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第41話 義弟の裏工作の罠にハマりました!

 

「貴ちゃん、忘れ物無い?」


 大きなベイビーを送り出し、私は今、こちらの大きなベイビーを送り出す最中である。


「無い!」

「よし! 完璧だね!」

「じゃーん! 新しいスニーカー!」

「おっ! あの時の! かっこいい!」


 結ちゃんを送り出す時のテンションとは違う、ハイテンション。


「今日デートだからさー!」

「えっ!!?」

「お兄ちゃんには内緒だぞ!」

「愛ちゃんはお兄ちゃんの奥さんだから、お兄ちゃんに隠し事は出来ないよ!」

「お兄ちゃんには友達とご飯食べて帰るって言ってくれたらいいから!」

「お兄ちゃんに嘘はつけないよ!」


 あの男は結構鋭い。しかも貴ちゃん絡みとなると私の嘘では太刀打ち出来ない。


「デートだって似たようなもんだよ。友達とご飯!」

「う……うん……まあ、確かに……」


 女友達とご飯。大学生だと当たり前なのかな?

 私は男友達とかいないから分からない。男女が集う=いかがわしい流れ……


 ……これ、私の警戒心が強いだけ?


「23時までには帰ってくるから!」

「遅くない?」


 貴ちゃんが友達とご飯食べて帰るのって、だいたい遅くても22時前。それ以上になると結仁父ちゃんが心配して探し回る。


 それを貴ちゃんもわかってるはず……。


「女子と二人だよ? そりゃあね〜」

「えっ!? 貴ちゃんお友達でしょ!?」

「お友達にも色々種類があるから! 愛ちゃん知らないの? 大人なのに」

「し、知ってるわよ!」


 小馬鹿にした話し方についムキになる。


「だから、お兄ちゃんには内緒!」

「益々言わないと!」


 父ちゃんにしっかり教育してもらおう。


「なんで?」

「え? なんでって……」


 女の子といつもより遅い時間まで一緒にいて、尚且つ種類別と言われたら……


 貴ちゃんは大学生。ネットで見たことある、絶対いかがわしいやつだ……!


「何考えてんのー? 愛ちゃんのえっちー!」

「は!?」

「愛ちゃんの頭の中、えっちなことしか考えて無いってお兄ちゃんに言っていい?」

「はあっ!? だめに決まってるでしょ!」


 何この子! 兄貴の教育がなっとらんぞ!


「だから、俺のも内緒」

「……22時までには帰って来なさい」


 最悪、「友達とご飯」までは結ちゃんに言える。

 そして、ラグビーが終わってから、会って、ご飯食べて、22時までに帰って来るとなると……


 何とか……大丈夫なような……


(もうやだ。なんて恥ずかしいの!)


「女子とデートで22時までって愛ちゃんいつの時代だよ!」

「う、うるさいわね!」


 なんか恋愛経験無いってバレて馬鹿にされてる!?


「とにかく、22時までには帰って来るの! 分かった!?」

「愛ちゃん、22時まででデートって何をするの?」

「な、何って?」

「愛ちゃん大人だろ? 大学生のデートをレクチャーしてよ」

「早く大学に行きなさい……遅刻するわよ」

「俺は遅刻しても気にしないよ!」

「気にしなさい。留年しても知らないよ!」

「俺がいるとあ~んなことやこ〜んなことが出来ないからねー」

「……何よ」


 にやにやと、嫌な顔で私を見る。


「なー、俺の気持ち分かるだろー?」

「分からない、知らない」

「えっ! 分かんないの!? お兄ちゃんかわいそう!」

「な、何が!」


 何の話をしてるのよ! 朝の玄関で!


「健全男子の気持ちだよー!」

「きゃー! いやー!」

「あっはっは! 愛ちゃんおもしれー。お兄ちゃんに言おうー」

「だめ!」


 こんな恥ずかしいこと言わないで! お願いだから!


「だから、協定を結ぼう!」

「……結局それか」

「俺は愛ちゃんがえっちな女の子だってお兄ちゃんに黙っておくから」

「決めつけないで!!」


 もうやだ。恥ずかしい! 恥ずかし過ぎる!!


「だから、俺は友達とご飯って口裏を合わせておいて!」

「だから……!」

「……お兄ちゃんのマル秘情報教えてあげるよ」

「マル秘情報?」


 にんまりと貴ちゃんが笑う。


「愛ちゃん知らないの? お兄ちゃんって――……」

「う、うん……」


 ごくり。私は息を呑み続きを待つ。


「続きはお兄ちゃんに黙ってたご褒美ね!」

「はあ!?」


 何この子、性格悪い!


「知らないよ! 愛ちゃんはお兄ちゃんに言うからね!」

「いいよ」

「えっ? いいの?」

「その変わり……」

「その変わり?」


 ごくり。私は息を呑み続きを待つ。


「じゃ、いってきます!」

「えっ! ちょっと!」


 何なのよ!


「お兄ちゃんのマル秘情報ともう一つ! 帰ったら教えるね! だから絶対内緒だよー!」


 ――バタン……


「……」


 言い返す間もなく、扉が閉まった。


(あ……、あのクソガキー!!)


「大人を手玉に取るなんて!」


 悔しいぃぃ! 何なのよ!!


「マル秘情報教えてよー……」


 何なの一体。気になるじゃない。




 ……もしかして


「私、掌で転がされた?」



 最悪! 醜態だけ晒して、結局断れなかった!


「ど、どうしよう……」


 結ちゃんに素直に打ち明けるか、14歳下に掌で転がされた醜態を隠すか……


 どうしよう。


 結局……



 ……私のプライドが……


ご覧頂きありがとうございます!


貴ちゃんは直くんにも似たようなことをする、要領の良い子です(笑)

その件はシリーズ小説【直くんとももちゃん、初恋の行方。】の【第一章 デート、次に繋げていきたい】にて♡


宜しければ高評価、ブックマークをして頂けると嬉しいです(*^^*)

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