第50話 私の変態問題
「んっ……?」
朝、目が覚めたら……
「……!!!」
目の前に逞しい胸板が!
(わ、わ、わ……!)
朝から大興奮な風景に照れまくる。
(凄いな……)
私とはどこもかしこも違う。結ちゃんの身体。
胸の奥がきゅうっとなり、私は恐る恐る結ちゃんの胸に手を添える。
(かっこいいなぁ)
引き締まってて、硬い。力が強くて……
抱きしめられただけで、足が震えて、腰が抜ける。
「大好き……」
私が触れてもピクリともしなかったため、まだ寝ていると悟り、声に出した。
恥ずかしくて言えなかった言葉を口にすると、心が溢れてきて……
「か、かっこいい……」
どんどん結ちゃんに溺れて、堪らなくなる。
――ちゅっ
ドキドキしながら結ちゃんの胸にキスをする。
(お、起きてないよね?)
「好き……はぁっ……大好き……」
すると、結ちゃんの腕に力がこもった。
「……おはよう」
声をかけられ、気づいた。
「いつから起きてたの?」
「今だよ」
「違う」
寝起きの声じゃ無い。
「……忘れて下さい」
「なんのこと? 俺は何も知らないよ」
「ペテン師」
「なんでもいいよ。呼んでくれるなら」
胸元に抱きしめられているため、その顔は見えない。
だけど、甘い。
甘ーい、雰囲気。
「サラサラ」
私の髪を撫でて、嬉しそうに呟くペテン師さん。
「好きだよ」
「……そうですか」
「愛ちゃんは?」
絶対起きていて、聞いていたくせに。
耐えられなくなって、今起きたふりをしたくせに。
「……好きですよ?」
だけど、言ってあげる。結ちゃんと出会って、結婚して、少しは成長した私の成果を見てほしい。
「なんで疑問形?」
「知りません」
「なんで敬語?」
「分かりません」
あぁ……またかわいくない態度をとってしまった。
「――ちゅぅ」
悔しくて、目の前にあった結ちゃんの胸の中心にキス。
「ざまーみろ」
やっぱり恥ずかしくなって、悪態をつく。
「何が? あぁ、かわいい。今日がこのまま休みならなー」
「もう目覚まし時計なるよ! 起きたら!?」
「――ちゅっ」
「ひゃっ!」
頭にキスをされた。
「かわいい。かわいい。かわいい」
「〜〜!!」
堪らないと言った感じで抱きしめられる。
「あー……かわいい……」
「……ボキャブラリーが少ないわよ」
恥ずかしくなって、またも悪態をつく。
「愛ちゃんと一緒にいたら脳が動かないよ」
「何それ」
私といたら頭悪くなるってことかい。
「あー……癒やされる……」
「……」
そうかい。そんな堪らないって声で言わないでよ。
離れがたくなるから。
✽✽
「愛ちゃん、ごめんなさい」
結ちゃんが仕事に行ったと思ったら貴ちゃんから深々と謝罪された。
「冗談だったの……」
「いっ、いいよ! 貴ちゃん……!」
その落ち込み具合になんだか申し訳無い気持ちになる。
「……あんなにお兄ちゃんに怒られたの、初めてだった」
「……」
結仁よ、きみはなんて言ったのかい? 甘やかして育てたかわいい弟が泣きそうだぞ。
「ご、ごめんね、貴ちゃん……! 愛ちゃんがお兄ちゃんに言ったから……」
「え? なんて言ったの?」
「えっ……?」
結ちゃんに告げ口したことを注意したのだと思っていたけど……。
「愛ちゃんは俺のお義姉さんだって……」
聞けば、私とのやり取り関係なく、私は義理の姉だから、と伝えたらしい。
お兄ちゃんのだと思って、貴ちゃんが暴走しないように。
「ももちゃんは直の奥さんだから、友達って感覚で、愛ちゃんはお兄ちゃんのだから、俺のものって感覚だった……」
「……そっか」
思えば、貴ちゃんは直くんのことを「直」と呼び捨てにしてる。結ちゃんのことは常に「お兄ちゃん」。
私はそれを年齢からだと思っていたけど……、貴ちゃんの中でしっかりと線引きがあったみたい。
直くんのことは友達感覚。だから、ももちゃんもお友達。
お兄ちゃんのことは親感覚。わがままがいっぱい言えて、甘やかしてくれる。だから、私も……か。
それを、結ちゃんは愛ちゃんは貴ちゃんの親では無いと、義理の姉だと嗜めた、か……。
私の告げ口のことは言わずに……。
(なんか……やっぱり凄いなー、結ちゃんって)
トクンと、胸がときめく。ちゃんと、私があとで気にしなくていいようにしてくれてる。
「お兄ちゃんは貴ちゃんのこと大好きなんだよ?」
だけど、やっぱり貴ちゃんがかわいそうになってフォローする。
「知ってるよ。お兄ちゃんは俺のお兄ちゃんなんだから!」
「だから、私が来て寂しかったんだよね?」
私を掌で転がしてたのは。お兄ちゃんを取られた当てつけみたいな感じかな?
「いや。女子が増える分には全然オッケー」
「は?」
あれ? さっきまでの落ち込みは?
「愛ちゃんは俺のお義姉さんだから、仲良くしてね!」
「う、うん。もちろん……」
「今度、ラグビーの試合に来てくれたら、俺のお義姉さんってみんなに紹介する!」
そう言って、かわいい笑顔を振りまく貴ちゃん。
……今日、結ちゃんが帰ってきたら、謝ろう。
結ちゃん、
あなたの子育て、なってるわよ。
「ありがとう。貴ちゃん、これからも私と仲良くしてね」
「うん! もちろん!!」
これで、私の変態問題は終結した。
ご覧頂きありがとうございます!
いつも、評価、ブックマークも本当にありがとうございます(*^^*)
キリが良いので明日は書き留めておいた二人の初夜シーンを掲載予定です。そのため、「Ꭱ指定は保険」としておりましたが、取り外させて頂きました。
Ꭱ15でOKな内容かと思いますが、もし規約に触れましたら削除になるかもしれません(;・∀・)
もし、ご興味あれば是非宜しくお願い致します(*^^*)
↓
4月10日追記
色々と調べました所、やはりこちらで初夜シーンの掲載は難しいと判断致しました。
そこで、ムーンライトノベルズさんの方でᎡ指定部分のみ掲載することに致しました。
ややこしくて申し訳ありませんm(__)m
URLを載せておきますので、コピペして頂ける読めるかと思います(*^^*)
https://novel18.syosetu.com/n1609gx/