妹はタイムトラベラー? 昭和初期の蔵から妹のスマホが見つかったら、オーパーツでしょ
※「なろうラジオ大賞3」参加作品です。
俺の妹は中学2年生で、結構可愛い顔をしていた。
しかし学校と食事以外、ほとんど一日中寝ているような変人だった。
もちろん帰宅部で友達もいない。
「おい砂那。来年は受験だろう。そんなんでいいのかよ」
「ごちそうさま。お風呂入って寝る。おやすみ」
食事のときには両親が注意するものの、砂那はそれだけ言って風呂に入って寝てしまう。
両親がとても心配するのも無理はない。
しかし妹には俺しか知らない秘密がある。
彼女は、寝ている間に過去に行っている〝タイムトラベラー〟かもしれないのだ。
前にネットで話題になった「1920年代の米国に日本のJKが写っている」白黒写真は、妹にとてもよく似ていた。厳密にはJC2だが。
これだけなら、ただの偶然かもしれない。
ところが証拠はいくつもある。
父方の実家の蔵で見つかった色褪せたモノクロ写真には、妹が写っていたものが何枚かあった。
親族に似た顔の女の子がいたとしても、ブレザーでチェックのリボンの制服に斜め前髪。
戦前の日本にその制服と髪型はありえない。
そして極めつけは昭和初期の金庫に保管された、最新型のスマートフォン。
そんな時代にスマホがあるはずもない。
いわゆる〝オーパーツ〟と呼ばれるヤツだ。
そういえば、家は代々続いた資産家ということになっているが、俺自身には子供のころ裕福だった記憶がない。
すごく狭い家に住んでいて、両親は俺に隠れていつもお金の話をしていたような気がする。
それが最近、気づいたら突然、大きな屋敷に住んでいた。
両親は当たり前のように受け入れているが、あり得ない話だ。
妹はタイムトラベラーで、寝ている間に過去に行き、歴史を改変しているのかもしれない。
妹の寝室に忍び込むと、彼女は寝言を言っていた。
「メリルリッチー、モーガンズ……」
外資系証券会社や世界的金融機関の名をつぶやく女子中学生なんて、どう考えてもおかしい。
「!! お兄ちゃん。なに人の部屋に入ってるん!」
「砂那。お前は寝てる間に過去を改変してるだろ」
「はぁ? なに言ってるの?」
俺は古びたスマホを見せ、今までの疑問を妹にぶつけてみた。
しかし彼女は表情一つ変えず、虫けらでも見るように俺を見た。
「お兄ちゃん高一にもなって中二病? おかしいんじゃない? おやすみ」
それだけ言って、また眠ってしまった。
何の話をしてたんだっけ。
手に持ってたスマホが……消えたような?
……妹は何か特別な存在だったような気がするけれど、忘れてしまった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




