共通② 学校
「今日は街にいってたみたいね。いい店あった?」
◆母に聞かれて、私は――――
→《出会いがあった》
《とくにないよ》
「いいか悪いかで言えばよくないけど、変な二人にあったよ」
「へえ……まあとにかく明日から学校なんだから支度してね」
つい先日私は父の転勤でこの街へやってきた。
学校が変わったばかりで明日からついに通うのだ。
たしか従兄の蒸理さんはそこで教師をやっているみたいだ。
彼が受験生のときを最後に数年は会っていない。
◆
――転校初日なので普段より早めに起きて、校舎へたどり着いた。
雰囲気は案外前の学校と差がなくてどこにでもある普通の高校。
「おはよう」
「はよ~」
―――校門の前には従兄がいた。
「あの、蒸兄さん」
「……!」
私が従妹だと気づいてか、彼はハッとしている。
「えっと……久しぶり」
「そうですね、えっと……大学受験うまくいってよかったですね!」
こうして教師になった姿を見られてよかったと思う。
「それじゃあまずは職員室に―――」
「あ、君……」
後ろから声をかけられ、私が振り向く。
―――昨日会った茶髪男子がいた。
「えっとまだ名前言ってなかったよな。オレは九凪心真」
「私は波路野真理だけど……まさか同じ学校だったなんてね」
失態を見られてしまった相手なので気まずい。
「君って面白いからさ、同じクラスだといいな」
「……待たせてすみません」
彼が去っていくと、私たちは気をとりなおして職員室へいった。
●
「まさかアイツが高校生で、うちに転校してくるなんてな」
「びっくりだよなー」
「だが同じクラスになる確率は四分の一、学年もいれたらもっとだぞ」
●
「みんな聞いてくれー、今日は転校が来るよ!」
蒸理さんは先生らしくクラス内に声をかけた。
「それじゃ入って」
「失礼します」
私がクラス内を見渡すと――――
「あ……」
――――そこには銀髪男がいた。
「ベタすぎるだろ」
しばらく私達は沈黙すると、反対側からガラりと入ってきた黒髪の男子がいる。
「……すみません寝坊しました」
「一応まだ鐘はなってないよ藍覇」
心真は気まずそうな男子に声をかける。しかし藍覇という名字に聞き覚えがあった。
「じゃあ、皆揃ったことだし名前をいって」
私は黒板に名前をかいて、皆のほうをむく。
「波路野真理です。語部町から来ました。よろしくお願いします」
「じゃあ席は……」
―――藍覇君の隣があいていた。
「よろしくね」
「……ああ」
私はそこに座って隣を見る。左隣には九凪心真、左斜め前には銀髪男の氷室がいる。
「なあ、アンタ……どこかであったことないか?」
「あー私もその名字どこかで聞いた気がしてたんだよね」
彼は思い出そうとしている。
「そういえば両親が転勤続きで、短期間だけ語部街の幼稚園にいた覚えがある」
「へーじゃあ二人は同じ幼稚園にいたんじゃない?」
心真が会話に入ってきた。