第14話
仕上げにと自作自演の誘拐計画を立てていたところで本当に攫われてしまった。
私を手紙で呼び出したのはマシューだった。待ち合わせ場所に行き話を聞こうとしたところ薬を嗅がされ眠らされたようだった。
目が覚めると簡素なベッドの上に手を縛られて寝かされていたようだ。この状況に驚きつつも深呼吸し周りを見渡した。飾り気のない小さなドレッサーが見える。おそらく学園内ではない場所だろう。
窓の前のテーブルではレオンハルト様とリリス、マシューが真剣な顔で何か話しているようだった。やはりこの人たちの仕業なのね。今のレオンハルト王子の評判では学園では誰も手を貸そうとは思わないはず。
私が目を覚ましたことに気がついたレオンハルト様がカツカツとベッドに近づいてきた。
「ユリアナ!お前何かしただろう?王子であるこの僕が学園中から変な目で見られているではないか!私の計画が台無しじゃないか!」
その計画とやらに前はまんまと嵌ってしまいました。今回は残念でしたね。
婚約者を蔑ろにしてリリスとベタベタ、そして側室の噂となれば王子でも変な目で見られることでしょう。
「ユリアナ様!私は何もしていないのにみんな私がやったんじゃないかと言ってくるわ!ユリアナ様から否定しなさいよ!」
確かに今回はレオンハルト様を誑し込むぐらいしかしていないけどね。前のお返しですから。
「お2人が困っているのにお前は助けることもしないのか!」
マシューは人のことより自分のことを考えたほうが良いのでは?
レオンハルト様とリリス様、マシューに次々と責められるが、キャンキャンと騒ぐ3人を見て吹き出しそうなのを堪える。
「3人とも何のことでしょう?それより私をこんなところに連れてきて手の自由まで奪って・・」
怯えたような表情で涙を流しながら大げさに震えてみせる。何かあっても大丈夫なように手は打ってあるからお芝居に集中してみる。
「はははっ!お前のそのような顔が見られるとはな。今までで1番美しいぞ!それでも私には及ばないが!ははははは!」
レオンハルト様は狂ったように笑った。
「ユリアナ様、いい気味ねぇ!これからは私たちの言うことを聞きなさいよ!そうだ!ユリアナ様から陛下にリリスを側室に迎えたいと言いなさいよ。私だけではレオンハルト様を支えられませんとか言ってさぁ」
ニヤニヤとしながらリリスは距離を詰めてこようとする。
「リリス!それは名案だな!私が言っても陛下は頷かなかったが、ユリアナから言えば納得するに違いない!ユリアナ、美しい私の正妃にして国のために働かせてやろう!頭ばかり回るお前にはちょうどいいだろう。リリスのことを陛下に願いでるんだ!」
そういえば前回は陛下からリリスの側室の打診があったけれど今回はなかったわ。さすがに2人の評判が悪くて陛下も頷かなかったのね。
ドン!!ドン!ドガン!!
「ユリアナ嬢!無事か!?」
後ろのドアが急に開くと、アレクシス様とその護衛が数名現れた。
「アレクシス様!」
「ユリアナ嬢!助けに来たぞ!まさか、こんなことになるとはな!手まで縛られて可哀想に。レオンハルト王子、陛下の前でゆっくり話を聞かせてもらおうか」
レオンハルト様たちは真っ青になっていた。
予定通りアレクシス様の護衛が私のことを見ていてくれ、アレクシス様に報告が行ったようです。
レオンハルト様たちは護衛とともに王城へ一足先に戻ることになった。さすがにこの国の王子を連行するわけにはいかないらしく、護衛が王城へお送りするという形だけれど馬車に乗るまで逃げないように両脇には護衛がしっかり付いている。
「ユリアナ嬢。大丈夫か?可哀想に・・手首が赤くなっている。遅くなって済まなかった。護衛たちには近くにいるように命じていたが、現場を押さえたくて怖い思いをさせてしまったな」
アレクシス様は赤くなった手首を擦りながら話す。
「いえ、きっと来てくださると信じておりましたから」
私は微笑んだ。さすがに他国の王子に誘拐劇を咎められれば婚約破棄も容易に出来ることでしょう。お父様が画策しているところ申し訳ございませんが。
「ユリアナ嬢、安心するといい。私があいつらに罪を償わせる・・今までの分も」




