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第28話 優しい奥さんの為に今日は大人しくしよう

車内には俺と貴ちゃんの二人。


寝冷えしないように俺は上着を脱いで貴ちゃんにかける。


(かわいい)


小さな時から何一つ変わらない寝顔。


俺は弟二人がいるから真っ当な人間になれた。

だから、幸せになれた。


直くんと貴ちゃんには言い尽くせない感謝がある。


とはいえ、ずっと寝顔を見て数時間過ごすわけにも行かない。


(…新聞でも持っておくべきだったな)


手持ち無沙汰にスマホを手に取る。



――コンコン


すると、車の窓をノックされた。


顔を上げると、愛妻の愛ちゃんが…


「何かあった?」


窓を開け、声をかける。

愛ちゃんには先に休んで貰うようにしていたのだが。


「…貴ちゃんが寝冷えしたらと思って毛布持ってきた」


そう言って穏やかに微笑み俺に毛布を差し出す。

暖かくなってきたとはいえ、夜はまだ冷える。


「あと、結ちゃんには新聞を持ってきたんだけど…いる?」

「…うん」


その…気遣いになんとも言えない気持ちになる。


(俺が感じていたことを先回りしてやってくれるなんて…)


俺の奥さんは気配り上手で優しい。


「ちょうど見たいと思っていたから、とても嬉しいよ」


今だけじゃ無い。俺の食事を気遣ってくれていた。俺が食べ始めるのを待ってくれていた。


俺が愛ちゃんに取り分けた物も〝一緒に食べよう〟と差し出してくれて…


一つのお皿を二人で共有した。


「愛ちゃん、今日はどうもありがとう」


今日だけじゃ無い。いつも…いつも俺は愛ちゃんから支えられている。


「本当は結ちゃんと一緒にいたいところだけど、私も車の中にいたら結ちゃんが気を遣うだろうから私はお家に戻ってゆっくりさせて頂きますよ」


そう言って、俺に気を遣わせないようにニッと笑う。


「うん、ありがとう」


俺の奥さんは働き者だ。家に戻ってもゆっくりはしない。明日の朝ごはんの仕込みと、俺の弁当の仕込みをするはずだ。



本当に…


愛ちゃんを手に入れる事が出来て良かった。




✽✽


「ん〜…」


時刻はもうすぐ夜の11時。どうやら貴ちゃんが目を覚ましたよう。


「貴ちゃん、お部屋に戻ってから寝よう」

「う〜ん…あと五分…」

「ここでずっと寝てたら風邪引くよ」

「大丈夫…あったかい…」


そう言って、愛ちゃんが持ってきてくれた毛布に包まる貴ちゃん。


(なんか…なぁ…)


愛ちゃんの思いが詰まったその毛布を貴ちゃんが自由自在に操る姿にヤキモキしてしまう。


(いいなぁ。羨ましい)


「貴ちゃん、ここで寝たら疲れが取れないよ。ベッドに入って寝よう。明日は大学だろ?」

「う〜ん…チューしてくれたら起きる〜」

「…お兄ちゃんが?」


どうしよう。寝ぼけては無いよな。寝ぼけながらも俺と会話してるし…。


チューか。よし、かわいいかわいい貴ちゃんのためだ。昔していたように、ほっぺたにしよう。


「分かった。貴ちゃん、お兄ちゃんがチューしたら起きるんだね?」

「うん………え゛っ!?」


本当にしようと顔を近づけていたら貴ちゃんの目が一気に見開いた。


「うわー!やだよ!お兄ちゃん!!愛ちゃんかと思った!」

「…やっぱり」


そうだと思った。


「貴ちゃん、愛ちゃんはお兄ちゃんの奥さんなんだから、貴ちゃんがそういう事を言ったらだめなんだよ」

「お兄ちゃんのケーチ!」


貴ちゃんはしっかりと目を覚して、俺に悪態をつく。


「いい?今度会う女の子もそうだよ。責任と誠意ある対応をするの」

「あーあ。お小言お兄ちゃんが始まった。だから黙ってたのに〜」

「…お兄ちゃんに隠し事したら寂しいよ。しないって約束しよう」

「…さ、部屋帰って寝よー」

「貴ちゃん」


この末っ子は嫌な話は一切聞かない。そして俺も強く叱れない。

車の扉をあけて貴ちゃんが降りていくため、俺も車から慌てて降りる。


「貴ちゃんお風呂は?」

「合宿所でシャワー浴びて帰ったからもうこのまま寝る」

「分かった。ゆっくり休んでね」


貴ちゃんが家の中に戻って行くのを確認して俺は貴ちゃんの荷物を車から降ろす。


(戻ったら荷解きして、それから…)


…今日は俺も大人しく自分の部屋で寝よう。

明日の夕方までキヨさん達もいない。俺と貴ちゃんの朝ごはんを愛ちゃん一人で賄う事になる。


今夜はぐっすり寝てもらって、明日に備えないといけない。

つまり、きっともう寝てるだろう。


…だから俺は今日は大人しく!

おかげさまで30万文字ですm(__)m

読んで下さる方がいてくれますので続けていけます。

ありがとうございます(*^^*)


本家直くんももちゃんコンビより文字数が多くなりました(笑)

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