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淡雪さんの助言

「おや、お疲れだねえ真白」



淡雪さんがあったかい緑茶を淹れてくれるけど、なかなか気持ちは上向かない。



「依頼が全然うまくいかなくて」



あれから三日も経つのに、手掛かりなんか欠片も見つからない。絢香さんが今住んでいる街でも、元住んでいた街でも有力な情報なんかなかった。



「依頼内容は人探しって言ったかねぇ」


「はい、でも情報が少なすぎて」


「でも所持金も少なくて、頼るところもないんだろう?」


「多分、ですけど」


「あの子の双子の妹を探すんだったよねえ」



呟いた淡雪さんに、写真館で撮った写真をピラリと見せる。



「綺麗な娘だよねぇ、囲われてる可能性も高いんじゃないのかい?」


「囲われてる?」


「家出人なんてものはね、暮らす場所を確保するために大抵住み込みで働ける場所を探すもんさ、あんたみたいにね」



そっか、私だって一緒だものね。違うのは、私は別に追い出されただけで隠れる必要が無かったって事。だから割と近場のこの街で住み込みできる仕事を探したんだよね。



「気のいい御仁に拾われりゃあ、匿って家の内向きの仕事をさせるだろうし」



なるほど、淡雪さんみたいな優しい人に妹さんも出会えてるかもって事か。



「運が悪けりゃあ妾って事もあるさね」



思わずピシッと固まった。め、妾……?



「それだけ綺麗な娘だ、充分考えられる事だろう? そうなると厄介だよ、屋敷の離れなんかでこっそり囲われてる娘を見つけるのは骨が折れるだろうねえ」



うわあ……考えられる! 考えられるよ、それ!


妹さんはコミュ力が低そうだった。上手い事交渉するなんてスキルなさそうだし、なんかもう悪い予感しかしない。


せめて悪い男に引っかかってないといいんだけど。


それに、もしそうだとしたら、屋敷の奥深くに囲われている人なんかどうやって探せばいいんだろう。


余計に見つかりそうにもないと思えて来て、若干凹む。思わず卓に突っ伏してダラーンとだらけてしまった私を見て、淡雪さんはキセルをコツンと火鉢に当てた。



「あの依頼に来た娘……何て言ったかねえ」


「名前? 絢香さん、ですけど」


「そう、その絢香って娘ともう一度落ち着いて話してごらん、妹が出て行く前にどんな話をしたのか時間をかけてゆっくり思い出して貰った方がいいだろうねえ、真白は事前調査が雑破すぎてアタリがつけられないんだろう?」



うう……まさに、その通り……。


シュンと項垂れれば、淡雪さんは妖艶に流し目をくれながらキセルをふわりとふかした。



「尋ね人はね、結局はその人を知る人からどれだけ情報を引き出せるかが鍵なのさ。何度でも話をお聞き」


「はい」


「その逃げた子の気持ちになってよおく考えてごらん、真白はまだまだ頑張れる筈だろう?」



空いた手で優しく撫でられて、私は一気に元気が出た。



「淡雪さん、ありがとうございます! 私、絢香さんとじっくり話してみます!」

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