思いがけぬ情報
「ふむ、それならば真白が自力で突き止めている間、雅の屋敷は私が見張っておこう。気になる事があるからな」
「ふえっ!? な、なぜ!?」
そんな事されたら、雅様のお屋敷にこっそり近づいてあわよくば潜入……なんてことも一気にしづらくなるじゃない。なんの意味もない!
「今理由は言ったばかりだろう、気になる事があるのだ。真白に俺の助けが必要ないなら、俺は俺で好きなようにやる」
「困ります~……なんなんですか、気になる事って。私がついでに調べますからぁ」
「嫌だ」
駄々っ子か! と腹が立ってきた。いくらゲームの最愛キャラでも、好みドンピシャの麗しいお耽美フェイスでも、見なければ惑わされるものではない。目をつぶって全力で交渉するんだ、私!
そう思っているのに、目の前であまりにも悲しそうな顔をしている千尋様の顔が綺麗過ぎて、なかなか目が離せない。
「真白……」
さらには囁くように名前を呼ばれると、私の胸は勝手にきゅうん、と小さな鳴き声を漏らす。
くそう、さすが筆頭攻略者……。声まで全力で好みだ。
胸を押さえて息を整えているうちに、千尋様は眉根を寄せた切ない表情でうつむいたまま、ゆっくりと口を開いた。
「雅の屋敷には絢香にそっくりな女がいた。雅はなにか禁術にでも手を出しているのかもしれん」
「へ!?」
いま、なんと!?
「あれは絢香本人ではあり得ない。霊気の質が違う。……しかし幻というには霊気も存在感も強い、あれは実体で間違いない」
真剣なまなざしで考えを巡らせる千尋様の横顔を、私は口をハクハクと開け閉めしながら、ただ茫然と眺めていた。
な、なんで!? 千尋様、もう雅様のお屋敷まで調査済み!? ていうかそれって。
「絢香の姿を模して、雅が作り出したものだとしたら」
違う、違う違う、違うんだよ千尋様! それ、絶対に絢香さんの妹さんだ!!!!
探し求めていた情報が、こんなにもポロリと目の前にさらされるだなんて!
「あのような完璧な傀儡……禁術を用いているのは間違いないだろうが、そもそも実現するには尋常ではない妖力が必要だ。さらに、考えたくもないおぞましい贄もささげたに違いない」
私が驚きで言葉を失っているうちに、千尋様はどんどんと怖い方に想像を展開させていく。
大丈夫です、千尋様。多分、雅様はそんな恐ろしいことに手を染めたわけではないと思います。
「断じて真白をそんな危ない男のところに近づけるわけにはいかん!」
拳を震わせて、千尋様は私にそう宣言する。
心配してくれるのはとてもとても嬉しいけれど、しかしこれはどうしたものか……。
絢香さんにいったん相談してみた方がいいとは思うけれど、せっかく見つかったっぽい気がするのに下手に動いて警戒されたら、逃げられたり隠されたりするんじゃないかしら。




