美しい私の隣に並んでも恥ずかしく無いように勉強ばかりしていないで外見も磨いてくれよ」

勉強してばかりでは外見も磨く時間もないだろう。こういう事は婚約者であるこの私がはっきり言ってやるのが1番だからな。


病気療養から戻ったマシューが私の側近となった。ジョアンナの弟だけあってなかなか整った顔をしている。まあ、私には及ばないが。

美しい私たちに子爵令嬢や男爵令嬢たちが寄ってくる。高位令嬢たちにはない素直さが新鮮で可愛らしいではないか。Aクラスではすました令嬢たちばかりで面白くなかったからな。

私的な夜会では夜毎相手を替えて参加しなかなか楽しめた。下位令嬢たちは積極的な娘たちが多く私も悪い気がしない。


3年になり、私は運命の出会いをした。

リリスと出会ったのだ。

リリスはたいへん可愛らしい。美しいストロベリーブロンドの髪に潤んだ瞳、少し抜けているところもあるのがまたいい。無邪気に私の腕に絡みついてくるが、出るところは出ているのがわかりドキリとさせられた。


私はリリスを傍に置くようになった。それが面白くないのがユリアナだ。留学生の相手をしろなどと不遜なことを言ってくるではないか。

その留学生まで何だかんだと文句を言ってくる。きっと可愛らしいリリスに目をつけているのだろう。


ある日3人で街へ出かけたときにリリスが熱心にあるネックレスを見ていた。祖母の形見のネックレスぐらいしか着けるジュエリーはないとリリスは悲しそうに言った。

「形見だから大事にとっておきたいのに着けるものがこれしかない・・」と。

私はリリスにプレゼントした。すると花が咲いたような笑顔を見せた。なんと可愛らしいのだろう。

リリスの笑顔を見るとこちらまで自然に笑みがこぼれる。

私はその時に決めたのだ。リリスこそ私の心を癒やし生涯を共にする女性だと。


しかし、私の婚約者には評判の良いユリアナがいる。このままではリリスを娶ることは難しい。ユリアナを蹴落とすべく計画を立て始めるとしよう!

私はそれはそれは美しいであろう笑顔を浮かべた。

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