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第24話 お迎えは二人で。野獣軍団に囲まれました

「貴ちゃん、おかえりなさい」


合宿が終わった貴ちゃんに私は満面の笑顔で微笑む。


等のスパダリさんはと言うと…


「貴ちゃん、おかえり」


お兄ちゃんモード。さっきまで私と散々言い合った後とはとても思えませんねぇ。


なぜ言い合ったか?それは勿論、貴ちゃんのお迎えに私が付いていくかいかないかでございます。


外食するなら私もついでに行った方が合理的だという主張と、私を連れに帰るから家にいて欲しいというスパダリさんと真っ向から対立致しましてね。


時に激しく、時に心理戦を交えて…


結果、私の勝利でございますよ。皆様。応援ありがとうございます。


なーんて…


「愛ちゃん来てくれたの!?」


私を見て嬉しそうにキラキラお目々を向けてくる貴ちゃん。

まあ、かわいいじゃないの。


「うん、貴ちゃんお疲れさま」

「皆ー!見てみて!俺の彼女!」

「は?」


なぜか貴ちゃんが他の部員達に向かって叫ぶ。


「貴ちゃん!違うよ!愛ちゃんはお兄ちゃんの奥さん!」


ここで結仁父ちゃんの突っ込み。


「「「えー!お兄ちゃんの奥さん!?」」」

「!!」


野太い声の厳つい大学生軍団が一斉に私に注目する。その声量とテノール歌手並の声の低さ、太さに私はビビりまくり。


「お兄ちゃんも隅に置けないなー!」

「お兄ちゃんとどこで知り合ったんすか?」

「お兄ちゃんのどこが好きっすか?」

「ちょっと!皆!半径1m以内に近づいたらダメ!」


皆の結仁お兄ちゃんが間に入る。焦る結ちゃんはかわいいな。


「初めまして…」


とりあえず、外面笑顔の挨拶。


「プロポーズの言葉は!?」

「お兄ちゃんどうやって落としたんすか?」

「どっちから告ったんすか!?」


見た目厳つい、真っ黒でがっしりとした男の子達。

声も野太くて厳つい。


「お兄ちゃんの奥さんは俺の彼女でもある!」


いや、無いって。貴将くん。


「えっ、二股っすか?」

「いや、ぜってー貴が勝手に言ってる」

「ワハハ確かに!」

「うるせー!バカにしたなー!」


私が間に入る間もなく解決。皆旧知の仲なんだなー。


「ちょっと!皆喋ってばかりいないで、荷物運ぶよ!」

「「「うぃーす!」」」


結ちゃん保護者が間に入るとまたもや厳ついラグビー軍団が野太い声を出し作業を開始した…。


あー、びっくりした。ちょっと恐かった…。


「愛ちゃんは車の中にいて!」

「は…はい…」


悪態をつく間もなく、結ちゃんの気迫にすぐさま返事をした。




車の後部座席に乗り込み、結ちゃんを見物。


(あ、お菓子)


ラグビー軍団に頂き物を配る結ちゃん。


(どこからどう見ても保護者だなー)


若いけど。



――ガチャ


「愛ちゃん!後ろでいいの!?」


貴ちゃんが助手席の扉を開けて入ってきた。


「うん、お兄ちゃんの隣は貴ちゃんでしょ?」


私は貴ちゃんの二番手。これがスタンス。


「あー、疲れたー!お腹空いたー!」

「貴ちゃん、お兄ちゃんは?」


荷物の搬入も終え解散したはず。


「あ、俺の友達のママさんと話してるよ!」


そう言われた為視線を外へと向けると保護者のお母さんと話している結ちゃん。


(…井戸端会議?)


と思ったら何やら配ったのと別の…個人的に菓子折りを…。


(何あれ。ニコニコと。公然の浮気かい)


ズーンと怒りに満ちた目で見据える。


「お兄ちゃん、直と一緒でくそ真面目だからねー。多分この間俺が晩御飯食べて帰ったから、そのお礼!」

「…」


なんだ。


心配して損した。疑って申し訳無い。


「いいお兄ちゃんだね…」


真面目で律儀。私の夫はめちゃくちゃかっこいい。


今は見られていないから、ポヤーっと恋する乙女の目で結ちゃんを見つめる。


あぁ…かっこいい…。


「愛ちゃん!俺合宿のミニゲームでトライした!」


うっとりしていたら貴ちゃんから報告を受ける。


「そうなんだ!すごいね!」


私はラグビーのルールは全く分からない。だから嬉しそうに私に伝える貴ちゃんの様子で褒める内容だと解釈した。


「でしょでしょ?俺はねー、すごいの!」

「ほんと、すごいね!」

「俺かっこいい!?」

「うん、かっこいい!」


――ガチャ


「…なんの話?」


貴ちゃんの通る声に引かれて私も大声で褒めていたら結仁兄ちゃんがご来場。


「俺がかっこいいって話!」

「そうだね。貴ちゃんかっこいいね」


結仁兄ちゃんはお子ちゃまを出さず、貴ちゃんを褒めながら車に乗り込む。


「貴ちゃん今日晩御飯何食べたい?」

「中華!」

「貴ちゃん中華好きだよね」

「大皿でドーンと来るから定食を何個か頼むより手間が省ける!」

「そうだね」


私には意味不明な会話を前の二人は当たり前のようにする。


「まだ4時だし、良かったら貴ちゃんのスニーカーを見に行かない?」


私は後ろからひょっこり顔を出して提案する。


「あ、そうしよう!まだお店開いてないし、お兄ちゃん、約束のスニーカー!」

「そうだね。見に行こうか」


話はまとまり、結ちゃんが車を発進させた。

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