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第15話

 王城に戻るとレオンハルト様は前回と同じようにリリス様とのことをここで国王陛下に願い出た。


「さきほどの騒動は誘拐などではなく、学園で行われている嫌がらせについて首謀であるユリアナに問うていただけなのです。ユリアナは分が悪いとなると興奮し暴れるものだから危険を感じ拘束せざるを得ない状況になっただけです。しかし、ユリアナがそのような暴挙に出たのは私が愛らしいリリスに心を奪われたせい。さらに愛らしいリリスに嫉妬したのでしょう。私の妻になりたいというユリアナの願いを叶えユリアナは正妃に、リリスは側室にするということで話が決まったところで勘違いされたアレクシス殿下が突入されたのです」


苦しい言い訳をしこの期に及んで婚約者がいながら他の女を娶りたいと言うレオンハルト様の願いに対して国王陛下は大きなため息をついた。


王城までの帰路の馬車で3人で相談でもしたのだろうリリス様とマシュー様がその通りだと言わんばかりに頷いている。


さすがに苦しい言い訳で誰も納得するはずがない。


「お前は何を見ているのだ?嫌がらせについての報告は学園から上がってきておる。被害者はユリアナであろう。それにユリアナは講師たちからの評判もよく次期王太子妃として他国の王族と交流を深め我が国に利のある貿易交渉をしているぞ。そんなユリアナを蔑ろにして側室だと?愛嬌だけでは何も出来んぞ」


「国王陛下、いいのです。私が不甲斐ないばかりにこんなことに。リリス様のように無邪気な愛らしさは私にはございませんもの。お二人の愛の邪魔をしたくありません。婚約者も辞退させていただけないでしょうか」


私は涙を目に溜めて歯を食いしばる演技をした。


そんな私の演技に国王陛下も王妃も同情するような目を向けた。


「待て!ユリアナ!そなた以外に王太子妃として相応しい令嬢はこの国にはいないのだ。レオンハルト!王子としての責務を全うせずに何が女の話だ!」



「レオンハルト、母もそのようなことを言うお前に失望しましたよ。リリスと言ったか、お前について調べはついております。男爵令嬢ごときが、聡明で美しい婚約者のいる王子に手を出すなど何事か!この度の騒動もお前が唆したのではないか!?」



「くっ………!」


「そんな!!」


レオンハルト様の顔が歪む。隣にいるリリス様の顔も同様だ。



「発言してよろしいですか?」


アレクシス様が陛下に願い出た。


「これはこれはアレクシス王子。なんともお恥ずかしいところを見せてしまいましたな」


「レオンハルト王子がその男爵令嬢を寵愛しているのは周知の事実。学園でユリアナ嬢への嫌がらせが多発していた件については、私も相談に乗っておりました。私の護衛に見張らせたところピタリと止みましたが誰の仕業かは明白です。今回の騒動も3人が共謀したのを確認しておりますよ。この国ではそういった王子に相応しくない者に王位を継がせるのですか?そうなると私が帰国した折には我が国も付き合いを考える必要があることを我が陛下にも進言せねばなりませんね」


国王陛下と王妃の顔色が悪くなった。



アレクシス様は隣国である大国アルイーゼ王国の王子で正義感の強いお方だ。

私は未来を知っているからこそ他国の王族から信頼を得ることができ、味方にすることが出来たのだ。

大国との繋がりを考えると……陛下、どう判断しますか?


神妙な顔の裏で心の中では笑いが止まらない。アレクシス様はなんていい仕事をしてくれたのだろう。








―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






 その後の調べでレオンハルト様たちは「婚約者支度費」と呼ばれる婚約者の支度をするための費用をリリスへのプレゼントや交際費に使っていたことが分かり、国庫からの横領罪も追加された。


たしかに私は一切何ももらっていないし、男爵令嬢であるリリスが不相応の装飾品を持っていたのも納得できる。




あれからレオンハルト様は高位貴族誘拐と横領罪で王位継承権の剥奪と「婚約者支度費」の弁済のため個人資産の没収、そして私との婚約もめでたく解消となった。王太子には第2王子が就き、レオンハルト様は美しい男たちを集め後宮を作っているという女帝の統べる国の第3夫にと請われ喜んで婿に行ったらしい。

しかし道中何・者・か・に襲われご自慢の美しい顔にはいくつもの大きな刀傷がついてしまい、美男を集めている後宮では女帝に見向きもされないという。自分の美しさに自信を持っていたレオンハルト様は唯一無二の武器を失い、寵愛を競う後宮で知り合いもおらず他の夫や側室たちに虐げられる生活を送っているらしい。

入宮後のレオンハルト様に会った人が言うには、レオンハルト様は風貌も別人のようになっており話したところ酷く怯え正気ではないようだったと話していた。


一方リリスは厳しい環境と規律で有名な北の修道院へ送られた。皮肉にも私が前の人生で向かっていた修道院だ。北の修道院は周囲を大型の獣たちの住む深い森に囲まれ、案内なしでは森を抜けることは叶わない。そのため修道院を脱走した者が近くの街に辿り着くことは絶対にないという。リリスはそこで一生祈りを捧げ過ごすのだろうと思ったらさっそく逃げ出したらしい。大型の獣と遭遇したのか大怪我を負って発見されたらしい。もう自由に動くことも出来ず修道院で一生を終えることになるそうだ。


フランプトン公爵家では横領罪と誘拐罪で王家と私の実家であるフリューゲル公爵家に多大な賠償金を払ったそうだ。マシューは当然廃嫡となりフランプトン公爵領から放逐された。愛するリリス様の元へ行こうと北の修道院を目指し、近くの森の前で目撃されたのを最後に消息を絶ったという。


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[気になる点] |フランプトン公爵家では横領罪と誘拐罪で王家と私の実家であるフリューゲル公爵家に多大な賠償金を払ったそうだ。マシューは当然廃嫡となりフランプトン公爵領から放逐された。 フランプトン…
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