19.褒美
「さて、今日は何であったか……。あぁそうだ、先の戦の褒美であったな」
あの後、儂等三人は場所を変え、玉座の間へと移動していた。
皇帝は玉座に座り、肘掛けに膝を付き、頬杖をついている。
少し宙に視線をやり、何かを考えるような仕草をした後、また目の前に跪く儂等へと視線を戻した。
「クロハよ、何か欲しいものでもあるか?」
「はっ、ならば一つお願いが……」
「なんだ?」
「私も成人の儀が終わり、初陣、第二戦とこなしました。つきましては、私に、自身の騎士団を組織する許可を頂ければと……」
「ふむ……、騎士団か。うむ、許そう」
「はっ!ありがとうございます」
クロハは少し上げていた頭をまた深々と下げた。
これで大手を振って私兵を集められる。
数十人規模ならばまだしも、騎士団ともなれば国の許可なしに集めるのは中々難しい。
いらぬ注目を浴びそうでもある。
兎にも角にも、クロハが国で上がっていく為の、まずは一歩。
戦で武功上げる為にも、まずはクロハの自由にできる兵がいる。
まぁ許可を貰っておいてなんだが、既にある程度の根回しは出来ている。
数年前の騒動や、先の戦でも共に戦ったアイシアの町の駐屯兵と自警団を合わせて約五百人。
それと、以前から目を付けていた3つの傭兵団にも連絡を取り、既にイイ返事を貰っている。
全てを合わせて、人数は大凡ではあるが800から1000という規模になるだろう。
これからさらに忙しくなる。
「それでだ、クロハよ。一つ頼みがあるのだ」
「頼み、でございますか。私に出来る事であれば何なりとお申し付けください」
「各地で盗賊団の被害報告が少々増えているようだ。既に騎士団を地方に回しているが手が足りていない。お前も騎士団を作るというのなら、訓練がてら潰してこい。お前の担当は、……そうだな、ウールから北にあるカラス山までだな。アイシアからも近いし、丁度いいだろう」
「はっ、了解致しました」
と、ここで皇帝陛下との対談は終わり、儂ら三人は日が傾く前に皇都をお暇する事にした。
今から皇都を出たとして、日が落ちる頃にはまた商業都市リバープールへと入れる。
そこでまた今日は一泊し、明日の朝にアイシアへと帰路に付く。
さて、皇帝陛下の命令である盗賊退治についてだ。
アイシアの領主邸にも数件の被害報告が届いていた。
さすがにアイシア程の大きな町に襲い掛かるような事は無いが、周りに点在する名も無き村や小さな集落は標的にされやすい。
警備に数人駐屯兵を送ったりと対処は取っているが、次に何処を狙うかも解らない上に、守る場所が多すぎて手が足りない。
やはり、アジトなり何なりを突き止めて、討伐隊を組んだほうが効率がいいだろうという結論に至った所で、今回の皇都訪問だ。
クロハの率いる騎士団を編成する許可も貰い、新設の騎士団ではあるが、盗賊退治ぐらいならいい訓練になるだろう。
連絡を取っている傭兵団にはアイシアに出向くように伝えているので、儂等三人がアイシアに戻る頃には到着している頃だろう。
さてさて、盗賊退治。
一人でも手練れが居てくれればいいのだが、どうであろうか。
まだ見ぬ好敵手へ想いを馳せる。




