メタ発言
近くにあった公園のベンチに座った。
「喉乾いた!」鈴鹿は水道水で水を飲んだ。
「はあ・・・」ベンチに腰掛ける星羅。
「これからどうするの?」静はセロに聞いた。
「本を持っているか?」
「うん。」星羅は本を渡した。
「おい!起きろ!おい!」セロは揺らしたら振ったりした。
「中に何か書かれていないの?」と静。
「おお!!」セロは本を開いた。
「どうしたの!?」鈴鹿は駆け寄った。
「何も・・・無い!!」どのページも完全に空白だった。
「ホントだ!恐ろしいほど空白!」静は驚いた。
「全然起きないね。」と鈴鹿。
「貸して。」星羅は取り上げた。
「起きろ!!」星羅は策に叩きつけたり叩いたりした。
「ちょっ!荒いよ!」鈴鹿は止めに入った。
「こんな訳の分からない世界でサバイバル生活とは冗談じゃないわ!今すぐにでも帰ってニコニコ動画を見たいの!」
「でも、展開的に考えて直ぐに帰れるととは思わないわ!多分最終回ぐらいまで・・・」と鈴鹿。
「うるさい!それはドラマの世界での話でしょ!とにかく、こいつを起こす!!起きろ!シュレッター掛けるぞ!」更に強く叩きつけた。
「見て!ママ!あそこに変な人が!」透かし離れた所に居る少年が言った。
「しっ!目を合わせちゃ駄目!」ママと言われた女性が少年の目を隠した。
「すいません、この子ったら・・・オホホ!」頭を下げながら素早く去った。
「・・・確かにはたから見たら本を罵倒している変な人ね・・・」落ち込む星羅。
「ハア~異世界でもスライムや魔王がいる世界に行きたかったな~」鈴鹿はため息を吐いた。
「・・・さっきもそうだけど何言いってるの?」
「最近は、魔王を倒すために冒険をするドラクエ風の異世界物語が流行っているのに・・・」
「はっ!?それで!」
「それなのに!この世界は普通に近代兵器はあるわ!道路も舗装されているわ!普通に車が通っているわ!魔王どころかモンスターすら居なさそうだし・・・まあ、ファイナルファンタジー風の世界もいいいかな?」
「ハア・・・家に帰れないどころか、捕まるかもしれないのに・・・うらやましい神経ね!」
「大丈夫!この先の展開は読めるわ!私たちの事情を知っている誰かが助けてくれるか、それとも誰かが襲われている所を私達が助けてお礼に助けてくれるか、もしくは警察に捕まって人体実験によって特殊能力が得られるか、あるいは眠っていた力が目覚めてテロリストや政府と戦う展開になるか、それか・・・」
「もう黙って!お経を聞いた居た方がまだストレスにはならないわ。」
「でも、何らかの助けがあるはずだわ!」
「・・・」
「あと、法則だと主人公やメインキャラクターは死ないし、結果的には私たちが人のために活躍するような展開になると思うわ!」
「そうだね!鈴鹿は主人公だから死ぬことは無いね!」星羅は笑顔になった。
「そう?まあ、前世は殺し屋で特殊能力があるはずだからね。」
「だったら、目隠しで道路を渡ってみてよ。」
「・・・え?」
「だって、主人公は死なないんでしょ?」
「そ、そうだけど・・・」
「引かれたとしても、その反動で新たなる力が目覚めるかもしれないし!もしくは引かれる寸前に眠っていた潜在能力が目覚めるかもしれないじゃん!」
「・・・」
「だから、行ってこい!」真顔になった。
「そ、そうだね。」
「その能力で私たちを助けてよ!だから行ってこい!」
「でも心の準備が・・・」
「大丈夫!私が背中を押してあげるから!」
「い、いや、もしかしたら世界を滅ぼしかねない力が手に入るかもしれないし・・・」
「大丈夫だって!あれ、主人公だからね!」星羅は顔を近づけた。
「うう・・・」目から涙が出て来た。
二人が会話している中、一方セロはピストルを見ていた。
「どうしたの?」静は聞いてきた。
「いや・・・」セロはピストルのテイクダウンボタンを押しながらテイクダウンレバーを下げ、スライドを外した。
「何だこれ!?」中は長細い筒や銃弾を発射する部分には液体が入っている目盛付きボトルなど、見たことも無い構造だった。
「中はこうなっていたんだ・・・」と静。
「いや、俺の知ってる銃とは全く違う・・・これでは不部があった時に直せない!」元に戻した。
「本は起きないし・・・これからどうするの?」星羅は聞いてきた。
「やっぱりだめだったんだね。」
「うん。それよりどうして鈴鹿ちゃんは暗い顔をしているの?」静は聞いた。
「頭を治療しようと思ったらこうなった。」と星羅。
「フーンそうなんだ。」興味なさそうに答えた。
「それより、皆心配しているだろうな・・・元気だといんだけどな~」と静。
「そうだね・・・」(ママ・・・)と星羅。
「・・・」鈴鹿は何も言わなかった。
「警察に見つかる前に山に逃げよう。」とセロ。
「どうやって?」
「徒歩だ。」
「ええ!タクシー使ようよ!疲れたし!」ダダこねる鈴鹿。
「馬鹿じゃないの!金持っていないしっ!?」突然、星羅に紙らしき何かが顔に当たった。
「何なのよ!?」紙を握りとって見てた。
「こ、これは!!」
「ゆ、諭吉先生!!」静は驚いた。
「一万円が手に入っ!!」突然、星羅は鈴鹿の口を手で塞いだ。
「しっ!持ち主が来るかもしれないわ!」
「・・・」頷いた。
その時、遠くから少年が走ってきた。
「ねえねえ!お姉ちゃんたち!僕の一万円知らない!?」
「え?何も見ていないけど?」星羅はとっさに後ろのズボンの中に入れた。
「駄目だよ!嘘つっ!?」
「よ、よし!目隠しゲームをしようか!」鈴鹿は静の口を封じた。
「さすがに・・・ッ!」セロは星羅に背中の皮膚をつねられた。
「ごめんね、お姉ちゃんたちが役立たずで・・・」
(よく平気な顔で嘘を付けるな・・・)鈴鹿は少し引いた。
(これが女か・・・)セロは思った。
(さすがに、少しは罪悪感あるけど、生きるためよ!ごめんね!少年!)星羅は心の中で謝った。
「そっか・・・」落ち込む少年。
「・・・」(本当にごめんね!)全員、心の中で謝った。
「しょうがないか・・・もう少しで、扇子の完成だったのに・・・」少年は棒に引っ付いていて扇状になっている四枚の一万円がぽけっとから出て来た。
「!!?」星羅達は口を大きく開けた。
「まあ、パパからまたもらったらいいか!じゃあね!」少年は去った。
「・・・」全員、しばらく無言だった。
「な、なにあのクソガキ!?」と鈴鹿。
「罪悪感を感じた私が馬鹿だった!!」と星羅。
「所で、おもちゃじゃないよね?」と静。
「はっ!!?」星羅はとっさに取り出して確認した。
「顔が透けて見える・・・本物よ!」札を光に当てた。
「うわ・・・一万円をこんなゴミみたいなことをするなんて・・・」静は落胆した。
「まあ、何にしても良かった。」とセロ。
「うん!これでタクシーに乗れる!」鈴鹿は喜んだ。
「でも、足が付かない?」と星羅。
「あ・・・」