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俺の強さが行方不明 ~昔は最強だったが今は粘土こねてるだけ~  作者: 裏山吹
第三話 自業自得とひねくれ者の魔法
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8 ちょっとラブコメします:アブノーマル版

「なぜお前がここにいる? お前には関係なかろう?」


 俺は脱がすのをやめて、姫鶴を千子から隠すように対峙する。


「ああ、なるほどな。ここで助けに出ることができれば姫鶴への印象アップだとか勝手に考えてるんじゃないだろうな? こいつとは他人のくせに」

「ち、ちが……」

「そんなに姫鶴がいいのか? ん?」

「えっと、これどういう状況ですか」


 後ろから事情の呑み込めていない姫鶴の横やりが入る。いつも通りスルーだ。


「そんなに姫鶴のことがかわいいか? なんならちょっと触らせてやろうか?」

「べ、べつにその子のことなんてなんとも思ってない……」

「へー、そうか。ふーん」


 俺はあからさまに見せつけるように、姫鶴の小さな肩を抱いてこちらに引き寄せる。


「ちょっ、ちょっと遼さん、何を……!」

「ディ、ディアボロス、あなた!」

「何を怒っているんだ? 姫鶴は俺の女だ。こういうことをしても不思議ではあるまい? それともお前に何か関係あるのか? ないだろ?」

「おっ、おおお俺の女って!」


 動じている姫鶴は身をすくませながらなすがままにされていた。こちらも顔が赤い。


「俺の下僕ならお前は俺のものということになるだろう」

「ええっ、そうなんですか!?」

「そうだ」


 断言して、悔しそうにその場に立ったままの千子のほうを見る。

 そして勝ち誇ったように笑う。


「くっ、なんていううらやま――いえ、勝手なことを宣って!」

「おっと飛び道具は使うなよ。姫鶴に当たったらどうする?」

「この、卑怯者!」


 手を掲げて『魔弾ガンショット』を出そうとしていた千子は俺を非難した。


 こいつの魔法の腕なら俺だけを狙い撃ちすることも可能だとは思うが、本人はそんなこと考えられる状況ではないらしい。


 うむ。これは重症だな。


 茶番を続けよう。


「姫鶴、お前、俺というものがありながらほかの男でも作っていたのか?」

「いえ、ぜんぜん、そんなことは」

「なら女でも作っていたか?」

「もっとないです……っていうかなんなんですかこれえ!」

「女はもっとない? 女は……もっとない?」


 にやにやしながら千子を見た。


「くうっ」


 泣きそうになっている。


 こいつ男とか作りまくって全員服従させているイメージだったが、こんなにピュアだったのか。


 俺はとどめとばかりに姫鶴の脚――太ももの部分を持ち上げた。


「ウィンウィンウィン」

「ひゃああっ、ちょっ、どこ触ってるんですかぁ!」

「ディアボロスー!」


 とうとう抑えきれなくなったのか、千子はこちらに突貫してくる。

 ようは力ずくで奪おうという腹だ。


 これを待っていたぞ。


 そのまま体当たりをしてくる千子だったが、途中で進路をそれていった。


「!」


 そして近くにあった細い木の幹に激突する。


「よくやった、笹露。見事な手際だったぞ」

「はい遼様」


 隠れていた笹露が、白い球とともに姿を現した。


「あ……え? これ、作戦だったんですか?」


 姫鶴はようやく気付いた。カラクリはまったく理解していないようだが。


「最初からそのつもりだったのね……?」


 千子は冷静になってつぶやいた。


 笹露には木の幹を中心に落下の力を展開してもらっている。俺と姫鶴のいる場所はそのままの重力で、千子にだけ作用するような位置合いにしていた。


 千子の視点だと、今頼りになる足場は細い木の幹しかない。

 自由には動けない。


「当たり前だろ。こんな挑発乗るほうが悪い」


 以前のキレッキレな千子はどこにもなかった。

 まあとにかくこれで仕返しができるというものだ。


 そう、今度は俺がこいつに教え込まねばなるまい。

 千子が俺にやったようにな。

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