ヒッチハイキング
「すいません!乗せてください!!」静達は道路の端で一万円を振りながら叫んだ。
「一万円手に入れて、ヒッチハイクか・・・」と星羅。
「仕方ないでしょ!それ以外だと足が付きそうだし・・・」
「十分目だっているけどね!主にあんたのせいで!」星羅は鈴鹿に怒鳴った。
「また駄目か・・・やはり徒歩の方が・・・」とセロ。
「この人数で止まってくれる車なんて・・・」星羅が言い終わると車が止まった。
「珍しいね!今時、ヒッチハイクとは・・・」運転席の窓から、短髪の朗らかな顔をした男が顔を出した。
「・・・」一瞬無言になった。
「どうする?私は嫌よ・・・」星羅は小さい声で言った。
「でも止まってくれたし・・・」と鈴鹿。
「あれって、痛車って言うんだよね?」静は露出度の高い水着姿の初音ミクが描かれた車を指さした。
「うちの嫁が可愛いからっって、こそこそするなよ!」運転手は顔を赤くしながら言った。
「どういう思考回路しているのかしら・・・?」と星羅。
「乗っていいか?」セロは聞いた。
「えっ!?」
「オッケイ!行先は?」
「ああ・・・えと・・・名前を忘れたが遠くの山だ。」
「大岡山か?」
「それだ!」
「おう!それはちょうどいい!仕事でそこに向かっている途中だ!ハハハ!」
「ああ・・・」セロは安心した。
一万円を支払い、セロは助手席に行き、三人は後ろに乗った。
(今時の車にしては古いな・・・やっぱり異世界だから?)静はモニターもテレビも無いマニアル車に少し驚いた。
(絶対に目立っているな・・・痛車に乗ると思わなかった・・・)星羅は思った。
車を発進させた。
「どうして大岡山に?」運転者は聞いてきた。
「ああ・・・」セロは戸惑った。
「祖父の家に行こうと思ったら、車が故障してそれで・・・」星羅が答えた。
「そうか・・・所で、家族か?」
「そうです。」
「そうか・・・ラジオでも付けるか。」ラジオのスイッチを付けた。
「ザアー!ザアー!つぎゃうやsニュー・・・」
「よし。」周波数を合わせた。
「先ほど、黒光警察署を襲撃した武装集団は、反日米集合武装連会と調査で判明しおり・・・襲撃した20人が拘束、射殺されました。えー4人の市民が重症で、警察官10人が亡くなられました。えー今の所、囚人が脱獄したとの情報はありません。警察は犯人に対する動機を調べていく方針です・・・」女性がアナウンスをしていた。
(私たちの事は言われていないようね・・・)星羅は思った。
「たった今、速報が入りました。取調室で一人の警察官が重症でもう一人が射殺されていました。そして、亡くなった警察官のピストルが有りませんでした。警察は誰かが銃を取り警察官を射殺し、襲撃に紛れて取調室から逃走した可能性が高いと判断しています。今後の情報をお待ちください。続いてのニュースです・・・」
(間違いなく私たちの事だ!)星羅は思った。
(捕まったらどうなるんだろう・・・死刑かな?)鈴鹿は警察官が居ないか窓の外を見た。
(テロリストや犯罪集団を撲滅するのが仕事だったのに・・・まさか、逆の立場になるとは・・・)セロは片手で頭を抱えた。
(どうして、こうなったんだろう・・・何も悪いことしていないのに!)静は自分が捕まるり、世間から非難される事を想像し怖くなて、鈴鹿に身を寄せた。
「ど、どうにかなると思うから・・・」頭を優しく撫でた。
何分立ったか分からない・・・全員、警察に怯えながら待った。そして、気が付いたら舗装されていない山道を走っていた。
「ん?」セロは黒いバンが道を塞いでいる事に気が付いた。
車のブザーを押し、窓を開け大声で言った。
「俺だ!通してくれ!」大きく手を振った。
車は直ぐに後ろに下がり、通れるようになった。
再び車を動かした。
その道を通った後、再び車は進み、道を塞いだ。
「・・・まさか!!?降ろして!」星羅は突然、叫んだ。
「どうしたの!?」鈴鹿達は驚いた。
「セロさん!こいつから運転を奪って!」
「ど、どうしたんだ?」
「アメリカでヒッチハイクした女性をレイプしたり、殺害した事件があったわ!」
「はっ!?だから、車で道を塞いだんだ!」鈴鹿も気付いた。
「俺はそんな事はしない・・・俺はな!」車を止めた。
「!?」窓から周りを見ると、廃墟らしきボロボロの建物の近くに、ナイフを研いでいて薬物跡がる上半身裸の男やAK47を装備しているなど数十人の男が居た。
「くっ!」セロはピストルを右ポケットからだろうとした。
「おっと!動くな!」運転手はピストルを構えた。
「・・・」セロは運転手を睨んだ。
「銃を渡せ!」
セロは窓の外を見ると、すぐそばにAK47を構えた男が複数人居た。
(流石に勝ち目がない・・・)
「早くしろ!?」怒鳴った後、後ろのドアが開いた。
「降りろ!」AK47を構えた男が三人に言った。
「・・・」鈴鹿は両手を挙げて車から降りた瞬間、AK47を掴み上げた。
「なっ!?」鈴鹿は男の股間を二回蹴った。
「おう!」男は怯んでAK47を手放した。
鈴鹿は直ぐにドア越しで他にいる敵に向かって構えた瞬間、激しい銃声が響た。
「きゃ!!!?」星羅達は出来るだけ身を伏せた。
敵のAK47はドアをもうろうとせず貫通し鈴鹿に被弾して倒れた。
「あう・・・!!?」(い、痛い!?痛い!?ハア、ハア・・・は、腹が焼けるように痛い!何が起きたの!?)鈴鹿は一瞬何が起きたのか理解できなかった。
静は急いで降りた。
「鈴鹿ちゃ・・・!!?」静は腹部や胸部が中が見えるぐらいに抉れて、そこから大量に出血している鈴鹿の姿を見て、声も出ず腰を抜かして倒れた。
「鈴鹿!!」星羅も降りた。
「ああぁ・・・」静は全身が震え涙を流した。
「お、俺の嫁が!!」運転手はドアを開けて、穴だらけになった初音ミクを見た。
「鈴鹿!!」セロも駆け寄った。
セロは鈴鹿の服を上げた。
(内臓までいっている!早急に病院に送らなくては!しかし・・・!)
(体が寒い、重い・・・眠くなってきた・・・)
「わ、私・・・し、死んじゃうの・・・?」荒い息をし、かすれた声で言った。
「大丈夫だ!心配するな・・・!」脱いだ服を被弾した所に詰めて圧力を掛けた。