第12話
噴水落ち2連発事件の後はアレクシス様の護衛の方がさりげなく私の近くにいることが多いので何もできない。自作自演劇場もここまでのようだ。
それならばと、ミリーが私のダンスの授業中にいつものように教室に向かうと教室の前にもアレクシス様の護衛がいたそう。授業中なので生徒ならば怪しまれたけれど教師のミリーは護衛にかるく会釈をされたようで心臓が飛び出そうになったと手紙には書いてあった。
護衛のおかげでミリーにもなかなか会えなくなってしまい公爵家を経由しての手紙のやり取りがやっとだ。ここに来て思わぬ伏兵に頭が痛くなる。それでも私たちが繋がっていることはこの学園で知る者はいない。
〈それでは次の作戦に移りましょう。私はタイミングを窺うからそのまま普通の生活を続けてちょうだい〉
私はミリーにそう返事を書いたのだった。
――――――――――
この日は学園生活での様子を聞くためにアレクシス様、ムーンティア様、エドワード様と学園の応接室でランチを摂っていた。
「最近、あいつらに何かされることはないか?」
私が質問するより早くアレクシス様が口を開く。
「ええ、お陰様で最近は何もございません。いえ、もとより何もされておりませんので・・」
今は次の計画に向けて何もしておりません。護衛の皆さまの目を欺いて動くことは諦めました。
私はサッとアレクシス様から目を逸らした。あの青い目は何か見透かされているような気になるので苦手です。
「わたくしも気をつけておりますが、ユリアナ様の物が無くなることも落ち着きましたわ。なんとも子供じみた嫌がらせでしたわ!」
「レオンハルト王子はユリアナ嬢という素晴らしい婚約者がいるのに何を考えているのでしょうね?」
エドワード様も首を傾げている。
「レオンハルト王子はBクラスだっただろう。そして才色兼備のユリアナ嬢とくれば話は見えてくるのではないか。彼は平凡だろう?申し訳ないが非凡なのは容姿だけだ」
アレクシス様の言葉にムーンティア様もエドワード様も頷いている。
他国の方々にも見透かされておりますわ。
「今は大人しくしているようだが、ユリアナ嬢も気をつけてくれ」
「お気遣いに感謝いたします。ところで学園生活はいかがでしょう?」
私は本来の会食の目的へ戻す。
「特に困ったことはありませんが、ダンスの授業の茶番が毎度面倒ですわね。さすがに他国の王族のすることに口を挟めませんし」
ムーンティア様がため息をついた。
「リリス嬢の仮病に皆呆れていますからね。それを咎めもしないレオンハルト王子にも」
「私も皆様がいらっしゃらない時に注意はしたのですが、聞く耳を持ってくださらなくて・・」
「ダンスの授業の茶番とはなんだ?」
「アレクシス様は今はダンスの授業は受けず、軍部の視察に行ってらっしゃるからご存知ないのですね。実は――」
「ダンスは元々得意で何度か受ければ十分だったからな。興味のある軍部の視察の方に行っている間にそんなことになっていたとは!レオンハルト王子がそのような調子では隣国としては弟君のノクター厶王子と交流を深めたほうがいいかもしれないな」
また話が逸れてしまいレオンハルト様とリリスの話になってしまい困ったものです。それほどまでにこの2人は悪目立ちしております。
少し談笑した後男性陣は退席しムーンティア様と2人で食後のティータイムを楽しむことにいたしました。
「ユリアナ様とこうしてのんびりお話ししてみたかったのです。男性陣抜きで色んなね。わたくしのことはティアとお呼びください」
「ティア様私も色々お話ししてみたかったのです。皆様のお世話をするはずがご心配ばかりおかけして申し訳ございません」
「ユリアナ様もレオンハルト様とリリス様の件でお疲れでしょう。気分転換にお出かけでもいたしませんか?せっかくなのでこちらの国を見て回りたいのです」
「まあ、それはいい考えですわ」
前のときはムーンティア様はこんなに気さくではなかった。私が忙しそうにしていたから遠慮していたのだろうか。
約束の日、話を聞きつけたアレクシス様たちが現れ結局一緒に王都を見て回ったのだった。
王都を散策したあとはオープンテラスのカフェテリアで一休みすることに。
「他国でもないと王都などこんな風に散策出来ないからな」
アレクシス様は王都散策に満足したようだった。
「そうですわね。私達はともかく王族ともなると大変ですわよね」
ティア様とエドワード様がうんうんと頷いている。
「今度はユリアナ様と2人で来たいわ。女子同士甘いものでも食べて女子トークしましょう」
「男性陣は連れて行ってもらえないのか。それなら私はユリアナ嬢をエスコートして劇場にでも行こうか」
アレクシス様がニコニコと話す。
「まあ、私たちは連れて行ってもらえないのですの?エドワード様エスコートして下さいますよね!」
「もちろん。ムーンティア様をエスコートさせていただきましょう」
そんな会話を私たちは楽しんだのだった。




