表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生異世界忍法帖。  作者: 熊田猫助
二章「戦乱と血塗れた夢」
36/48

11.戦火終息

ようやく、この戦を終わらせる事が出来そうです。

中々思ったようにいかず、試行錯誤しておりますorz

遅筆ゆえ、間が空いたりする時もありますが、生暖かい目で見守って頂ければ幸いです。

人知れず始まった儂らの戦い。


儂を殺そうと向ってくる騎馬達の内、突出している二人に狙いをつける。


儂は走りながら籠手に忍ばせた棒手裏剣を二本取り出し、両手で同時に打つ。

以前は出来なかった芸当だが、儂も日々の修行で少しずつ腕が上がっているのだ。


「うっ!」

「ぎゃっ!」


寸分たがわず目の奥へと突き刺さる棒手裏剣に、短い悲鳴を上げて落馬し、転がる二人の兵士。

儂はそれを横目に次に迫る一人の兵士へ向って飛ぶ。

それよりも一瞬早く、上方より飛来した一本の矢が馬の額を貫き、馬は頭を垂れる様にバランスを崩した。


「バカなッ!矢がどこから!うあああっ!!」


そして儂はバランスを崩した馬の頭を踏み台にし、後方より迫る三騎へ向かって更に飛んだ。

悲鳴を残して転倒する騎馬兵を後ろに、少しの滞空時間の後、目前へと迫る剣を振り上げる兵士。

儂はユーリの弓の腕とタイミングを心の中で褒めつつ、剣を振り下ろすより先にその喉元へ向けて足刀を繰り出す。

それとほぼ同時に後方で聞こえる悲鳴から察するに、ユーリが落馬した兵士に止めをさしたのだろう。


そして、喉を潰す感触に、グェッというカエルを潰した様な声を残して儂の足刀を食らった兵は倒れ、そのまま走る馬の尻を足場に、更に迫る二人の兵へと向かって飛ぶ。


一人目の兵士の顎先を右足で振りぬき、そのまま空中で一回転の後、左足の踵を二人目の顎先を目掛けて振り抜いた。


悲鳴を上げる間もなく、首があらぬ方向を向いて絶命する二人の兵士は、儂を通り過ぎて暫く進んだ後、音と少しの土煙を上げて地面へと落ちた。

主を無くした馬は谷底を奥へと駆けていく。


葵流 連武『切花』


そして儂は悠々と地に降り立ち、ふぅと短く息を吐く。


その後に続くはずの後続が来ないと思ったら、どうやら途中で立ち止まってしまったようで、何やらざわついているようだ。


「どうしたのじゃ?もう来ぬのか?」

「貴様!化け物か!それに何処かに仲間がいるのか!先程一人だと言っておったではないか!!」

「む……、なんじゃそんな事か。ここには儂は一人じゃぞ」


そして儂は切り立った岩肌の上を指さす。


「上にはおるがのう。はははっ」

「どこまでも、人をおちょくりおって!お前達もだらしない!!ええいっ、馬を降りて取り囲め!!囲んでしまえば何もできまい!!」

「ほう、面白いのう」


そして、儂は前方の兵士達が馬から降りるのを待つ。

そして、あっと言う間に囲まれた。


「ひぃ、ふぅ、みぃ……、ふむ、8人か」

「妙な技を使う奴め……、無手で人を殺すなど聞いた事が無い……」

「囲んじまえば何もできんさ!観念しろ!」


何やら口々に儂に向かって威嚇の様に喋っている兵士達を余所に、儂はゆっくりと構えを取る。

葵流、連武の構え。


腰を落とし、右足を後ろに引き、左足を前へ。

左手は開いて太もも付近まで下げ、右手を拳を握って腰へ。


息を吸って、吐いてを2度繰り返し、止める。


そして次の瞬間、ピクリと動きを見せた右前方の敵兵へ向かって右正拳を鼻っ柱に叩き込む。

ギャッと短い悲鳴を上げて怯む兵士を見て、次は左後ろの兵士が剣を振りかぶる。

すかさず、儂はしゃがんでその兵士の足を払い、その兵士は驚きの声を上げて尻餅をつく。


次は右側の兵士が槍を構え、儂に向かって突きを放つ。

その突きを半身になって躱し、躱したそのままの動きから儂の横を通る槍の柄を掴み、その突きを思い切り加速させてやる。

左側の兵士へ向かっていく右側の兵士が繰り出した突きは、そのまま左側の兵士の腹へと突き刺さった。


何が起こったか解らないまま跪く左側の兵士に、右側の兵士は味方を刺したことにより困惑している。

そして困惑している兵士の顎先を目掛けて思い切り左掌底をアッパー気味に振り抜く。


その兵士は少し宙に浮いた後、仰向けに倒れた。


