大凶
(こっちに来ている!少なくとも今の行動からしてまともな連中とは思えない!動いたら殺されるかもしれない!)星羅は鼓動が激しくなった。
(来ている!私は死体、私は死体、私は死体、私は・・・)強く念じた。
「ん~?おい!」星羅の腹部を蹴った。
(私は死体!私は死体!私は死体!)
「生きているぞ!!」銃口を向けた。
「ま、待って!私は死体、じゃなくて!撃たないで!」星羅は起き上がって手を上げた。
「立ち上がれ!」男は怒鳴った。
「・・・」星羅は立ち上がった。
「そっちは・・・」もう一人がうつ伏せのまま動かない静の方に向かった。
「生きているな・・・」仰向けにすると、静は目を見開いたまま動かなかった。
「おい!」男が肩を揺らした。
「へぇ!?」静は数回瞬きをした。
「あ、あれ?私何していたんだっけ!?」
「起きろ!」
「えっ!?」目の前に銃口が見えた。
「速くしろ!」怒鳴られながら立ち上がった。
「・・・!!」静は目に映る死体を見て強く目を瞑った。
「なぜこんな所に市民が?」男が言った。
「さぁな?それより・・・」星羅と静の体を見た。
男達の顔がにやけた。
「くっ!」星羅は死体のそばにあるAK47を拾い上げ、男の方に向けようとした瞬間、両腕を男に捕まれた。
「無駄な抵抗はやめな!へっへっへっ・・・」
「!」膝を勢いを付けて男の股間にめがけて上げた。
「あおう!!?」力が緩んだ。
「死ね!」星羅は銃口を向けてトリガーを引いた。
「うっうう・・・」股間を抑えながらうずくまったまままだった。
(あ、あれ!?どうして!?)トリガーが動かなかった。
気が付いたらもう一人の男が星羅の腹部を殴り、怯んだすきに銃を奪われていた。
「ケホ!!」激痛のあまり腹を抑えながら倒れ込んだ。
「安全装置が掛かっていて運がよかったな!」男が股間を抑えている男に言った。
「このクソアマ!!」立ち上がった男が星羅の横腹を蹴った。
「あう!」横に倒れた。
「オウラァ!!クソが!」何回も蹴ったり踏んずけたり銃で殴った。
星羅は全身に痛みを伴いながら両手で頭を覆った。
男が星羅を胸元を掴み仰向けにした。
「・・・」星羅は激痛と恐怖で涙がこぼれていた。
「いい表情になったな!」みぞおちを殴った。
「あ、ああ・・・」あまりの激痛で呼吸がしずらくなった。
「そんなにやったら死ぬぜ。」笑いながら男が言った。
「調子に乗るのが悪いんだよ!」
「まあいい、俺はこっちだからな!」地面に座り込んでいて体震えている静の方を見た。
「や、止めて・・・!」静は弱い声で言った。
男はにやけながら静かに近づいた。
(奴らは何者だ?傭兵か?いや、プロにしてはいい加減な所が多すぎる・・・しかし、今すぐ動いたら目の前に敵がいるかもしれない・・・)セロは思った。
「・・・た、助けて・・・」星羅はかすれるような声で言った。
「へっへっへ調子に乗るのが悪いんだよ。」星羅の上着を脱がせようとした。
抵抗しようとしたが、激痛で力が入らなかった。
(全身が痛い・・・くそ!こんなクズに!!こんなゴミクズに!)
「助けて!セロさん!!」
「大人しくしろ!!」スカートを捲り下着を下げようとした。
「止めて!!嫌!!」静は叫んだ。
(そうだった・・・死ぬ事を恐れる理由なんてない!!」セロは落ちているAK47を掴み、瞬時に仰向けになった。
「!?」死体の確認をしていた別の男が気付いた時には、セロは銃を二発撃っていた。
「ぐわ!!」銃弾は男の腹部と胸に被弾し倒れた。
セロの視覚に、茂みに居た男がM249軽機関銃をセロに向けて撃とうとした。
「あっ!?くそ!」トリガーを引いても反応しなかった。
(誤作動を起こしたか!)セロは三発弾を発射して、二発の銃弾が頭部と胸に被弾して倒れた。
「くっ!」静のそばにいた男は瞬時に伏せてM60を構えた。
「・・・」セロは三発銃弾を発射し、二発は外れたが、一発は男の頭部を破壊した。
「くそ!!」男は星羅を左手で羽交い絞めにしながら、右手でピストルで撃ってきた。
「うっ!!?」一発の銃弾がセロの腰に被弾した。
「ハア・・・ハア・・・」セロは銃弾が飛び交う中、星羅に当たらないように男の頭部に照準を一瞬で合わせた。
乾いた音と同時に、一発の銃弾が一瞬で男の前頭葉を破壊した。
男は一瞬でピルとルを落としながら倒れた。
「大丈夫か!!?」セロは周りの安全を確認し、立ち上がろうとした時、腰に激痛が走った。
(対した事はないが、早めに止血しなければ・・・)ゆっくり立ち上がった。
「怖かったよ!!うわわわわわん!!」静は泣きながらセロに抱き付いた。
「うわ!?」セロは大いに戸惑った。
「まったく・・・!お陰でサウンドバッグの気持ちが理解できたわ!!」星羅は体を抑えながら立ち上がった。
「そ、そんな事をしている場合ではない!!新手が来る前に山を下りるぞ!」セロは静を突き放した。
「クソ野郎!!」星羅は前頭葉から脳みそが出ている死体に向けて蹴った。
「落ち着け!もう奴は死んでいる!」セロは止めた。
「ハア・・・ハア・・・!」去る前に、血の付いた靴を死体の顔で拭い取った。
セロは死体からピストルをポケットにしまい、М16を拾い上げた。
「あっ!鈴鹿ちゃん!!」静は鈴鹿に駆け寄ろうとしたその時、来た道から大型のバンが走ってきた。
「建物に入れ!!」星羅達に言った。
星羅は急いで、建物のドアを開けて入った。
「静!戻れ!」セロは静の襟をつかんだ。
「嫌だ!鈴鹿ちゃん!」
「もう諦めろ!仕方がない!」静を引っ張った。
「そんな!どうして!?嫌だ!」
バンの窓から銃弾が飛んできた。
「あっ!!?」建物に入る寸前、静は倒れた。
セロは苦しんでいる静を引っ張り、建物のドアを閉め、取っ手の中央のボタンを押して鍵を掛けた。
「足が痛い!!熱い!熱い!」静は激痛のあまり涙を流した。
「大丈夫!落ち着いて!」星羅は静の手を握った。
(・・・)セロは被弾して抉れていて血だらけの銃弾の破片が突き刺さっている静の左足を見た。
「この程度なら大丈夫だ!布か何か持ってないか?」セロは聞いた。
「服なら・・・」星羅は上着を抜いで渡した。
「ありがとう。」セロは服を被弾した所に当てた。
「何もしないよりはマシだろう・・・」自分のベルトを外してそれで固定した。
「先を行こう・・・奴らが来る前に。」星羅は静に肩を貸して立ち上がった。
セロ達は慎重に進んだ。
「鈴鹿ちゃん・・・うう・・・グス!」静は涙を流した。
「・・・私たちにできる事は鈴鹿の分まで生きる事。」と星羅。
「・・・」
「鈴鹿も静ちゃんが泣くことを望んでいないと思うわ。」
「・・・分かった・・・」