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第10話

 「申し訳ありません。わたし、少し気分が・・」

1曲ダンスを踊り終わった直後、フラフラとリリスはレオンハルト様にしなだれかかった。


「リリス!それは大変だ。マシュー!保健室までリリスを連れて行くように」


「そんな、わたし休んでばかりでは!」


「リリス、頑張り屋なところは君の良いところだが身体を休めることも大事なことだよ」


「レオンハルト様!」


「リリス!」

手を取りうっとりと見つめ合うレオンハルト様とリリス。


それを醒めた目で見つめるAクラスの面々。

次は自分が王子とダンスを踊る番だと色めくBクラスの女子たち。



これがいつものダンスの授業の光景だ。

リリスはダンスが好きではないようで授業をよくサボる。

ダンスの授業が始まるとレオンハルト様と2人の世界を作って1曲踊ると、急に気分が悪いと行って保健室に行くのだ。

レオンハルト様以外の男性と踊るなんて・・と操を立てていると言っているようだ。

それを聞いたレオンハルト様も「僕のために!」と喜んでいる。

仮にも王子であるレオンハルト様が授業を抜けるわけにはいかないので、マシューが保健室へ送っている。が、2人きりでなにをしているやら。

たまにマシューが送らないときはリリスは頑なに1人で行くと言い張り1人で保健室に向かうのだ。 


私も毎回同じことの繰り返しにうんざりしていたので、一応注意してみた。

「リリス様は顔色も悪いようには見えませんし、椅子に座って皆様のダンスを見学したらいかがでしょう。いつも保健室に行くようですが授業が遅れてしまいますよ。もしくは欠席して一度学園の医務官に調べていただいてはいかがですか?」


「そんな!気分が悪いのに・・ユリアナ様酷い!」


「ユリアナ!体調の悪いものを無理矢理授業に参加させるなんて鬼か?医務官など男にリリスの身体を見せるなど!」


そんな姿を高位令嬢、令息たちは冷めた目で見ているのだが、レオンハルト様たちは気がついていない。

私という婚約者がいるのに他の女性といちゃいちゃして、苦言にも耳を貸さないお姿は本来ならば他国の方には見せられませんものね。



――――――――



「困りましたわ。万年筆が見当たらないわ」

私は万年筆を探す素振りを見せながら、目に涙を溜め呟いた。


「ユリアナ様、それは1限目に机から落として隣の席の私が拾った万年筆でしょうか?」

ランチのため教室の人がまばらになった中、隣の席のムーンティア様が私の呟きを聞いて声をかけてきた。


「ええ。あれはお父様が進級のお祝いにと買ってくださったものなの。確かにダンスの授業の前まであったはずですのに」


「ユリアナ様・・あの美しい装飾の万年筆は公爵様からいただいたものだったのですね。私もご一緒に探しますわ」


「ムーンティア様、ありがとうございます!」

私はにっこりと笑顔でお礼を言った。


それから近くの席にいた何人かの令嬢も一緒に探してくれた。ムーンティア様も万年筆の装飾など覚えていることを令嬢たちに教えている。


「ユリアナ様!もしや、こ・・こちらの万年筆でしょうか?」

令嬢がハンカチの上に乗せた万年筆を見せてくれた。


「――!」

周りの令嬢たちが息を呑んだ。

教室のゴミ箱の中からペン先が折られ美しい装飾が見る影もない姿になった万年筆が発見されたのだった。


「そちらですわ。このような姿になってしまって・・。いえ、私が落としてしまってどなたかが踏んでしまったに違いありません。皆様、お手を煩わせてしまいましたね。ありがとうございました」

涙を拭いながら万年筆を見つめた。




いい破壊具合だわ♪

まぁ自作自演ですけど、悲しんでみせました。皆様方の手を煩わせたのは申し訳ないけどこれも計画の一部。


公爵家でいかにもな派手な美しい装飾で脆い素材の万年筆を発注

  ↓

わざと落として拾ってもらいムーンティア様に私の万年筆のイメージを与える

  ↓

ダンスの授業中にミリーが現れて破壊しゴミ箱へ

  ↓

私「困りましたわ」


次は愛用している時計・・・に見せかけた時計。もちろん公爵家で作っていただいたものを使用。本物の愛用している時計を使うのはさすがに悲しいですもの。


「ユリアナ様!大変ですわ。ユリアナ様の時計に似たものが噴水の中に落ちておりましたの」


同じクラスの令嬢が私に報告してくれました。フフフ、やっと見つけてくれましたね!


「そんな!実は先週のダンスの授業の後から見つからなくて・・ずっと探していたのです」


私は動かなくなってしまった愛用の時計(偽)を受け取ると目を伏せた。


似たようなことをネックレス、ハンカチなど様々な物で行った。


運動着を刻んでみたりもした。


教科書にラクガキもした。


ミリーも最初は「お嬢様のものに手を出すなんて恐れ多くて・・」なんて言っていたけれど、やってもらわないと話が進まない。


ミリーも役割を思い出したのか途中からはノリノリでやっていた。


担当の教科の時間以外に自由に動けるミリーがいれば自作自演なんて簡単なこと。私が私のものに何をしようと勝手でしょう?

すべてダンスの授業の後に事件が起きていればそれでいいのです。



また明日更新します。

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