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第35話 将来の不安

 

 日中、結ちゃんは仕事で、私は現在部屋に一人。


「ふっ……」


 つい、思い出してニヤける。いけないいけない。

 顔を引き締めて……


「私、愛されてるなぁ……」


 本当に。びっくりするくらい。



 なんか……これまでの人生が本当に、全て肯定できる。


 誰からも選ばれなかった人生。

 それは、恋だけじゃなくて……


「就職活動も惨敗だったし」


 行く先行く先、書類選考で落ち、面接で落ち……


「結果、派遣社員を転々と……」


 当時を思い出して暗い気持ちになる。結ちゃんは弱音を吐かずに頑張って来た人だから、中々この気持ちは言えないし、申し訳ない気持ちになる。


 正社員でキラキラ働いている人達が羨ましかった。

 そこには未来への確かな安定がある。


 資格を取っても、勉強しても、就職やお金に結びつける事が出来なくて……。

 この契約が満了したら次はどうしよう。貯金は、保険は……。


 いつもお金の心配が付きまとっていた私。


 何とか自分を変えたくて、料理教室に一念発起して通った。

 そしたら、結ちゃんに繋がった。


「人生って本当に何が起こるか分からない」


 当時の私に会えるなら、安心出来る言葉をかけてあげたい。


「きっと……正社員で働いてたら、料理教室に行こうとも思わなかっただろうし」


 安定を求めて冒険した、私。


 そんな今でも、バリバリ仕事をしてるキャリアキラキラ女子に羨ましい気持ちはある。


「定職につかず、自分で稼いだお金はごく僅か。そして今は専業主婦……」


 いいのかな。これで……。

 結局与えられてるものに依存してる人生。


 〝お前もう三下り半か〟


「今、結ちゃんに捨てられたら……」


 どうしよう。生活出来ない。


 〝自立してますね〟

 結ちゃんはそう言ってくれた。それを自立と言うなら自立はしてる、けど……


「私……自活出来ない……」


 派遣社員だった頃はボーナスも無いし、日給月給でしか働いたこと無い。実家暮らしだったから生活出来ただけで、結ちゃんと結婚する前の貯金は僅か……


 19円。


「これは一生誰にも言えない」


 親にも言えない。親には将来の為に貯金してると思われてるし。なんせ独り身期間が長かったものですから。


「……ヨガ、やっぱりやめようかな」


 〝一瞬選ばれただけ〟

 もし、万が一本当にそれが現実になったら……


「お金貯めておかないと!」


 結ちゃんを疑っているわけじゃない。結ちゃんが不安なように……


 私はもっと不安だ。


「結ちゃんはこれからも、ご新規に出会うキラキラ女子が沢山いるしなぁ……」


 私だって結局結ちゃんからの許可はおりたけど、押し通してまでヨガに行きたかったのか、分からなくなって来た。


「結ちゃんは私の救世主だから……」


 それなら、いつも喧嘩せずに、結ちゃんの機嫌を取るべきだ。


 私は結ちゃんに養って貰ってるんだから……


「あ、どんどんナーバスに……」


 いつまでもあると思うな親と金。私の場合は……


 いつまでもあると思うな結ちゃんと安定……とか?


「こっわっ!!」


 どうしよう!ヨガ習うより働きに行くべき!?





 ✽✽


「働きたい?」

「オーイエス」


 結ちゃんが帰って来て、今は私の部屋でまったり中。


「ヨガは?」

「オー、ホリュウネ」

「……何? その言い方」


 本心なのか未来への不安からなのか、今の私には分からない。


 結ちゃんの事は信頼してる。だけど、依存してはだめ。


「愛ちゃんは働きたいの?」

「オーノー」

「NO?」


 相変わらず発音いいな、こいつ。


「いやー、広い世界を見に行こうかと思ってさー」

「俺には止める権利はないけど……」


 そう、昨日話し合って、お互いの気持ちを尊重するようになった。


「なんか……こう……」

「何がしたいの?」

「そこは……まだ……」

「……」


 あ、やばい。怒らせたかな?そう、結ちゃんは経営者。


 働きに来た人を雇う側だ。


 こんな……主体性の無い人間って……。


「嫁姑問題?」

「え?」


 言った言葉を後悔していたら何とも検討違いな言葉が……。


「違う違う! 私の問題!」

「そう?」

「うん、なんか……キャリアウーマンに憧れて……」


 言ってて気づいた。キャリアウーマンに憧れる私は、一生憧れの存在にしかなれない。


 キャリアウーマンって、なんでキラキラして見えるのかって……理由が分かったから。


 みんな、目的を持って働いているからだ。


 きっと……小さい頃からゴールを決めて、目指して、それに相応しい学校に言って、就職した。


 だから、輝いて見えるんだ。キラキラキャリアウーマンは仕事に目的を持ってるからキラキラして見えるの。


 浜田さんを思い出した。


 私みたいに目的も無く仕事をしても、キャリアは積み重ねられない。


 それを……結ちゃんに説明してて、気づいた。


「ごめん……何でも無い……」


 毎日、のらりくらり生きてきた。外側ばかりを追い求めてきた。何がしたいのか、何になりたいのか。私にはそれが無かった。


 動機不十分。


 それを、今になって思い知った。……情けない。


ご覧頂きありがとうございます(*^^*)


ヨガは果たしてどうなるのか!?(笑)


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