そして即座に左右の籠手からそれぞれ棒手裏剣を一本ずつ取り出し、左手に持つ一本を正面の兵士の眉間へと打つ。

悲鳴もなく倒れる兵士、そして体を回転させ、右手に持つ棒手裏剣で右後ろに位置する兵士の首を突き刺し、引き抜く。


返り血を浴びながらその手に持つ棒手裏剣を、左前方の剣を振りかぶったまま震えている兵士の首へ向けて打つ。


剣を振りかぶったままゆっくりと仰向けへと倒れる兵士。


そして後ろを振り返る。


震えている兵士がそこにいた。


「さて、残るはお主ひとりじゃな?」


そう言葉を告げた直後、飛来した三本の矢により、倒れてはいるが命があった三名の命は刈り取られた。


そして武器を放り投げ、悲鳴を上げる兵士。


「ひっ……、ひぃぃぃぃっ!ば、ばけもの!!!た、たすけて!ごめんなさい!ごめんなさい!」


急に取り乱し、地に頭をつけて儂へと謝罪してくる兵士に、儂はたじろぎ、ポリポリと頭を掻く。


「うーむ、張り合いが無いのう……。しかし……、これは死合じゃろう?もしも逆の立場であったとして……、お主は儂の命乞いを聞くのか?」

「ひっ、えっ、それは……、聞く!聞くよ!」

「ほう……、そうか、お主は良い奴の様じゃのう」

「あぁ!勿論だ!……じゃぁ、助けて……」


そしてゆっくりと顔を上げ、儂を見上げる涙と鼻水にまみれた男。

儂はその男にニコリと微笑み、その口を押えて地面に叩きつける。


また涙を流しながら首を振り、儂へと懇願を露わにする男であったが、儂は取り出した棒手裏剣を振りかぶり、その首元へと突き刺した。

ビクビクッと痙攣し、涙を流しながら儂を見つめる男の耳元に顔を寄せ、囁く。


「命乞いなどと……、見っとも無い真似をするぐらいなら、初めから戦場になど来るな。まして、お主が良い奴じゃと言うのなら尚更じゃ。一度儂の前に殺意を持って立ったのじゃ。運が無かったと思って諦めぃ」


その言葉が男に聞こえたかどうかは定かではない。

儂が体を起こし、棒手裏剣を引き抜いた時、男の目にはもう光は無かった。


そして、この立ち回りが終わった後、正面を見ると、カミハラと残された兵士達は一斉に後退った。


「さて、次はどうするかね?お主が来るか?それともお主か?全員でも構わぬぞ。儂をもっと楽しませてくれ、さぁ!!」


ゆっくりと歩を進め、手招きする儂に、更に兵士達は後退り、皆一様に、その瞳に恐怖の色が宿っていた。

儂はそれを見て落胆する。


「ふむ、もうやる気が無いようじゃのう。それならばそれで構わぬが、ビゼン・カミハラ殿よ……」

「ば、化け物め……」

「ふむ、儂の様な可愛らしい女子を捕まえて化け物とは、酷い言いぐさじゃのう……。まぁよい、その首、我が主が御所望じゃ」

「ひっ!!まて!待ってくれ!!私が悪かった!!そうだ!捕虜に、捕虜にしてくれ!!命だけは……」


またもや命乞いかと少し嫌気がさす。

儂があからさまに深い溜息をつくと、残された兵士達の体がビクリッと震え、皆が一斉にカミハラの方へ向く。

そして……。


「俺達を捕虜にしてくれ!!俺達はこいつにそそのかされただけなんだ!!」

「そ、そうだ!!頼む!!何でもする!!」

「何でも、のう……。具体的に何をするというんじゃ?」


儂がそう尋ねた所で、事は思いがけない方向へと進む事になる。


この戦乱の終わりがまさかこのような形で結末を迎えるとは思わなかった。


「なっ!!何をする!お前達!や、やめろ!離せ!!じょ、冗談だろう?」

「うるせぇ!!元はと言えばお前なんかにそそのかされちまったから!!!」

「お、お前が首を差し出せば……、俺達は助かるかもしれないんだ!!」

「や、やめてくれぇぇぇぇ!!」

「死ね!!!」

「あああぁぁぁぁああっ!!!」


その断末魔の叫びは谷底に響き、仲間であったはずの兵士達数人に、カミハラは押さえつけられ、その首を、刎ねられた。

そして、その首を儂に差し出してくる兵士達。


こうして、二年越しの戦火は終息を迎え、また一時の平和へと戻っていくのだった。




読んでくださった方、ブックマーク登録して下さっている方に感謝を。

少しでも楽しんで頂けたならば、幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