第二章 エピローグ
「それにしても師匠、あれは何だったんですか?」
ノヴァとの戦いから三週間。あれからずいぶん歩いたため、もはや村のうわさも耳にしない。
しかし、当事者であるカズヨシはどうしても気になっていたことがあった。
「あれってなんだ?」
「ほら、最後に使ってたあの、そのーなんていうんですか? 空間をガラスみたいに割るーみたいなあれです」
カズヨシは荷車の上で身振り手振りをしながらユウサイに問いかける。
かなり大雑把な説明ではあるが、実際問題そうとしか説明ができないのだからこれまた不思議な話である。
「ああ、あれか。あれはなぁ……まだ名前はない」
「ないんですか? とうか、どういう原理なんですか? あれ」
「んー、口で説明するのは難しいな。たまに感覚的に、あ、割れる、ってな感じで思うときがあるんだが……まあ、そのうちお前にもわかるだろう」
「いや、全然できるきしないんですけど……」
ユウサイ自身、あの技だけはほかの技とは違って自由自在に使用できるというわけではなかった。本当に偶然の産物であり、あの戦闘でも、あれだけの間を要してようやく発動できたという程度であった。
そんな技をカズヨシが使えるようになるはいったい何年後になるのか、まったくもってカズヨシもユウサイにも見当はつかなかった。
「それにしても、名無しですか……。なんかカッコいい名前つけないんですか?」
「完成した技ではないからなぁ……。あまり名はつけたくないな」
「いいじゃないですか。あったほうが格好いいですし。えーと、あれって、貫いてるんですか? それとも斬ってるんですか?」
「どっちともつかんな」
「うーん、裂く、穿つ、断つ、斬る……主要なのはほとんど今までの名前に入っちゃってるな……あ! ガラスを割るみたいに空間を割るって意味で“割空”なんてどうです?」
あとあと命名したことを後悔してもだえる日々に襲われそうなネーミングではあるが、そんなことは全くカズヨシは気にしていなかった。彼も十代中ごろ。そう、僅かなれども、かの有名な疾患を患っているのだ。
「う、うむ、まあ、お前がそれでいいならそれでもかまわんが……」
「じゃ、これでいきましょう!」
ユウサイは若干、後のカズヨシの精神状態が心配ではあったが、特にいい名前もおもいつかなかったためそれで留飲を下げた。
この後、カズヨシがこのネーミングに苦しむのはまた別の話である。
報告させていただきました通り、一旦ここで完結とします。
続編は今までの部分も改稿して完成次第発表いたします
今までありがとうございました!
余談ですが、明日から習作の悪徳令嬢物の投稿を開始する予定です。よろしければ読んでください!
デブでわがままで下品なあの子は悪徳令嬢:https://ncode.syosetu.com/n1925fu/




