突っ走りさまは気づかない
明けましておめでとうございます!今年も作品を楽しんで頂ければ幸いです!
日の昇る前の暗い早朝。
息を吐くと白い煙が舞う。
黒色のジャージに身を包んだ少年は、誰もいない道を今日も冷えるな…と思いつつ走っていた。
しかし、角を曲がるとキラキラと輝く太陽が目の前にあった。
えっ!と少年がひるむ。
「新風さん?」
ピタッと太陽が止まり、くるっと振り向いた。
「あっ!グッニーング!小野寺っち!ハッピーニューイヤー!」
太陽がニコッと笑うとさらに輝きが増す。
「あぁ…明けましておめでとう」
今日も眩しいなぁ、少年…小野寺っちは太陽を見つめる。紺色にピンクのラインのジャージに身を包み、髪を一つにまとめている。
太陽こと突っ走りさまことかよの
いつもと違う姿に「かわい‥」ついポロッと一言出てしまった。
「…?どうしたの…?」
かよにその言葉は聞こえなったらしく、じっと動かない少年を心配した。
「あっ、いや、こんな朝早くから走り込み?」
慌てた小野寺っちは質問を返した。
「うん!やっぱり新年は走るに限るよ!」
いえい!とかよはVサインを突き出した。
そんなかよに小野寺っちはニコッと笑う。
「やっぱり新風さんはすごいよ。」
体から溢れ出す、キラキラな元気が羨ましい。
そんな所が俺…
「大好きだよ!」
えぇっ!?小野寺っちは目を見開いた。
「小野寺っちはすごいよ!いつも早くから朝練頑張ってるよね!そんな努力家な所、大好きだよ!」
かよは無邪気な笑顔を浮かべた。
「…」
あぁ、心に矢が刺さった…
と20秒ポカンと口を開けていた小野寺っちだったが、一つ呼吸をして目を細める。
「僕も新風さん好きだな」
「わーお!ありがとう!」
わーい!とかよは小躍りする。
そしてピタッと止まり、
「そうだ!小野寺っちも一緒に走る?」
「いいね、走ろうか」
「イエーイ!れっつごー!」
まだ誰もいない暗い空の下、二人は走り始めた。風のように…
読んで頂きますありがとうございました!今年もよろしくお願いします!